- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575237467
感想・レビュー・書評
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幻想と恐ろしさの入り混じった世界観がなんとも素敵な一冊です。
この本には四編の短編が収録されています。それぞれ筋書きも登場人物も違うお話なのですが、全編に共通する言葉が一つだけあります。それは『鼬』。
物語の端々に影をちらつかせる鼬にどきりとさせられました。
四編とも良い話なのですが、中でも一番の私のお気に入りは『異神千夜』だったりします。
舞台は鎌倉時代、ちょうど元寇辺りのお話です。
ネタバレ防止の為詳細は省きますが、最後の方の『富も名誉もいらぬ。我らは深山での密やかな隠棲を求める』という様な文に惹きつけられました。
恒川光太郎さんの本は、この謎めいた不思議な雰囲気がなんとも堪らない作品だと思います。
なんだか支離滅裂なレビューになってしまいましたが……以上です。
まだお読みになられていない方は是非とも。 -
鼬をめぐる物語集。
恒川ワールドは健在です。
今作は、ホラーな味付けの話が多かったように思います。
面白かったけど、個人的にこれっていうお気に入りの話がないので、星は少なめです。
さらっと読むにはいいかな。 -
歴史もののような冒頭部分。
恒川光太郎は「どこかへ向かう」話が多い気がする。
風天孔参りについて。
こういう、日常のすぐ隣に非日常がある話は好きだ。世界にはまだ自分が知らない世界がある。風天孔参りも全くフィクションじゃないかもしれない。
月野優は、商売の才能があったかもしれない。料理の才能もあったかもしれない。でも彼女は、それらは全てそこに留まるための手段でしかなかった。目的があると、まわりのことに目がいかない。彼女がここにいることが楽しいと強く思えていたなら....と考え、やっぱりこれで良かったんだ。と思える最後。
道はたくさんあるが、これでいい、これしかなかったとおもえるラストが多い。みんな笑顔でハッピーエンドじゃないところが恒川光太郎の良いところ。それぞれの登場人物が、この結末で良かったと思っている。読んでる最中は「なんで」「おかしい」と思わせ、読み終わりに「ああ、これで良かったんだ」となる。後読感は、爽やかでしかしあれこれ考えさせるそんな本だった。 -
ファンタジーに分類されるのかもしれないが。日常生活に溶け込んだ異世界の話。
違う次元に属するモノへの畏れを持ち続ける、という姿勢は賛成だ。 -
他作品よりもファンタジー色が薄まった分、ホラー色が濃く出ている気がします。異神千夜は最後ゾクッとしました。
あと、今回嫌な人物が多かったような(笑)(作者の書き方が上達しただけかも)「風天孔参り」の主人公とか「金色の獣~」の女の子とか、好きになれなかったため読後モヤっとしました。 -
不思議と秋になると読みたくなるのが、恒川作品です。
一年近く積んだままでしたが、もっと早く読んでおけば良かった!
…とは思ったのですが。
ふとした瞬間に現れる異世界、もやもやっとした哀しい怖さ。
やっぱりこれは秋に読むのが一番相応しい気がするのです。
「異神千夜」は、この作家さんには珍しい鎌倉時代のお話。
蒙古襲来で、元の間諜として板挟みになる日本人の青年。
鼬のような不思議な生き物の存在が、自然に同居しています。
そして続く短編集も、時代は違いますが微かな繋がりがあって。
樹海の中に時折現れる<風天孔>や、人に乗り移るモノ。
さすがだな、と思わせてくれるホラーファンタジー短編集でした。 -
元寇のはなしは入り込むまでに時間がかかった。どれも雰囲気は好き。