幻霙

著者 :
  • 双葉社
3.02
  • (2)
  • (5)
  • (31)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 93
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238440

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「凍花」に続いて2作目の作家さん。倉庫の日雇いバイトで生計を立てるカップル蒼太と桃里。二人の気持ちが少しずつずれていき・・・蒼太の心の闇がじわじわと染み出るように描かれていて真綿で首を絞められるような気持ち悪さ。毒母に育てられた悲劇というより、この人はもともとマザコンのサイコパスなんじゃないかと感じてしまった。母親も普通ではないだろうけど、すべてを両親のせいにして、責任逃れの言い訳のようで同情できる要素はないと思った。最後まで何も救われない、終始、陰鬱な雰囲気が漂う本でした。

  • 母親から虐待ともいえる仕打ちを受けて育った蒼太は、いつの間にかまわりの顔色を窺うようになってしまう。イケメンで優しい蒼太の裏の顔が、通り魔事件を切っ掛けに少しづつ露わになっていき、とうとう一線を越えてしまう衝動が恐ろしいというよりとても悲しく感じてしまいました。蒼太のしたことは許されることではないけれど、父親の無関心が一番の罪だと思います。

  • 怖い話だった。おもしろかった。あの人がああだとは全く気づかなかった…

  • 昔読んだ「凍花」の作家さんの本を図書館で見つけたのでチョイス。
    虐待、無差別通り魔殺人、目標を持たない登場人物たち…。
    なかなかに救いどころのないストーリーの本。
    虐待の描写にゾッとしながらも、日本のあちこちで起こっている出来事であり、時折明るみになっている現実を思い出す。
    通り魔殺人だってそう。
    毎日とは言わないけれど、ちょいちょいリアルに起きている。

    人は桃里みたいに何気なく殺人者とコミュニケーションをとってるものなのかもしれないな。

    小説の中でくらい前向きなラストが用意されていて欲しかった…

  • 交互に二人の語りで展開しとても読みやすく、気になるから、どんどん読み進む。残り三分の一くらいからスピードアップしていき、そういう事で終わるのねと何とも言えない読後感。母親の歪んだ感情により育てられた少年。自分が母親の背を越した時に、支配されているのではない、と覚醒するというが、まさにそこからの展開が怖かった。
    父親も全く存在感無しで、こんなやつ居るか?と感じるし、登場人物の誰にも感情移入出来ず…
    正直苦手なお話。

  • 日払い派遣アルバイトの蒼太。ある日、同棲している彼女・桃里(ももり)に、無差別殺傷事件の犯人と似ているといわれ戸惑う。
    蒼太と桃里、2人の視点から日々の生活が淡々と語られ、心理描写、回想シーンが続く。
    普通の小説なのか、ミステリーなのか、とても面白かった。
    (図書館)

  • 嫌いじゃないけど、救いのない終り方をした物語だった。

  • 読メのレビューを見て面白そうだったので図書館へ。
    なかなかに面白い。
    そして非常に読みやすい。
    最初からなんとも不穏な雰囲気ではあったが、まさかの展開へ。
    なるほどそういう作品だったか。
    結構面白く一気に読んでしまったが、虐待の描写などは石田衣良の北斗にはかなわないな。
    そしてキャラクターがちょっと薄いかな。
    もうちょっと感情移入できればなおよかった。

  • うん、良かった。派遣で生活するつらさと、虐待。今の時代を上手く表している。
    哀しい人殺しだった。しかし暗くて怖かった。

  • 父親の存在が薄い。まるで母子家庭のようだ。母親も精神状態が不安定で、優しくしてくれたと思ったら、急に人が変わってみたいに怒ったり・・・。戸惑うよねぇ。僕の何が悪かったの?今日は機嫌がいい?悪い?と、まだ幼い子に母親の顔色うかがうような毎日。そんな気遣いさせたりして可哀想に・・・。母親がそういう状態なら、父親がフォローしてあげなきゃ。父親は何していたんだ?気付いていたんでしょ?なのに何でそんなに無関心でいられたの? 父親〜、ちょっと出て来い!って感じ。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六四年大分県生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。二〇〇八年、「千の花になって」(文庫化にあたり『踏んでもいい女』に改題)で第九回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。姉妹の確執を描いた第二作『凍花』がベストセラーに。他の著作に『幻霙』『日本一の女』『40歳の言いわけ』がある。

「2017年 『五十坂家の百年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斉木香津の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×