リブート!

著者 :
  • 双葉社
3.59
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本棚登録 : 213
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237337

感想・レビュー・書評

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  • 装丁に魅かれて手に取った作品。

    銀行のサーバのシステムダウン! とは冷や汗が出る。
    SEではなく事務方ではあるが、以前銀行に居たことがあるので
    こういうときの焦燥感はものすごくよく判る。
    正直なところ、過去に体験したトラブルが思い出されて
    当事者でもないのに読んでいて胃がキリキリした。
    数年前のみ○ほ銀行のトラブルをふと思い出したりもして。

    こうも短期的にシステムトラブルが頻発すると
    すわサイバーテロか?! という風になりがち。
    実際そういう方向性の話なのかと思っていたのだが
    蓋を開けてみたらタイプの違うふたりのPMが
    トラブルを通じて互いに成長していく話だった。
    線が細くて自信なさげな横田(と範子)が
    トラブルの根本的な原因を見つけて自信を取り戻すくだりもよかったが
    部下を育てるのは時間の無駄、というスタンスの仲瀬川が
    横田たちのチームに触れることによって部下に対する態度を変えていく流れは、
    なんでだか読みながらニヤニヤ。
    結局自分はツンデレ萌えか、と再認識した瞬間だった(何でだ/爆)。
    最終章での仲瀬川の訪問時、あっけにとられる横田の顔が目に浮かぶ(笑)。

    読み始めはミステリと思いきや、終わってみたら社会派小説だったという。
    同時に大人の成長譚なんだろうな、という気がした。
    何にせよ、爽やかな読後感だった。

  • ★2.5

  • 銀行システムのトラブル対応について、マネージャやSEがシステム運用部門からどんな緊急電話を受け、どんな対応をしていくのかがリアルに描かれています。一気に3時間で読みました。
    私は以前、メインフレームの通信周りのシステム管理をやっていました。当時は夜間や休日に会社の携帯電話が鳴ることもしばしば。夜間対応のあとの、朝のサービス開始は、何度経験してもドキドキしていました。
    本書は苦労話だけではなく、加えて、メンバーの成長軌跡や、メンバーを成長させるアプローチなども書かれていました。励まされます!

  • システム運用に関わるPM・SEに捧ぐ。

    トラブルがトラブルを呼ぶ展開、システム屋の社会的責任感、そして一個人としての幸せ、などなどが本作には詰まっている。

    システム運用に関わる全てのSEさんにオススメ。
    PMさんになりたての人にもオススメ。

  • システム障害を引き起こす銀行の裏側で、そこに携わるエンジニアたちの奮闘する姿を描いた話。__今回はクライシス・ノベルというより、人間が成長していく過程をよく描いているドラマのようであったと思う。著者がSEだった経験を思う存分詰め込んであり、日頃正常に動いていること、それを保つことがどれほど大変なものであるのか再確認できる。最初からスーパーマンのように完璧にこなす人間はいない。さまざまな事象から経験を積み、人間は厚みを持ち大きくなっていくのがわかる作品。

  • 表紙と訳の分からない題名で読み始めた。プログラマーやSEの仕事は、大変そうとしか思ってなかったが、想像を超える厳しさ。銀行相手じゃ、尚更胃が痛む気持ちがよくわかる。

  • ResetじゃなくてRebootですね。
    権力争いとか、ひたすら頑張るとか・・・おかしな偏ったドラマばかりで、なんだか変な昨今ですが。
    このような技術者が個々の思いを持ちながら動いているシステムをストーリーにしてほしいと感じた1冊です。
    私の経験とオーバーラップする部分あり、楽しく読めました。若者が色んな経験をしながら、色んな人と接しながら成長していける話はいいですね。

  • ヒヤヒヤする仕事だなぁ。銀行の取引システムとなると待ってくれないだろうしね〜。
    そんな中でも新人を育てたりしていけるって、ある程度自分に余裕がないとできないだろうな。そんな余裕もないとリーダーにはなれないか、確かに。
    苦手だと思う相手も、見方を変えれば多少は歩み寄れるのかもしれないな。

  • この作品はかなり、特化した作品だと思う。一般の人には、なかなか理解されない仕事だと思うが、私自身が、この仕事の経験があるので、登場人物や技術的な内容や言葉を含めて、大変面白かったと思う。実際はもっと泥臭いのだが、でもその泥臭い仕事を作品にしてくれたのは、素晴らしいと思う。

  • 冒頭の夜中の電話で起こされトラブルの報告を受けタクシーで会社に向かうというくだり、まさに自分の十数年前と重なる。マシン室内の電話のかけ方なんてやったことのある人しかわからない。(携帯を当ててない耳をふさぐより、携帯の送話口をふさいだ方がよく聞こえるのだが)
    そんな感じなので読み始めてすぐに感情移入してしまい一気に読了。
    自分が経験したことと同じことが小説になっている。自分のありふれた日常が特別なものに昇華した気がした。
    一般に2000年問題は広く知られているが2038年問題なんてあまり知らないだろう。そんなところに焦点が当たっているのも好評価。(実際の現場では2038年問題よりも497日問題の方がよく出現する)
    こうやって感想を書いていても思い出すことがどんどん出てきて書き切れないのでこの辺でやめておきます。
    今のインターネット時代を縁の下で支えているのは、こうした運用部隊の人の活躍があるからということを広く理解してもらいたいなと思います。
    最後に、たかが停電で止まってしまうとな銀行のシステムとしてはお粗末。まあそこは一般の人に対してもわかりやすい表現ということで大目に見ます。

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著者プロフィール

福田和代一九六七年、兵庫県生まれ。金融機関のシステムエンジニアとしての勤務を経て、二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。主な著作に『TOKYO BLACKOUT』『ハイ・アラート』『怪物』『迎撃せよ』『潜航せよ』『生還せよ』『繭の季節が始まる』『梟の一族』など。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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