リップステイン

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 135
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238662

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとチカラワザ的収斂だとしても、全体が大きく動いていく中で香砂の狩りの結末と優子の行く末が気になって一気に読み切ってしまった。悪意でつながった三つの物語、リアルとファンタジの境目をすり抜けるような展開は面白かった。
    香砂と如月と優子、三つの全く別の次元の物語が「悪意」によって一つに結び付けられたときその全体が明らかになる。
    その三つの物語を一つにつないでいったのは、どこにでもいるようなゆとり世代の青年行人。
    このキーマン行人の性格、というか、設定がちょっと…。
    自意識過剰で自信家でだけど卑屈なところもあって、人とうまく付き合えない、いわゆる「ぼっち」。それなのに正反対の性格の美晴に見初められたり、行きずりの香砂に食住を無償で与え危険を承知で狩りの助っ人をしたり…冷めてるのか熱いのか、どっちだ?

  • 途中までつまらないとおもっていたけれど最後一気に読んだ。渋谷で悪意を地夜叉により退治する赤ジャージの少女と、ドキュメンタリーをとる学生の話。結果おもしろかった!

  • <Lipstain>
      
    写真/矢西誠二
    モデル/逢月ひな
    装幀/鈴木久美

  • ストーリーや謎解き、伏線の回収にさらにちょっとした仕掛けなど、この作家さんらしさは健在です。映像科の学生をメインに話が進んでいくところも同様です。しかしながら他の作品に比べてストーリーに入り込みにくく読み難さを感じていました。途中でファンタジーというかオカルトっぽい部分が出てきて納得しましたが。そのあたりが私の読みたかったものとは違ったからだと思います。決してどこか悪いとかではなく、むしろ良く計算されているとは思うのですが、人は選ぶ気がします。その後がとても気になりますが続編があるのでしょうか。

  • 82:意外に、ファンタジー要素が入っててびっくりしました。香砂ちゃんが登場した時はただの「イタイ子」だったけど、それなりに科学的アプローチもされてて、ファンタジーのようなSFのような、というノリでした。長沢作品のキモともいえる「映像」を絡めたミステリで、学生たちの雰囲気や夏目くんのプライド問題なども盛り込まれてて、かなりギッシリ感があったような。犯人を追い詰めるシーンはすごくよかった!

  • 消失シリーズからすっかり作家さんのファンになり、今回もどんでん返しを期待して購入。
    全く関係がないように見える場面が後半に入りどんどん繋がっていく様子はやはり圧巻でした。
    主人公たちが中身をどんどんさらけ出されていく場面は、自分の中にもある汚い部分を見せつけられているようで苦しく、しかしとっても爽快でした。
    オカルトじみた展開には少し引いてしまいましたが、それでも構成とキャラクターの魅力に引き込まれ、最後まで楽しんで読むことができました。

  • 全体的に荒削りな印象を受けるが、目が離せない疾走感がある。続編があったら読みたい。

  • 「ぼっち」「中二病」といった単語が出てくるところがイマドキだなあと思いました。ミスリードを促す部分は気づかなかった。。

  • 夏制作の映像を作る専門学生、
    悪意を追いかける少女、
    暴行事件を捜査する刑事、
    渋谷を舞台にそれぞれが交差する。
    ミステリを期待していただけに、
    非科学的な物が出てくるのはちょっと…
    主人公の男の子が他の作品と似たような感じ。

  • 途中で止めてたのを読了。
    以前読むのを止めていた理由は、主人公がコンプレックスを隠す姿が辛かったから。
    そのコンプレックスが、誰もが共感できるであろう、
    自分より優れた人に追いつきたい、認められたいというものだったから、刺さりすぎて読むのを止めてしまった。
    意見を求められても、無難な言い回しで回避し、でも承認欲求を隠しきれてない主人公が自分に重なったのだろう。
    事件を起こしそうにない人が事件を起こす理由を"悪意"が取り付くからというオカルトじみた理由にしているが、あながち間違ってはいないのではないか。
    実際、良い意味でも悪い意味でも、何故あの頃夢中になっていたのかわからないことは皆あるのではないだろうか。
    何かがきっかけで、夢から覚めたように、当時を振り返ることができる。
    悪事を働いたり、ネガティブな感情が強いときのそれを"悪意"と表現したのではないか。
    夏目の場合は、コンプレックスが"悪意"に近い存在であり、香砂により"悪意"が取り除かれ、自身のコンプレックスに向きあうことができた。
    自己表現や承認欲求に関するコンプレックスをこの本を通して自覚させられるため、読むことで自身の"悪意"を取り除くことができるのかもしれない。
    少なくとも見たくないものを見せられ自覚させられた気はする。
    ジャンルは推理小説やミステリでは無いと思う。

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著者プロフィール

新潟県生まれ。二〇一一年、『消失グラデーション』で第三十一回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー。同作は各種ミステリランキングにランクインするなど、高い評価を受ける。一三年、『夏服パースペクティヴ』で第十三回本格ミステリ大賞候補。テレビ番組制作に携わる傍ら小説を執筆している。その他に『ダークナンバー』『クラックアウト』など著書多数。

「2023年 『アンリバーシブル 警視庁監察特捜班 堂安誠人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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