ケモノの城

著者 :
  • 双葉社
3.21
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本棚登録 : 1754
感想 : 281
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238587

感想・レビュー・書評

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  • 2.4
    いや〜、グロいですね。
    グロいとは聞いていたけど、こういう感じだったとは、ちょっと予想とは違ってました。
    内容云々というより、この気持ち悪さが耐えられるかどうか、という話かもしれません。
    オチも微妙です、残念。

  • 極悪非道、鬼畜、まさにそういった言葉が当てはまってしまうような、1人の男によって起きた一連の事件と、その事件に関わった数々の被害者と加害者についてを描いた作品。「北九州監禁殺人事件」を基にした作品ということで、作中に出てくる通電を利用した虐待や、とんでもない死体処理が実際に行われていたということが信じられない。

    人や物に対しての愛情を全く感じず、ただ生きていくために利用していらなくなったら捨てる。ひたすらに貪欲で「ケモノ」のような犯人は、人間の面を被っているものの、中身は決して人間ではない。「ケモノ」が人間に“化けて”いる「バケモノ」である。という表現には戦慄を感じた。



    結局、事件の真相は未だ闇の中。
    あの小さな一室の中では何が起こっていたのかもはや知る由も無く、犯人も不明。被害者含め事件に関わった人皆が不幸になっている。決して読んだ後に明るくなれるような作品ではないけれど、改めて人の怖さを知るきっかけになった。

    作中で犯人だと言われていた「ウメキヨシオ」なる人物は、周りの人達をどんどん自分に従うようコントロールし、非情な振る舞いをしていたが、彼のもたらした影響の中でも恐ろしいのは、彼の凶悪性が徐々に周りの人たちに“感染”していったということ。人は時にはどこまでも残酷になれる。そして、そんな状況にいつしか慣れてしまう。「まさか自分は…」なんて思わず、このことは少なからずも教訓になった。

  • 散らばっていたいくつものピースが、目の前でカツカツと音をたて、次々とはまっていくというフレーズがよく合う。
    最後まで謎は残るが、全てキレイに真相が判明しない点がよりリアルであると感じた。
    ただ、バイオレンス度が際立つ表現も多く、個人的にはもう少し抑えてある方が読みやすいとは思った。

  • 大好きな彼女と同棲中の辰吾。ある日、仕事を終えて帰宅すると見知らぬ男が居座っていた。
    彼女の父親だというその男は、一向に働かず、好きな時に出かけ、忘れた頃に帰って来る。
    時を同じくして町内で起きた監禁事件。生存者から語られるのは凄惨極まる事実だった…。

    社会との断絶、家族同士の分断。衣食住の全てを把握する鬼神を祀るためだけの世界―
    彼女の父親を訝る辰吾と、監禁事件を調べる警察。二つの目線で進んでいく物語です。
    あまりに酷いので、ストーリーとかミスリードとかどうでも良くなるというか…
    鬱々と読み、読了後も鬱々。次は明るいの読もう…。

  • 淡々と恐ろしいことが起こっていくのが怖い。
    文字だけ見ていても気持ち悪いのに、想像すると不快極りない。
    でも世の中には似たような事件がたくさん起こっている。
    明るみに出ていない事例も考えると、いったいどんな人間がこんなケモノになっていくのかが知りたくなる。
    取りこまれていく人間は、もう壊れるしかなかったのだろうか。

  • 呼吸を忘れる小説。

  • グロい。実際に起きた監禁殺人事件を元にした話らしいが、とにかくグロい。
    少し前に同じ事件を元にした櫛木理宇さんの『侵蝕』(改題前『寄居虫女』)を読んだ。こちらは不眠と恫喝、暴力で精神的に追い詰めていったけれど、本作は肉体的な苦痛を与える描写が多い。特に死体損壊シーンが生々しくて、グロいのには耐性のあるほうだけど、しばらく骨付き肉を遠慮したいと思うぐらいにはキツかった。
    そういう意味では、読む人を選ぶ作品かも知れない。

    物語は保護された女性から話を聞くベテラン刑事、捜査にあたる若い刑事、同棲中のある若いカップルの日常と3つの視点で進んでいく。
    保護された女性が語る事件の異様さに圧倒されるけれど、主犯と見られる“梅木ヨシオ”とは誰なのか、どこにいるのか、一応ミステリーとしての要素もある。
    一見事件とは関係なさそうなカップルと事件との関係が明らかになるにつれ、その要素は増してくる。
    ただ、ラストはちょっとすっきりしない。けれど、ホラー的な含みを持たせたと言えなくもない。そうなると「ヨシオは感染する」という一文がジワジワと浸透してきて怖さが倍増する。

  • 北九州の連続監禁事件を元にした作品。

    消された一家を積読にしていて、こちらを読み始めたら先が気になって、どんどん読み進めてしまった。

    結局…中本三郎が梅木ヨシオだったのか。
    最後の殺人は、どちらがやったのか。
    曖昧なままで何もかも終わっていった…。

    これを機に消された一家を読もうと思う。

    実際の事件では、弘夢くんくらいの歳の子も殺人に協力させられていたし、もっと救いのない話なんだろうな…。

    はぁ…。
    憂鬱になるな。
    こんな事件、もう二度と起きてほしくない。

  • 残酷な描写が、賛否分かれると思いますが、展開が気になり、ページをめくる手は止められませんでした。残酷すぎて万人にはオススメできません。

  • 実際にあった、北九州の連続殺人事件を元にした小説。監禁し、DVによってマインドコントロールし、自らは手を下さず、支配下に置いた監禁者によって殺人を起こさせる。

    気持ち悪い。ともかく気持ち悪い。気持ち悪くて気分が悪くなるから、逆に途中でやめられない、そして早く読み終えたくなる。人間はなぜこんなにも残酷なことができるのか。そして人間とはこんなにも弱い。人格が壊されたまま生まれたとしか思えない。“壊れても、それはやはり「人間」”。

    文中のカップルが唯一の癒しだったのに。。。なんて救われない話なんだろう。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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