Junk

著者 :
  • 双葉社
3.73
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本棚登録 : 111
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237474

作品紹介・あらすじ

都内某刑務所前。つぶれかけた粗末な飯屋がある。そこの手伝いて、刑務所を見張り、ある男が出所したら知らせてくれと頼まれた俺。ヤバさを感じながらもおいしい条件に承諾したが、案の定、面倒なことになっていく…。善人ではない。かといって悪人でもない。強かだけど時に脆い。そんなわたしたちを見つめ、見守ってくれる傑作小説集。「指」「飯」の2編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 中編2編。
    「指」。スリを辞められない子持ちのサラリーマンの前田。ある日、スリグループに誘われる。そこで依頼されたのは、別のスリ集団に対抗するべく、集中的にスリを行うことだった。
    「飯」。借金を返すために、刑務所前の寂れた食堂で働くことになったタクミ。命じられたのは、刑務所を出所する男を見張ることだった。
    「飯」の方が、色々な関係性が絡み合い面白かった。タクミの彼女が考える料理は手軽に作れて、美味しそうなものも。

  • 三羽 省吾 『Junk 毒にもなれない裏通りの小悪党』

    「指」と「飯」からなる2編中編集。

    「指」は掏摸の小悪党の話。

    スリも中毒性が高く遊びでスリをして欲求を満たす主人公のサラリーマン。

    そこに天才スリ少年とスリ集団にスカウトされ、大きな仕事へと手を染めて行く…。

    その後、掏摸を辞めたいスリ少年は…。

    「飯」は無職の青年がある条件で高額バイトの話を受け、刑務所前の食堂へ行くがそこの主人が倒れ自分が料理を作るハメに…。

    しかし、その食堂は余り美味くなかったが青年があれこれする内に安くて美味い繁盛店になったのだが…。

    どちらも小悪党なのに実は善人過ぎるw

    周りが小悪党だらけw

    中々面白い内容じゃなぁ♪

    2014年読破

  • 指はスリ。飯は飯屋。
    両方面白かった。人って色々だなあ。生きてくって面白いよ。

  • 中編ふたつ、短編ひとつからなる作品集。タイトル通りちょっとしたワル達の物語。

    盗癖に悩む“真面目”なスリの前で、鮮やかな手口を披露した男が持ちかけた妙な話や
    刑務所前の食堂で働きながら、ある男の出所を見張るように依頼された債務者など
    登場人物達は犯罪者や犯罪スレスレの人間ばかりだが、どこか愛嬌があり憎めないタイプが多いので
    爽やかさや希望すら感じられます。この作家の柔らかいユーモアセンス好きだなぁ。
    中編二つはもっと先が読みたいと思えた。(ひとつは唐突に終わった感じもしたし)
    思いっきり悪いのも好きだけど、こういう読みやすくて面白いのも好きです。

  • 2017/11/28
    ちょっと繋がってる2編。
    どちらも不穏な始まりだけど着地点は安全なところだった。
    ほっとする。
    私が読まないだけかもしれないけど、ブルーカラーの人が出てくる小説って少ないな。
    この人の小説にはよく出てくる。
    お日様とともに汗かいて働いて、暗くなったらしこたま飲んで食べて寝るって素晴らしいなと思わされる。
    まあお酒も飲めない体力もない私なんですが。
    客商売やったらバイトであろうが見張りが本業であろうが、おいしくしてお客を増やそうとするタクちゃんの姿勢が健全。
    自堕落で借金持ちでも性根は腐ってないんだって好感が持てる。

  • 2012年読了

    欲望を飼い馴らすことが
    人間的な成長…

  • 2話あるが、どちらも良かった。

  • 中編二本、仮面一般人実はスリの常習犯が、裏社会の本気モードにびびる話、もう一話は学歴、定職コンプの青年が町金の借金返済の為薄暗い飯屋のバイトに飛びついたら、何か色々あって、最後はまあまあハッピーエンド?みたいな。
    どちらも読後感は悪くなかったが、後ろの話の方が楽しく読めた。多分主人公が直接犯罪に係わっていないのと、とにかくご飯の描写が美味しそうすぎたから。高級じゃなくてわりと普通のメニューなので何となく味が想像できてしまうのが美味い。いや上手い。(うまいこというたった)
    …ごめんなさい。
    冴えない日常にちよっとしたスパイスを、系な話。誰かに聞かれたら面白いよ!と普通に紹介できる一冊でした。

  • 『指』『飯』ともに裏社会のお話。
    個人的には『飯』の方が好きだし人と人とが繋がってて気に入った。
    それでも、俺たちはそこそこツイているというフレーズがいいな。
    読み終わってみれば、やっぱり三羽省吾の作品だ。

  • 社会の裏で生きる人々を見つめ、関わり、何かを得る二人の男の話。

  • アキは良い娘だ。

  • 「指」も「飯」もどっちもよかった。

  • 短編2編。
    今までのポップな作風から一風変わって、本作はハードボイルドな仕上がりで新鮮でした。
    少しコンプレックスのある主人公の両作品がリンクしていると気づいたとき、なぜか少しうれしく思ってしまいました。

  • 2編収録されてた。
    手フェチな私としては掏摸師の世界を描いた「指」も良かったけど、「食」の主人公が大好きになっちゃった。あの人で映像化してくれないかなあ。
    ちょっとやばい仕事を引き受けた主人公が、思わぬ方向にどんどん巻き込まれていくんだけど、俺には関係無いってブツブツ言いながらも自らつい関わってしまう……レベルの違う彼女が彼を離さないのも納得いく可愛さというか、何か持ってるのがちゃんと描かれてるんだよね〜。好きだわ(笑)。

  • 「指」と「飯」の2編が収録されている。
    どちらも主人公は不器用でちょっとカッコ悪い男たち
    「指」はスリの話だが、へぇースリってこんなに奥が深いんだー、とか変な所に感心してしまった・・・
    「飯」は普通に邦画のようなイイ物語。個人的には「飯」がお気に入り。

    どちらの話にも共通することが登場人物が魅力的で、情に溢れているということ。

  • 「指」・・・盗癖を恐れる男がその才能を見込まれてスリグループのプロジェクトに参加するのだが・・・
    「飯」・・・オレはツイている!無職半年、金に困った俺に定食屋でアルバイトをすれば一月30万という話がやって来た。ただし、その定食屋の向かいの刑務所からある男が出所したらすぐに知らせろと・・・

  • 三羽さんの小説は「ニート・・・」以来久しぶりだったのだが、最高に面白かった。中編二本なんだが、それぞれ息もつかせぬ展開で、読み始めると本がおけない。手堅い公務員の仕事があるのに、天性のスリの才能と盗癖に苦しんでいる男の話(「指」)は、他のエピソードも加えて、連作短編にできそうな感じ。「え、もうこれで終わりなの」と思ってしまった。飯屋でバイトする男の「飯」も、もう少し膨らませて長編にすることもできそう。期待している。なおこの二つの物語の登場人物は一人(鍵師のおばあちゃん)だけリンクしている。

  • JUNK(ジャンク)毒にもなれない裏通りの子悪党・・・・のタイトルに引かれ手に取りました。2話のお話が納められており一話は掏摸たちの話 『 指 』 都会の片隅で生きていくプロ掏摸と盗癖を持つアマチュア掏摸の物語はどうしようもない人間の持つ性の一つの形が人間臭さタップリに語られていました。2話目の 『 飯 』 はとっても良いお話でした。登場人物はやはり犯罪歴を持つものや現在も法的ぎりぎりのどうしようもない人たちですが彼らに関わる中で主人公タクがニートな人間から成長していく姿は微笑ましいものを感じました。2話とも人間臭く町の裏通りの匂いプンプンで楽しく読ませていただきました。

    読後感=引用:『それでも、俺たちはそこそこツイテいる・・』

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  • 「指」と「飯」の中篇の2作品。

    三羽省吾の中ではベストと思われる。

    個人的には「飯」がサクサク読めるのでオススメである。

    確かにトントン拍子で上手く行き過ぎで都合が良すぎるが、強引に話を進めるならばコレぐらいで丁度いいのであろう。

    中篇なので、JUNK2も期待したい。

  • 主人公は世の中を中途半端に生きる二人の男、物語は「指」と「飯」の2篇あるが、どちらも日々ダラダラと過ごしている男が、ちょっとした騒動に巻き込まれてしまう。自分には関係ないと言い聞かせながらも自分と関わる人間たちの影響で少しずつ成長していく物語。巻き込まれる出来事は大規模ではないが、強がっているが臆病で人生の負け組みと言われる主人公が感情的に他人のために必死になる成長が読者を熱くさせます。ストーリーもわかりやすく、なにより登場人物が全員が憎めない人物ばかり。少しカッコつけていて、どこか温かい、情にあふれる物語です。

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著者プロフィール

1968年岡山県生まれ。2002年、第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した『太陽がイッパイいっぱい』でデビュー。06年『厭世フレーバー』で第27回吉川英治文学新人賞候補、09年『太陽がイッパイいっぱい』で第5回酒飲み書店員大賞受賞。12年『Junk 毒にもなれない裏通りの小悪党』で第33回吉川英治文学新人賞候補。『ニート・ニート・ニート』は18年に映画化された。他の著書に『イレギュラー』『タチコギ』『Y.M.G.A 暴動有資格者』『路地裏ビルヂング』『ヘダップ』『俺達の日常にはバッセンが足りない』などがある。

「2021年 『共犯者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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