かりんとう侍

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 101
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238334

作品紹介・あらすじ

日下雄征は旗本の次男坊、気ままな部屋住みの身だ。凛として色気のある芸者・鶴次と情を交わしたり、好物のかりんとうを囓って過ごしていた。しかし、黒船来航で大騒ぎの世の中で一抹の不安に駆られる。そんな時に出会った戯作者・鈍亭魯文と意気投合。二人は、雄征の幼馴染みの切腹事件や、爆発した水車小屋をめぐる幽霊話の真相を探るのだが…。進むべき道を模索する青年の成長と彼を支える人々の優しさが胸を熱くする極上の時代エンターテインメント!期待の新鋭が放つ幕末青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • かりんとうが好物の旗本次男坊・日下雄征が、自分の生き方を見つけるまでのモラトリアム・ライフ(?)描いた人情噺です。

    黒船来航で世情がバタバタする中、かりんとうを食いつつ、恋仲の芸者・鶴次さんの元でグダグダしたりと呑気な生活を送っている雄征。
    学問も剣術もイマイチな半端人間のわりに、鶴次さんに惚れられたり、武士嫌いの戯作者・鈍亭魯文と仲良くなったりと何気に人たらしなのは、武士にしては偉ぶったところがなく、根がいい奴(そしてちょっとイケメン)だからですかね。一方、雄征は基本的に嫌なことはしたくない的な“ニート気質”な部分があるので、その辺を魯文にガチで怒られたりしながら瓦版のお手伝いで事件現場に行ったりとユルユル話は展開します。
    兄から持ち込まれた縁談を妬みから妨害されたり、安政の大地震を経て、徐々に自分の生きる道をみつけていこうと模索する雄征の姿は、現在の若者たちにも通ずるところがあるかもしれません。
    ラストで雄征が自分のやりたいことを見つけて決断できたのは良かったです。まさに“かりんとう侍”のタイトル通りのオチでしたね。

  • 旗本の次男坊、日下雄征(くさかたけゆき)は、剣の腕も無いし、勉学も熱心ではない。
    良いところと言えば侍なのに偉ぶらない、まっすぐな性格(と、女受けがするやさしげな面)
    兄が継いだ実家は、賄頭という比較的裕福な家なので、好物のかりんとうをかじってのほほんと暮らす身分。
    憎めないけど、それほど魅力も感じない主人公ですが、同じく次男で行く末に不安を抱く、武家の幼なじみ達との葛藤は、妙にリアルでした。
    「己の心が満ち足りていたら、どうして他人の幸せを妬む。己の力を信じているなら、あえて他人を見下して安心しようとすることはない」(P-172)
    なるほど。

  • 優柔不断な部屋住みと芸者の織りなす、かりんとう中心の物語。

  • 今までも何かに悩んでいる時、それを救ってくれた名言は、だいたい身近な奴の言葉だったりする。生き様としては魯文でありたいが、まだまだ弱いかりんとう侍だな。そのうち強くなってやる!でも、かりんとうは食べ続ける。

  • 身分に甘えている(かりんとう、とカケている?)旗本の次男坊のお話。
    自分のやりたいこと、やるべきことが見つかって良かったね、という感じでしょうか。

  • 男の嫉妬はいつの世も醜いな。

  • 日下様と鶴次姐さんが幸せになってよかったよ!
    かりんとう食べたくなった。

  • 短編連作。時は幕末、旗本の次男坊が主人公。周りから考えが甘いと散々言われる彼だが、いくつもの出来事を経て思うように生きていこうとする姿が爽やかに見えた。魯文がいいキャラをしていた。前に読んだ作品よりはまとまってたと思う。

  • 舞台は幕末の江戸、旗本の次男日下雄征(くさかたけゆき)は近所のささやのかりんとうが大好物。ちょっと頼りなく真っ正直だけが取り柄の男が、自分は何をしなければならないかを考え、それを見つけて行く。瓦版の記事しか書かない戯作者鈍亭魯文、惚れられた芸者鶴次と共に最後は安政の大地震を乗り越えて行く。

  • L

    かりんとうをこよなく愛する侍の悩みと侍を捨てて世のために尽くそうとするまでの話。

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著者プロフィール

早稲田大学教育学部(講談社文庫初期の傑作『古典落語』を編んだ興津要のゼミ)卒業。横浜在住。2007年、第2回小説NON短編時代小説賞で「寝姿指南」が最終候補になり、08年、「素見」で小説宝石新人賞を受賞。若き町医者を描いた初長編『刀圭』と、受賞作を含む短編集『ひやかし』が好評を集める。祥伝社文庫既刊に『江戸の茶碗』『酒が仇と思えども』。著書に「着物始末暦」「大江戸少女カゲキ団」シリーズ、『うき世櫛』『御徒の女』『神奈川宿 雷屋』などがある。

「2022年 『吉原と外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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