金色の獣、彼方に向かう

著者 :
  • 双葉社
3.51
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本棚登録 : 662
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237467

作品紹介・あらすじ

稀代の物語作家が紡ぐ、古より潜む"在らざるもの"たちの咆哮4編。傑作ダークファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 独特の幻想的な風景、人ではないものを描き物語に織り込んで読ませてくれる作者さんですが、短編集のこちらでも壮大なファンタジックな世界がとても抒情的に描かれていました。
    人間世界の残酷さの救いのように「この世でないもの」が存在することがあれば、人間をとことん貶めるように存在することもある。けれどもやはり恐ろしいと感じるのは人間のなすことである、というのはしみじみと感じたことでした。

    獣たちは、この世ならざるものたちは、いつもいかなるときも変わらず、ただそこにあるだけなのですね。
    人はただそれに、そのときどきの自分の状況を当てはめて、反面教師のようにそれらに思いを映すだけなのだ、などと思ったりしたのでした。

    人と寄り添うようにそれらは存在しており、ときに近づきときに姿を隠す。ありえないものではなく、目に見えないだけのものなのだ、と信じさせられるような、それらの体温を感じるような描き方が本当に巧い、と思いました。

  • 4作の短編集。
    恒川さんはデビュー作が衝撃的すぎたゆえに、なかなかそれ以降の作品で納得のいくものに巡り合えず。
    今回は秀作ぞろいだと思うけど、期待が大きいが為に☆3つ。
    4作の中では、「森の神、夢に還る」がよかったかな。
    鼬を登場させたのは中々おもしろい。

  • 2020.12.26

    面白かった!スイスイ読めた。
    4編を繋ぐのは「鼬」「雷獣」「稲光山」。
    金色の獣ってライオンか麒麟のような生き物かなって想像してたけどイタチだったのね。

    「異神千夜」
    約100Pとボリュームあるお話だったけれどこういうお話は好き。少し金色機械に通ずる世界観だった。
    鎌倉時代の元寇の頃、ある男の幼少期から現在までを偶然知り合った僧侶に自分の半生を語る話。
    鈴華ととリリウから全ては始まったのね。

    「風天孔参り」
    4編の中で一番好き。
    風天孔とは雷獣が巻き起こす神風なのだろうと思う。神風によってここではない何処かへ行きたいと願い、日夜歩き続ける人々。
    岩さんは案内人になったんだろうな。
    以前読んだ「真夜中のたずねびと」の中の「夜行の夜」に似ているなと思った。

    「森の神、夢に還る」
    サクラとナツコがごっちゃになって最後のほうはどっちがどっちなのかよくわからなくなってしまった。
    テツはどうやって鼬行者になったんだろう。
    あまり好みではなかったのでさらっと流し読み。

    「金色の獣、彼方へ向かう」
    千絵、ああいえばこう言うめんどくさい子だし友達いなそうって思いながら読んでたけどかわいそうな境遇すぎた。樹海に眠る古寺の廃屋で白骨化していた父は鈴華に仕えていた者たちの子孫?鈴華の子孫?なのかな?
    ルークはなんで大輝と千絵の間を行ったり来たりしていたんだろう。千絵にはルークと一緒に幸せになってほしい。

  • ひっそりと怖い。すすっと、背中を一瞬だけ冷やすような。
    イタチと樹海がテーマなんですね。装丁はなんだかトイプードルに見えたけど。すぐそばにある、異界。
    どれも、人間のどうしようもなさをすぱすぱ書いている。人間、どうしようもねえな。
    異神千夜が一番好きかも。
    ただ、恒川さんの他の作品よりも感動はしなかったかもなあ、とも思った。残るものがない、というか。
    「異神千夜」鎌倉時代終わり頃か、南北朝時代頃か?対馬から宋、蒙古へと下った商人のお話。人を操り、村ひとつ丸々呑み込む祟り神。人の命を奪っても生きる神。そんなもんに魅入られたくないな。遼慶とばっちり。
    「風天孔参り」月野優の身の上話が切なくてたまらなかった。私も犬を奪われたらそうすると思います。
    風天孔に入ったらどうなるんでしょうね。少しだけ、惹かれるものがある。
    「森の神、夢に還る」ナツコとサクラの心のふれあいが少し温かかったけど、二人の前に横たわる物語はとてもシビア。でも、死んだあと、森をさまようのも、悪くないかもしれないと思った。
    「金色の獣、彼方に向かう」ルーク可愛い。千絵の置かれた状況がとても悲しい。ラストシーンがよいですね。魂の一部が囓られる。

  • 昔中国大陸からやって来た『神』にまつわる話。時代をこえて関係していることがわかる。
    神は何故日本に住み着いているのか気になった。
    現実世界と隣あっている不思議な世界、恒川ワールドが伝わる一冊。

  • 装幀:水戸部功
    装画:大島梢
    http://www.cov-inkk.com/

  • 相変わらずの恒川さんの世界が本当に好み。

  • 人とカマイタチとか鼬行者のお話っぽい。
    バラバラの時代と、なんとなく繋がった4つの短編集。
    相変わらずこっちとあっちの狭間のような世界観が好き。
    green eyed monster 的な話のような気がしなくもない。

  • 淡白で無駄を取り除いた美しい文章が魅力的で、淋しく郷愁の漂う幻想的な雰囲気が、読み手を包み込みます。物語の閉塞感とあいまって、朽ちていくような圧倒的な静けさに酔い痴れました。 ひっそりと現代に息づく、有志たちの静かで孤独な行いを語る『風天孔参り』が好み。

  • 読みやすく面白く、すごく良かったです。『森の神、夢に還る』はうるっとしました。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』などがある。

「2021年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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