ユリゴコロ

  • 双葉社
3.73
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本棚登録 : 3553
感想 : 699
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237191

作品紹介・あらすじ

暗黒の欲望にとり憑かれ、さまよう魂。運命は、たったひとつの愛と出会わせた。沼田まほかるの小説は、身も心もからめとる-。おそるべき筆力で描ききった衝撃の恋愛ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/09/06読了
    #このミス作品46冊目

    余命僅な父親の部屋から発見した4冊のノート。
    殺人に快楽を得る「ユリゴコロ」を求める
    「私」の告白が記されている。
    告白の真相については、意外とあっさり?
    と思いきやしっかりオチもついてて面白かった。

  • ドッグランを備えた喫茶店を自営する亮介に、次々と不幸が襲いかかる。恋人の失踪、父の末期癌発覚、さらには母の交通事故死。父不在時に訪れた実家の父の書斎にて、4冊のノートを発見する。「ユリゴコロ」と題されたそのノートは、殺人衝動を抑えられない“私”による手記だった…

    サイコな出来事が書かれた手記はノワールの様相を呈するが、それを読んで動揺する主人公・亮介の心の動きはサスペンス。“ユリゴコロ”に翻弄された亮介が取る行動は予想外だった。
    こういった作中作系ミステリは、メインストーリーと作中作がどう繋がっていくかがキーポイント。本書では手記の著者は誰なのか?が大きな謎になっている。その仕掛けは察しがついたので驚きは得られなかったものの、何とも言えない複雑な気持ちになるラストだった。果たして私は誰目線で読めばよかったのだろうか?

    週刊文春ミステリーベスト10 6位
    このミステリーがすごい! 5位
    本屋大賞 6位
    SRの会ミステリーベスト10 3位
    ミステリが読みたい! 9位
    大藪春彦賞受賞(2012年)

  • のっけからぐいぐい物語の中に引き込まれていった。
    このゾワゾワする感覚、これこそミステリーの醍醐味。
    主人公の亮介が偶然実家の押し入れで見つけた四冊のノート。
    前半はこのノートの記述が、後半は父親の告白が中心になって家族の秘密が解き明かされて行く。

    自分が亮介に乗り移ったような気になってノートを読む感じ。
    この感覚が良かった。
    思いつめている亮介だけだと重すぎたかもしれないが、物語の節々に登場する弟の存在が救いだった。
    このバランスが絶妙。

    本屋大賞にノミネートされていたのは記憶にあるが、今さらだけど読んで良かった。
    沼田さんの他の作品も読んでみたいと思うに十分。

    ただ最後のオチがどうも納得ができず☆4つ。
    これだと快楽殺人の正当化にもなってしまわないだろうか。
    それともこの場合は許されるのか。
    深く考えれば考えるほど納得いかない。
    難しい事考えずに単なるミステリーと考えればとても楽しめる作品だと思う。

    • katatumuruさん
      こんばんは~(^^)

      私もこの本のオチにはちょっと疑問を感じました。
      何となくイイ話っぽくまとめようとしているけど、それまでの話の流れから...
      こんばんは~(^^)

      私もこの本のオチにはちょっと疑問を感じました。
      何となくイイ話っぽくまとめようとしているけど、それまでの話の流れからそれってムリない?と思って・・・。
      その辺がこの作者の感覚なのかな~という気もしますが・・・。
      確かに殺人の肯定につながるような・・・そんな終わらせ方でしたよね。

      私は図書館で本を借りて読む事が多いんですが、この本は人気作だから中々読む事ができず他の作品から読んだんです。
      他のはちょっとついていけない感覚のものがありました。
      今まで読んだこの人の本の中はこの本が一番面白かったです(^^)
      2013/08/10
    • vilureefさん
      katatumuruさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      沼田さんは2冊しか読んでいませんがもう言いかなと(^_^;)

      ブ...
      katatumuruさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      沼田さんは2冊しか読んでいませんがもう言いかなと(^_^;)

      ブクログやっていると読みたい本が増えてジャンルも広がって楽しいのですが、すでに収集がつかなくなりつつあります・・・。
      うれしい悲鳴ですね!
      2013/08/11
  • 積読本、ようやく読みました。 
    ミステリーというかホラーというか、恋愛もの?
    独特の雰囲気を纏った作品でした。おすすめです。

  • 主人公の亮介は、ドッグラン付き喫茶店の店長をしている。彼ら一家は急に不幸の渦に巻き込まれた。
    店の立ち上げの時から共に頑張ってきた亮介の恋人・千絵が突然失踪し、父には膵臓がんが見つかり余命いくばくか、その父を看取る前に母が交通事故で逝ってしまう。家族で残されたのは、施設にいる認知症の祖母と病人の父、賢く陽気な弟の洋平。
    そんな最中、亮介はある日父の書斎で不思議なものを見つけてしまう。母・美紗子の遺髪が入った鞄と、「ユリゴコロ」と題された奇妙なノート四冊だ。
    これは手記なのか?小説なのか?誰が書いたものなのか?
    ユリゴコロを読み進めるうち、その狂気じみた内容に、また幼少時の奇妙な記憶を思い出しもして、亮介は恐怖にとりつかれていく。
    「ユリゴコロ」とは一体何なのか…?
    弟の洋平や店の店員たちに助けられ、なんとか日々を送っていきながら真相を探っていく亮介だったが…

    面白かった。サスペンスホラーチックではあるが、亮介を中心とした家族の物語で、読み終わると胸に何かじんとくる。
    なんとなくこの描写意味深だな〜と思ってたらそっちか〜!って感じで、意外な結末だった。
    少し切なさもあるが、でもいい終わり方だ。
    作者の名前は今までよく見かけていたものの今回が初読みで、小説を初めて書いてデビューしたのが50代ということで驚いた。他の作品も読んでみようかな。

  • 著者さん初読みです
    図書館をふらふらしてたらふと目について読みたくなりました

    恋愛ミステリー、とあったので恋人同士でなにか起こるのかと思っていましたがどんどん展開が変わり、リアルタイムではないにしろ次々と人が死んでいくし、思っていたのと違う、と思いながらも読むのが止められず

    誰も憎まなかった物語

    恋愛ミステリー、というよりも1つの変わった家族の愛の物語という感じです

  • 面白かった。
    中盤から一気読み。
    本の奥付で、かなり前に読んだ「彼女がその名を知らない鳥たち」の作者であることに気がついた。
    どうしようもなく何かが欠如している人だとか、歪んでいるけれども確かな愛情だとか、独特の人間観が私には好ましかった。

  • ユリゴコロ。
    図書館で予約した時のキッカケを忘れていたので、何の小説だったっけ?と内容を全く覚えていなかった。
    タイトルからは揺れ心のような淡い恋愛小説かなと思って読んだら...全く違うではないか。

    内容は...
    亮介が手にしてしまった4冊のノートには、人を殺めつづけた独白が書き綴られていた。
    誰が記したのか。
    それは亮介の出生にもつながっていく...

    4冊のノートにある独白、一気に読んでしまう。
    目を離すことができないとはこのような状態なのかというように。
    ノートには、子どもが(死んじゃった...)とただつぶやくように殺めた記録がある。言い訳じゃない。ただ記されている。
    そして「アナタ」への想いも。

    狂気を感じた。
    人への想いとは一線をこんなにも軽く越えてしまうのかという狂気。
    狂気が面白いと感じる自分もおかしいのではないかと不安になる。

    ミステリー要素は読み慣れた人からするとある程度わかってしまうかもしれないが、ミステリーよりも「人」そのものが持つミステリーさで読み手を惹き込んでくれた。

    ラストは予想以上の気持ちよさを残していった。
    現実の世界では許されない、小説の中でしかありえない心地良さを残してくれた。

    おもしろかったです。

  • ユリゴコロ
    沼田まほかる

    ∞----------------------∞

    何だか気持ち悪いなぁと思いながらも、ページをめくる手が止まらない。

    第一人称が男か女かも分からない、手記か小説かも分からない、ノート4冊に渡って書かれた「ユリゴコロ」というタイトルのついた話の謎。

    子供の頃からさりげなく殺人を犯していく様はただのサイコパスなんだけど、自分の体を売って稼いでいる時に出会った男性(その後の夫)の感性に惹かれるように、彼女も変わっていく。

    その彼女の息子とされる亮介は、婚約者の千絵が失踪し、と思ってたら実は既婚者だったり、父や祖母は闘病中、自分の店の経営も傾きがちという、実に苦境のど真ん中だった。そんな時にこんな手記を読んでたら、自分の存在すら認めたくなくなるかも知れない。

    最後はなんとなく無理やりな感じにまとまってしまったけど、うっすら細谷さんは裏があるなぁとは感じてた。ただの「好き」じゃないよなと。

    初めはホラーかな?ミステリーかな?と思って読んでたのに恋愛で終わるというジャンルがよく分からない小説だったけど、こんなのも嫌いじゃない。

    2024/02/22 読了(図書館)

  • 良かった。。
    本の紹介に恋愛ミステリーって書いてたから、恋愛は嫌やなーと思ったけど思ってた恋愛モノとは全く違って良かった。

    亮介の母がまさか細谷さんだなんて。
    全く予想してなかったからびっくりやし、細谷さんすげー良い人やから、今までの優しさや真面目に働いてた事がほんとはもっと深い愛があってからこそだったのかと思うと泣ける!!

    しかも、日記に書いてあったような人を殺す事にも何も感じないような人物像とは正反対の印象。

    素敵な愛の話やった!!!

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

沼田まほかるの作品

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