誰かが足りない

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 2106
感想 : 385
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237412

作品紹介・あらすじ

足りないことを哀しまないで、足りないことで充たされてみる。注目の「心の掬い手」が、しなやかに紡ぐ渾身作。偶然、同じ時間に人気レストランの客となった人々の、来店に至るまでのエピソードと前向きの決心。

感想・レビュー・書評

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  • 思うようにいかず落ち込むことは多々ある。
    誰かが足りない、大切な何かを思い出せない、とついないものばかりを数えてしまいがち。
    そんな時こそ笑ってみよう。
    美味しいものを食べてみよう。
    そうすればほんの少しでも元気を取り戻せる。
    どん底からでも這い上がれる。

    古くて小さなレストラン"ハライ"。
    美味しいと評判の"ハライ"はお客さんたちをいつも笑顔にしてくれる。
    誰かが足りない寂しさも晴れやかにしてくれる"ハライ"。
    足りなかった誰かを待つ、という楽しさを教えてくれるお店だった。
    読んでいて晴れ晴れとした気持ちにさせてもらえた。ありがとう。

    10月31日。今夜は"ハライナイト"。
    去年の今日、Twitterで"ハライナイト"の投稿を見掛けて、よし来年こそは参加しよう!と思い、本も買って準備万端…だったはずなのにコロッと忘れてしまい、夕方から慌てて参加。
    集合時間の夜6時もとっくに過ぎてしまい出遅れてしまった私。。
    今年は大急ぎで読んでしまったけれど、来年こそは遅れずにじっくり味わいながら参加したい。
    なかなか予約が取れない、と評判の"ハライ"に、今から予約を入れておかなくちゃ。

    • tsukiyomi777さん
      mofuさん

      こんにちは!
      私もこの本が大好きで、去年のハライナイトに参加しました(^^*)
      宮下先生とやりとりできたり同じ本のフ...
      mofuさん

      こんにちは!
      私もこの本が大好きで、去年のハライナイトに参加しました(^^*)
      宮下先生とやりとりできたり同じ本のファンの方と集える素敵な機会ですよね。

      レビューにある
      「読んでいて晴れ晴れとした気持ちにさせてもらえた」
      というのが、本当にその通りだなあと。

      私は今年は時間が合わずハライナイトに参加できなかったのですが、来年は絶対リベンジ!と思っています。
      mofuさんにもそこで会えるかも?!と思うと今から楽しみです(*^^*)
      2019/11/01
    • mofuさん
      tsukiyomi777さん、おはようございます。
      コメントをありがとうございます。
      "ハライナイト"にようやく参加できて嬉しいです!
      ...
      tsukiyomi777さん、おはようございます。
      コメントをありがとうございます。
      "ハライナイト"にようやく参加できて嬉しいです!
      宮下さんや他の"ハライ"ファンの方とのこの日限定の交流は嬉しいですよね。
      本の内容も、自分の日頃抱えている悩みも晴れやかにしてくれるような爽やかな物語で、読んで良かったと思いました(^-^)
      tsukiyomi777さんも来年は是非♪
      来年の"ハライナイト"でお逢いできることを楽しみにしています(*^^*)
      ありがとうございました!
      2019/11/01
  • どこか懐かしい雰囲気のテーブルと椅子を
    温かい光が照らす、素敵な表紙写真。

    そんなイメージそのままの
    素晴らしくおいしい料理と、感じのいいもてなしで
    なかなか予約の取れないレストラン、ハライに
    同じ10月31日の午後6時に予約を入れることになる、
    6組のお客の物語。

    就職に挫折して以来、流されるままに生きる「予約1」の青年は
    「少しでもうれしいほうへ」と連れていこうとしてくれていた恋人の
    気持ちを汲み取れず、離れていった思い出の中の彼女を。

    「予約2」の、進行する認知症に怯えるおばあちゃんは
    つまらない嫉妬から、生きているうちにハライで一緒に食事をして
    しあわせな時間を共有する機会を逃してしまった、今は亡き夫を。

    形だけの出世で、仕事と人間関係のストレスだけが増えた
    「予約3」のOLは、いつのまにか去った恋人ではなく
    本当に辛かった時に不器用なやりかたで助けてくれた幼なじみを。

    死に至る病を笑顔で告白した母が亡くなって以来、人を信じられず
    ビデオカメラのレンズを通さなければ人と接することのできない
    「予約4」の青年は、そんな兄を気遣いながら、
    いじめに遭っている友達にまで手を差し伸べていた妹と、その友達を。

    「予約5」の、ブッフェレストランでひたすらオムレツを焼き続ける青年は
    心をこめて焼き上げたオムレツを「できそこない」と突っ返しつつも
    思い出の曲「水星」のクラリネットパートを偶然にも一緒に口ずさみ
    昼寝のために部屋を貸してほしいと頼み込む、ちょっと変わった女性を。

    そして、人の「失敗の匂い」を嗅ぎわけてしまう「予約6」の女性は
    失敗を察知したのに救えなかった叔父への罪悪感から
    思わぬ形で救いの手を差し伸べることになった青年と、
    まるで運命の糸が引き寄せたかのような因縁を持つ、青年の彼女を。

    それぞれの物語の始まりには
    喪失の痛みや、思いを分かち合う誰かに巡り会えていない焦りを
    どうしようもなく抱えていた彼らが、
    ラストシーンでは、おいしそうな匂いの漂うハライの店内で
    空いている向かい側の椅子に座る、「足りない誰か」を
    待つことのしあわせを噛みしめながら、待っている。

    踏み出すための小さなきっかけを懸命に掴み取ろうとする姿を
    宮下奈都さんらしい、ハッとする言葉を散りばめて
    丁寧に描いた、素敵な作品です。

  • 大切な「誰かが足りない」人々が集まる、10月31日の午後6時。
    場所は広場に面したとてもおいしいレストラン「ハライ」。

    物語は、それぞれが誰かが足りないという思いを自覚して受け止めていき、おいしいものを食べようと「ハライ」に行こうと思うまでを描いています。
    どの話も、それぞれの心のしこりが温かいスープで溶けていくようでほんのりやさしんのだけど、ちょっと印象が弱い。
    実は、ちょっぴりホラーな話かと勝手に思っていたりしたので。
    いい話ではあるけど、何かが足りない感じがしました。

    いろいろ停滞してくさくさしても、おいしいごはんを食べようと思うだけでちょっと元気になれるんだよね。

  • さらっと読めます。
    切なくて、ほのかに暖かい。

    「ハライ」という名のレストランは、煉瓦作りの古い一軒家。
    料理が美味しいと評判で、予約を取るのも大変だという。
    席に座って、あたりを見回し、空いている席を見て、誰かが足りないのかと思う…
    「ハライ」に予約を入れた人物、それぞれの物語が描かれます。

    予約1は、北の町から出てきた青年の話。
    大学で4年、勤めて4年。
    この町を8年間動かなかった人間は、同級生にも少ない。
    両親が待っていることを知りながら、帰らなかった。
    一時は内定した会社が卒業前に倒産、今は水口商事というチェーンのコンビニで働いているのだ。
    学生時代から付き合っていた未果子が、ある日突然、他の男と結婚すると知る。
    この町で就職したのは、未果子のことがあったからだったのに。
    未果子が美味しいと言っていた「ハライ」という店のことをふと思い出す。聞き流していたが、一緒に行こうと言うべきだったのではないか…?

    予約2は、認知症になっている女性。
    「最近何かニュースはありましたか」と家族にもよく聞かれるのをあまり好きではない。
    (認知症の進行ぐあいを確かめるための質問らしい)
    夫が亡くなったことを忘れてしまったり、気がついて悲しんだり。
    孫娘のあかりと、ハライに行く約束をするが、そのいきさつも忘れてしまう。
    ただ、夫とハライに行こうと楽しみに考えるのだった。

    予約3は女ひとりで係長になり、何かと尻ぬぐいばかりさせられるのに残業代がつかなくなっている女性。
    隣の家のヨッちゃんの車が駐めてあるのに気づく。

    予約4は、引きこもりの青年とその妹の暮らし。
    兄は、カメラを回しながらでないと人と話せない。
    3年前に母が病気で亡くなってから、人が信じられなくなっていた。
    姉が結婚をためらっているのに気づいて、杖か楯のようにビデオカメラを抱えて人前に出るようになる。
    高校生の妹は兄を心配し、家に友達を連れてくる。

    予約4はブッフェレストランで料理している男性。
    よく来る女性客に、本格的に作ったつもりのオムレツを出すと、これはぐちゃぐちゃの失敗作だと言われてしまう。
    彼女が疲れている様子なのが気になり…

    予約5は、子どもの頃から、なぜか、失敗の匂いに気がつくという女性・留香。
    叔父が失踪し、後悔していたが…
    失敗がいけないんじゃない、そこで絶望しなければいいんだ、というメッセージ。
    そして、おいしい物を食べましょう☆

    2011年10月発行。

  • 予約して訪れた人たちの、ハライでのシーンがもう少し欲しかったかな。

  • レストラン ハライに予約して同じ日に訪れる人達の6話の物語。
    印象に残った文章
    ⒈ 最近、何かニュースはありましたか?
    ⒉ どこかの言葉で「晴れ」の意味だというハライ
    ⒊ 失敗自体は病じゃないんだ。絶望さえしなければいいんだ

  • いろいろな人の思いが集まるハライ。
    いってみたい!

  • とりとめのないやり取りに日常の印象に残るワンシーン、そういったものが集まっている、という印象だった。
    人と人との結びつきのような、欠けている部分を補い合うのが他者であるというような、そういった事が言いたいのだろうなと思った。

  • 最終的には共通項に行き着く短編集だが、終話に近くなるほど陳腐な創作で不完全な構成が露呈。

  • 面白くないよと周りに言われて読むのを迷いつつ、最後がまだ良かったと書かれている感想を参考に最後を読みました。
    ここでMAXなら読む気が起きないなと断念。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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