蛇行する月

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238358

感想・レビュー・書評

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  • どことなくみんな負のオーラを纏ってる感じがしてあんまり好きじゃなかったな。
    登場人物の中で1番好きやった直子さんがもっともっと幸せになれたらいいな。
    順子さん…もう少し長くお父ちゃんと輝と一緒に入れたらいいな…

  • 高校の図書部員の女の子たち四人のそれぞれの話。その彼女たちに関わる大人の女二人の話の6章が描かれている。好きになった高校の先生に告白し問題になった順子は他の女の子たちの幸せの尺度を押し測っているような、気遣うような思いを馳せながらの連作で話がまとまっていきます。
    あらためて著者の女の心の襞、心理を突く文才に感心してしまいました。きれいごとだけじゃないこの世を描きながら誰も見捨てないところが胸を打ちました。

  • 読者に「幸せ」を問いかける一冊。

  • 釧路の高校で同じ図書部だった清美、桃子、美菜恵、直子と、就職先の和菓子の主人と駆け落ちした順子、順子の母静江、駆け落ちされた妻弥生がそれぞれ主人公になる連作短編。

    じっとりと不幸なイメージがつきまとうストーリーですが、最後は自分で何かにケリをつけるという感じで終わっているので、それぞれの未来を応援したくなります。

    各章で駆け落ちした順子のその後が描かれていますが、貧しいながらもずっと笑顔で幸せで、最後は余命数ヶ月の命になりながらも、大切な一人息子のことを思いその幸せを願っている。

    何が幸せで何が不幸か、人それぞれということでしょう。

  • こういう流れの短編はすごく好きだし、この作品は面白かった。それぞれの幸せの形があり、他の人には見えない幸福が有るんだなと感じた。とても幸せには思えないのに。

  • 6人の女性についての短編集。同じ高校の部活仲間4人の卒業後と関係者、とでも言っておこう。
    桜木作品には市井の人のぞっとする日常を描いていて、普通の人って括りはありえない。

  • 人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。

    桜木柴乃さん『ラブレス』で泣かされて
    2冊目でしたが、『蛇行する月』も好きだなぁ。

    『順子、幸せなんだね。』
    『もちろん』

  • 順子の存在がまぶしい
    周囲の人々にとって月の光のよう
    暗闇に隠れているけど
    ほんのり照らす道しるべ
    明るくはない
    でも輝く星には変わりない
    貧しく病魔に侵されてもなお
    幸せと言い切れるその姿
    胸を打ちました

  • 勤め先の20歳も年上の男性と駆け落ちした順子。彼女と過去に関わった6人の女性が、それぞれの悩みや孤独を抱えながら、現在の順子の生き様を知ることで自分の幸せについて考える短編小説。

    短編がひとつすすむごとに時代が数年後にうつり、6人の女性の目線を通じて順子の物語がどう進んでいるのかがわかる。
    順子が主人公になった、順子目線の短編がないところがおもしろいなと思いました。

    駆け落ち後の順子はお世辞にも順風満帆な人生とはいえない。6人の女性たちはそれぞれの立場から、順子の暮らしぶりを評価する。
    自分より下、自業自得、みすぼらしい、みじめな生活ー
    そうした最初の思いは、順子の話を聞くうちに、自分の人生と照らし合わされ、なぜか羨望だったり優しいまなざしに変わってゆく。

    それは順子がまっすぐで、自分を幸せだと強く感じ続けているからなのか。
    しかし最後の章、順子の運命はあんまりで泣けました。

    『ホテルローヤル』は正直おもしろいと思えなかったのですが、これはよかったです。
    読んでてつらくもどかしいところもありましたが、前を向こうという気持ちにさせてくれました。

  • お金があるとか身なりがいいとかそんな表面的なものと幸せとはイコールではない。
    自分自身が幸せだと思えるかどうかが重要。
    自分だけの幸せを見つけられればいいんだわ〜。
    毎日楽しい、笑って暮らせている、そんなあたしは幸せだ。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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