3時のアッコちゃん

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 2976
レビュー : 447
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238778

作品紹介・あらすじ

アッコ女史ふたたび! 大人気の「ランチのアッコちゃん」に、待望の続編が登場!!
澤田三智子は高潮物産の契約社員として、
シャンパンのキャンペーン企画チームに入っているが、会議は停滞してうまくいかない。
そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんであった。
イギリスでティーについて学んできたというアッコさんが、お茶とお菓子で会議の進行を激変させていく。
またもやアッコさんの底知れぬ力をまざまざと見せつけられる三智子であった――
表題作ほか、「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」を含む全4編。

感想・レビュー・書評

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  • 「ランチのアッコちゃん」って、表紙からして何か可愛すぎと思っていたが、挑戦してみようと、「ランチのアッコちゃん」と「3時のアッコちゃん」を手に取った。

    結論から知りたい性格なので、まずは、続編の「3時のアッコちゃん」から読み始める。

    前巻を読まないと次巻に理解が繋がらないような連続したストーリー性がある作品の場合を除き、人気の出た物語の後にその続巻として出たようなものにおいては、後ろ巻から読んでいくのも、なかなか面白く、続巻あるいは順不同で読むことがある。

    その場合、本文中に何の説明もなくそこに当然のように登場してくる人物や前置きのない状況など、たまに読み始めた私には状況を理解することが難しい場合もあるが、自分の中でその人物の性格などを自分流に積み上げて、前巻で説明されている状況も想像したりして、後に読む前巻で自分の理解やイメージを正しかったとか、イメージのズレがないかを確かめたりしていくこともでき、面白い。

    ただし、きっと、これは作者の意図する読者への期待とは異なっているかもしれないと思っている。

    さて、本作「3時のアッコちゃん」は、4つの短編からなる作品である。
    「ランチのアッコちゃん」があるので、「おやつタイムのアッコちゃん」でもよさそうなものであるが、なぜ作者が『おやつの』ではなく『3時』としたのかは、この作品を読めば意図が理解できる。


    第1話 『3時のアッコちゃん』
    アッコさんこと黒川敦子さんと澤田三智子さん。
    三智子のパートナーであり児童書専門の古本店「ハティフナット」の店主・笹山隆一郎より店番を頼まれていた時に、アッコさんが来店。
    高潮物産で働く三智子は、派遣社員から契約社員になった。クリスマスシーズン発売されるシャンパンの販促活動の企画会議を進行しているがうまくいかない。そこでアッコさんが登場する!

    第2話 『メトロのアッコちゃん』
    アッコさんと会社員・榎本明海さん。
    大卒後に有名フード企業のイタワグループに就職した明海だったが、デリバリーサービスのオペレーター部門に異動し、日々深夜までクレーム対応と上司からの叱責に疲弊していた。そんなある日、メトロのホームのスムージースタンドでアッコさんと出会う!

    第3話 『シュシュと猪』
    老舗の大企業でクッキー有名店の「ハルムスト」でデザイナーとして働く岸和田塔子が本社勤務となり、岡本に転居。ベティという名の猪との遭遇、格闘の中でわかった自分の性格。シュシュのお店の経営者・大島絵梨香、河村茉莉江、遠藤アミとの出会いが記されている。

    第4話 『梅田駅アンダーワールド』
    就職面談のために国立から、大阪梅田に乗り込んだ若林佐江であったが、梅田駅地下街の巨大迷路に迷い込み、面接時間に間に合わなかった。
    梅田地下街での自分の悲劇が喜劇となっていたことに気づかされる。


    本作のアッコさん登場の2作品(「ランチのアッコちゃん」と「メトロのアッコちゃん」)については、会社で働く人間にとって、周りの人間との接し方の基本を教えてくれる。うつ病が蔓延する現代社会において、人間関係であったり、仕事内容であったりと、職場環境の問題は大きな課題である。職場環境の改善は自らではなかなか改善できないかもしれないが、その環境を自分がどのように捉えて気持ちの中で処理していくかということで、改善できることを教えてくれる。
    また、それには、食との繋がりもあるというのが、アッコさんの私見であると思う。

    そして、後半2作品(「シュシュと猪」と「梅田駅アンダーワールド」)については、自分自身の心の持ち方を示唆してくれる。自分の物差しと自分以外の人が持つ物差しとは違う。自分が悩んでいることも他の人から見たらそうではないかもしれない。そんな現代社会を生きていく上での気持ちの持ち方、心のあり方のようなメッセージで、まさに、心においしい短編集であった。

    気軽に読めるが、基本となる考え方、気づきが得られる本であった。

    追伸: 私の中では『アッコちゃん』ではなく、その風貌の描写や態度、対応から『アッコさん』なのであるが、これは前作品を読むと、やっぱり『アッコちゃん』と思うのであろうか?

  • H31.3.24 読了。

     4話で構成された短編集。前半2話はアッコ女史が活躍して、周りの人たちに元気と勇気を与えてくれる作品だった。後半2話はアッコ女史の登場は少なくて、関西が舞台の温かい人情話だった。
     柚木麻子さんの作品は、読んだ後にふんわりと包み込んでくれるような温かい気持ちになれる読後感が良いですね。
     アッコちゃんの続編も読みたい。

    ・「人は想像力に救われ、想像力にお金を払う。不景気で夢を見られない時ほど予期せぬサプライズを切望する。それはまぎれもない事実なのだ。」
    ・「道しるべならこの手の中にあるのだ。いつだってヒントはそばにある。それに気付くか気付かないかは自分次第なのではないか。」
    ・「人の一生を延ばすのも縮めるのも、そんな取るに足りない、ばかばかしい、ささやかな、なくても誰も困らないようなことなのよ。」
    ・「毎日の睡眠と最低限の生活、3食を確保出来る労働環境。寝ることと食べることとしゃべること。それを欲するのは、甘えでも我がままなことでも身の程知らずなことでもなんでもない。真剣に働きたいからこそ、誰かの役に立てる人間になりたいからこそ、必要不可欠なものなんだ。」

  • 気分爽快なのです。なんだか元気も出てきます。

    おかっぱ頭の無表情な大女。
    あのアッコさんがまた教えに来てくれました。

    ガッチガチに凝り固まった価値観に風穴をあけ
    違うところを見つめていた目線を
    グイ~ンと強引に変えてしまい、
    気が付くと見つけているのが
    錆びついた想像力を働かせる脳細胞を動かすボタン。

    4編のうち2編にしか中心的にアッコさんが出てこないのも、
    そんなに私に甘えてどうするの!と言われているようで
    私には丁度良く感じました。

    4編とも、元気をもらえました。
    アッコさんがチョイ役しか出てこない2編は
    関西圏の話でしたが…。
    お笑いをこよなく愛する関西圏の方々は
    色々なことに柔軟な気がします。

    イノシシにも、わかりづらい駅地下にも
    関東にはない考え方にすごいなぁと。

    そこらへんに転がっているヒントをつかむには
    頭の柔らかさが必須なので、お笑いで鍛えないとダメか
    と思った一冊です。

    アッコさんが放つ、青い光。
    次はどんな形で受け取れるのか、
    今から心待ちにしています。

    梅田の駅チカ。すごく気になりますね。
    今度是非挑戦してみたいです。

  • 「ランチのアッコちゃん」の続編。
    アッコちゃんとあだ名される黒川敦子女史。
    会社を離れても、ユニークさとパワフルさは変わりません!

    かっての部下でアッコちゃんを慕う澤田三智子は、今は高潮物産の契約社員となっています。
    シャンパンの企画会議を仕切ることになっているのだが、お茶を出すぐらいの立場の弱さ。
    やる気も起きないでいたところに、アッコさん登場。
    紅茶の本場イギリスで学んできたという腕を見せ付け、見る見る会議を変えていく!?

    「メトロのアッコちゃん」は、地下鉄の駅ホームで、「東京ポトフ&スムージー」の店を出しているアッコさん。
    オペレーターとして働く女性と知り合い、すごい勢いでお節介しまくり。神出鬼没の活躍~!

    「梅田駅アンダーワールド」は就職試験に落ち続けて、大阪まで受験に来た女子大生。
    わかりにくい駅からやっとたどり着いたときには遅刻という。
    しかし‥?

    「シュシュと猪」
    六甲山から時々、猪が降りてくるという町。
    不本意な転勤で、関西に馴染めないキャリアウーマンだったが、名物いのししのベティちゃんに懐かれ、近所のシュシュ専門店ともかかわりが出来ていく。

    それぞれ立場や事情は違っても、働く女性への応援歌みたいなところは共通しています。
    アッコちゃんが後半は出てこなくて、店の名前がチラッと出るだけなのは、ちょっと拍子抜け。
    そういえば、一作目でも、アッコちゃんは最初の予想ほど出ない感じでしたっけ。
    読者の期待がわからないのだろうか‥ 意外と、作者はアッコちゃんを書き続けにくいのか?
    ある意味、アッコちゃんに助けられるのを待ってるだけでは駄目ってことだったりして。

    全体に、元気が出るお話ではあります。
    アッコちゃんの胸のすく活躍は、また見たいものですね☆

  • 冒頭───
    ソーダ味のアイスキャンディーの最後のひとかけをかじりとると、前歯の付け根から頭のてっぺんにかけてぴりりと白い稲妻が走った。もしかすると、虫歯があるのかもしれないが、治しに行く時間もお金もありはしない。目の前がチカチカしたせいで、だらしなく腰かけているレジ台の前に客が立ったことに、澤田三智子はしばらく気付かなかった。ずっと店内をうろつき本をめくっては棚に戻す、を繰り返していた背の高い女がようやく購入する商品を決めたらしい。骨っぽい大きな手で目の前に本のタワーが積み上げられる。
    ───

    前作「ランチのアッコちゃん」は、まだまだ人気があり、図書館の予約待ちが多くて時間がかかるので、先に最新刊のこちらを発売当日に予約したら、あっという間に入荷し読めました。

    前作の評判が高いので期待して読み始めたんだけどね。
    ちょっと期待外れかな。
    つまらなくはないけれど、それほどの人気がどこにあるのかなあ、と考えても、私の頭ではあまり思いつきませんでした。
    アッコさんが、様々な職業の女性たちを助ける物語なのだろうけれど、
    ちょっと軽すぎるかなあ。
    文体のせいもあるんだろうが、女性の悩みが深刻には感じられないので、
    魔法使いほどの女性には感じられませんでしたね。
    それと、この本は四つの話から成り立っているのですが、後半の二話にはアッコさんが全く登場しません。
    「ランチのアッコちゃん」もそうだったのかな?
    なんか無理してそのシリーズの本に仕立て上げたような気が------。
    そんなこともあって、評価は微妙です。
    第三話の『シュシュと猪』はとても面白かったですが。

  • 前作がどんな内容だったっけ?と頭を働かせながら読んだけど、そんな事関係ないやと思えるくらい、短編で簡潔で面白かった。
    アッコさんみたいな人が近くにいたら、思ってる事どんどん言ってくれて視界が広がっていくのかな~~

    「シュシュと猪」が1番好きかも。タイトルだけ見たらどういう内容??って感じだけど。
    関西が舞台の小説が読みたくなった。

  • 「アッコちゃんシリーズ第二弾」は四編中二編が関西を舞台にしています。(岡本と梅田)
    だから関西の読者の方も、今まで以上に楽しめそうな本です。

    柚月麻子さんは小説を書くにあたって、よく歩きよく走っているのでしょう。
    決してセレブ生活や特に変わった体験をしているわけではない。

    これは「派手で華やかなこと以外に、地味で小さなことの中にも幸せがあるよ」という、
    小説の中で麻子さんが語っていることと共通していると思うのです。

  • 柚木麻子さんの本は6冊目。
    【ランチのアッコちゃん】(ちなみに私はブクログで★3つをつけています)の続編と言うことで楽しみに読みました。
    【ランチのアッコちゃん】では前半2話はアッコちゃんの物語でしたのでとても面白かったのを記憶しています。
    この【3時のアッコちゃん】でも、前半2話はやっぱりアッコちゃんの活躍が面白かった!
    が…、後半2話で失速気味に…。
    アッコちゃんの物語である前半2話は2014年初出ですが、後半2話は2012年、2013年初出なのですね。

    ■3時のアッコちゃん
    時間ばかりが過ぎゆく会議。
    アイデアが出てこなくても、そこに居続けることが大事。
    なんて、大きな勘違いなんだけど…
    毎日、30分だけ、と決めた会議。
    お茶とお菓子が凝り固まった頭をほぐし、誰もの口が滑らかに動き出す。
    ギスギスしない。そんな時間にこそ、良いアイデアが浮かぶんだろうな。
    アッコちゃんが用意するお茶とお菓子。
    想像するだけで幸せな気分になる。

    ■メトロのアッコちゃん
    何のために働くのか。
    生きるために働く? 
    働くために生きる?
    ほんの少しわがままで傲慢になっていいじゃない!
    それで自分が取り戻せるなら。
    自分らしく生きられるなら。
    自分が好きになれるなら。
    何だか勇気が湧いて、元気になれる読後感!

    ■シュシュと猪
    神戸・岡本が舞台なのですが…
    猪のベティにはちょっと感情移入できなくて…

    ■梅田駅アンダーワールド
    大阪人の私としては梅田が舞台なのはとっても嬉しい!
    大阪人にとっても迷路の地下街。
    そこに迷い込んだら…
    最後はお笑いで締めくくる?
    大阪ってやっぱりそんなイメージなのでしょうか…?

  • 元気になれる一冊だ。
    この間のアンソロジーから、期待はしていたけど、裏切られなかった。
    毎日30分のイギリス風ティータイムの会議のなかで、どんどんかわっていくみんなの表情が楽しい。
    アッコさんサイコーー!
    これは前作も読むべし。
    ビタミン小説とはよくおったもの、なにか体に、心にいいものを頂いた気がする。
    出勤前にいいもの読んだーーー。
    おいしい、あったかい紅茶でゆっくりお茶タイムしたいー。
    こうじゃなきゃいけない、こうあるべきだ、そんな凝り固まった考えに、本当にそうかな?ほかの道もあるんじゃない?っとときに強引にきづかせてくれる展開に、
    これってへたな自己啓発本より役に立つんじゃない?っと思ってしまう。まあ、小説に役に立つ、という言い方はあんますきじゃないんだが。
    いろんな人と繋がってるってのは生き方を豊かにするなあ。
    まあ超苦手分野なんで、ちょっと私には難しいが…。
    そーいや、うちの上司はちょっとそんな感じあるなーー。

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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