蛇行する月

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 783
レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238358

感想・レビュー・書評

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  • 道立湿原高校を卒業した図書部の仲間たち。
    その中の一人、順子は親ほどの歳の男性と駆け落ちをし、釧路を出ていく。
    順子を取り巻く六人の女性たちの目線から綴った連作短編集。
    生きることに必死で過去も未来も考える暇もない順子。
    捨てた故郷には帰れるはずもなく。
    それでも彼女は「幸せ」だと言い切る。
    そんな彼女がいったいどう彼らに映っているのか。
    そして自分の幸せはどこにあるのか。

    桜木さん、最新作。いや~、よかった。まさに新境地。
    「ホテルローヤル」で自身のトラウマである過去を昇華しきったのか、この作品には性愛がほとんど描かれていない。
    彼女の作品特有の女のどろどろした部分を極力抑えて、逆に女同士の絆の強さが前面に出ている。

    六人の女性それぞれが過去に囚われて生きている。
    その中でもがきながらも自分の幸せを探していく。
    幸せに規範なんてない。他人と比べても詮無いこと。
    彼女たちの真摯な姿に心を打たれる。
    そんな中、一人だけ自分の幸せを疑うことなく「今」をがむしゃらに生きる順子。
    みずからは語ることのない順子だが、六人の女性を通して対比的に順子を描く構成は見事。

    「ホテルローヤル」でがっかりした人、多分いるんじゃないだろうか。
    それだけが桜木さんじゃありません。
    本書も是非ご一読を!

  • 桜木紫乃さんの本は3冊目ですが、この本が一番好みです。

    北海道・湿原高校の図書部に所属していた清美・桃子・美菜絵・直子、順子の5人。
    この5人と周りの人達との関わりを描いた6編の連作短編
    卒業後に彼女達5人が歩んだ道は全く違う。
    その時々に必死で選んだ道。

    その道で良かったの?と問うたら声を揃えて返事が帰ってきそう。
    "もちろん!"って。
    ラストの2編は特に良くて涙が……

  • 始めての桜木作品でしたが、さすが直木賞作家という感じの作品でした。
    25年という時間の流れの中で、幸せとは何かを問いながら人生の岐路に立つ6人の女性の繋がりを描いた作品。
    幸せの意味を問いかけ、人生の儚さを感じつつも女性の生きる強さを感じさせる、構成も良い作品だと思いました。

  • 高校の図書部員の女の子たち四人のそれぞれの話。その彼女たちに関わる大人の女二人の話の6章が描かれている。好きになった高校の先生に告白し問題になった順子は他の女の子たちの幸せの尺度を押し測っているような、気遣うような思いを馳せながらの連作で話がまとまっていきます。
    あらためて著者の女の心の襞、心理を突く文才に感心してしまいました。きれいごとだけじゃないこの世を描きながら誰も見捨てないところが胸を打ちました。

  • 読者に「幸せ」を問いかける一冊。

  • 釧路の高校で同じ図書部だった清美、桃子、美菜恵、直子と、就職先の和菓子の主人と駆け落ちした順子、順子の母静江、駆け落ちされた妻弥生がそれぞれ主人公になる連作短編。

    じっとりと不幸なイメージがつきまとうストーリーですが、最後は自分で何かにケリをつけるという感じで終わっているので、それぞれの未来を応援したくなります。

    各章で駆け落ちした順子のその後が描かれていますが、貧しいながらもずっと笑顔で幸せで、最後は余命数ヶ月の命になりながらも、大切な一人息子のことを思いその幸せを願っている。

    何が幸せで何が不幸か、人それぞれということでしょう。

  • こういう流れの短編はすごく好きだし、この作品は面白かった。それぞれの幸せの形があり、他の人には見えない幸福が有るんだなと感じた。とても幸せには思えないのに。

  • 6人の女性についての短編集。同じ高校の部活仲間4人の卒業後と関係者、とでも言っておこう。
    桜木作品には市井の人のぞっとする日常を描いていて、普通の人って括りはありえない。

  • 人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。

    桜木柴乃さん『ラブレス』で泣かされて
    2冊目でしたが、『蛇行する月』も好きだなぁ。

    『順子、幸せなんだね。』
    『もちろん』

  • 順子の存在がまぶしい
    周囲の人々にとって月の光のよう
    暗闇に隠れているけど
    ほんのり照らす道しるべ
    明るくはない
    でも輝く星には変わりない
    貧しく病魔に侵されてもなお
    幸せと言い切れるその姿
    胸を打ちました

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。『ワン・モア』『起終点駅(ターミナル)』『ブルース』『それを愛とは呼ばず』『霧(ウラル)』『裸の華』『氷の轍』『ふたりぐらし』『光まで5分』『緋の河』等、著書多数。

「2020年 『砂上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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