美人薄命

著者 :
  • 双葉社
3.61
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本棚登録 : 294
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238136

作品紹介・あらすじ

孤独に暮らす老婆と出会った、大学生の総司。家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語り始める。残酷な運命によって引き裂かれた男との話には、総司の人生をも変える、ある秘密が隠されていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 文体、特にユーモア関連のセンスがもうひとつ。いくつか張ったように見えた伏線が放棄されていたり、全く必要性を感じないエピソードがあったりする。介護問題についても掘り下げが浅い。ラストの謎解きも「ふーん」で終わる感じで驚きは無い。
    さらっと読めるのはいいのだが、全体的に、多作作家が流して書いた感が満載。4.5

  • 泣いた。

  • 大学進級のために始めたボランティア、それが老婆カエとの出会いだった。 カエの悲しい過去に触れていくうちに変わってゆく主人公。 悲しい過去の恋物語の結末は・・・?

    一般小説に擬態してるミステリーであり、老婆との切ない恋物語とボランティアを通じての主人公の成長は非常に読後感が良い。 
    旧友や杉村女史との絡みは総司の女性観や仕事観の変化を著していったものなのだろうか、特別必要な記述だったかは微妙。

  • 大学生の総司は単位を取るためだけに老人用弁当の宅配ボランティアを始めます。そこで出会った老婆カエ。戦争で家族と片目を失い孤独に生きる彼女は、不自由で質素な生活をしているのにとてもお茶目で、ひとつひとつの行動が本当に乙女で可愛いです。楽をすることしか考えていなかった総司が、悲惨な戦時中の体験や初恋の思い出を聞くことによって、戦争を自分で調べようとするほどに変わっていきます。嫌でもひきこまれ、涙こぼさずにいられません。ミスリードをきちんと含んだしっかりしたミステリだったところもとても良かったです。

  • まじめなボケをかますカエ婆ちゃんと、思考はイージーだけど好青年な現代っ子総司の軽快なやり取りがおもしろく一気に進む。世代がだいぶ離れた二人の交流のほのぼのした結末を思い描いた矢先、物語は意外な様相を見せ始め、もう最後まで勢いは止まらない。壮大な仕掛けとアナグラム、読者は洩れなくカエ婆ちゃんの手のひらの中。
    見えない想いに守られている限り人は孤独じゃない。作中の「…人間に生きる力を与えてくれるのは、いつも他の人間なんだもの…」の言葉が読後胸に温かく流れ込んでくる。

  • 軽かったけど、思ったより
    良い読後だった。
    いろいろ浅いけど。
    杉村さんに気をつけた方がいいってのは
    なんだったのかしらん⁇
    あと、表紙の絵は内容とあってなさすぎでは…

  • 意外性でびっくりの連続。
    女性はいくつになっても女でありたいものなんだなあって
    実感。
    お茶目なおばあさんを演じつつも胸に深いおもいがこもっていたんだね。

    日本語の言葉遊びが秀悦!!!

  • 語り継ぐべき戦争の哀しさ、そして、現代社会の課題を示しながら、軽快にユーモアを交えてミステリアスに進む。読後感も爽やか。

  • 最後まで目の話せないストーリーでした。
    老婆と交流を持つ事で、本来持っている優しい青年の心が素直に出せる大人に成長したのも、老婆との出会いがあったから…
    見ず知らずの若者と老婆が茶飲み友達になるなんて絶対ありえないと思うが、こういう関係こそが現代にかけている所なんだろうなって思います。
    この作品はミステリーなんですが、ミステリー作品にしてしまうのはもったいないなぁ〜

  • なかなか面白かった。
    老婆と青年の交流と挿入される老婆の戦争中からの物語が語られる。
    そしてラストにその物語に関する謎解きが行われる。
    なかなかいい作品でした。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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