青い翅

著者 :
  • 双葉社
3.07
  • (1)
  • (14)
  • (19)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 107
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238853

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 天才版画家、黒木の遺作「ユリシス」をめぐる人々の贖罪の物語。
    ユリシス=オオルリアゲハのメタリックブルーの翅。
    それは翅自体の色ではなく、鱗粉が光によって青だけを反射させるからだという。

    最後まで真相はわかりませんでした。
    でも、必ずしも真実を明らかにすることが重要ではないのだと思います。
    親友の善如寺、生方達の生きるべき道に黒木は存在し続けるのだから…。

    誰も悪くないのかもしれない…。
    皆、必死に生きようとしただけ…。
    黒木に真相を問いかけたとしても、彼は静かに微笑むだけの様な気がします。

    罪というものは、決して悪意からのみ生まれるわけではないんだと、
    あらためて考えさせられるお話でした。

  • どんな本か全く知らずに読み始めたのですが、引き込まれました。
    それぞれの人生が、絡まって、みんな一生懸命生きている。
    登場人物が多すぎるかもしれませんが。

  • 失踪した天才版画家と、残された美しい作品の謎を追うミステリ。
    タイトルにもある通り、登場する作品「ユリシス」が非常に魅力的。見てみたいなあ。そしてそれを巡る謎も印象的だけど。真相はすぱっと分かるわけではなく、関わったさまざまな人たちの物語を経て徐々に明らかになる感じで、穏やかな読み心地でした。

  • (15-4) 読み始めたときこれは嫌~な終わり方になるのでは?と思ったが、杞憂だった。良かったよ!何もかも白日の下に曝さなくてもこれで収まれば・・・という登場人物たちのスタンスは、この作者さんの他の作品でも見られる。これに反発を感じるほんのちょっと手前で終わる微妙なさじ加減に、私は好感が持てた。

  • 読後感が良いです
    バラバラに思えた個々のドラマが
    ある軸でステキなラストに向かった
    正直、理解は難しいけど気持ち良い
    流し読みして済まなかった

    この作者さんはおばあさんを主人公に
    日常生活のモツレをほぐす作品書く人だ
    作風では分からないものだな
    (流し読みしているからだね)

  • 山本周五郎が読んだら、とても共感したであろう!
    罪無き罪に人生の曲がり角を彩った人々達の物語。
    孤高の版画家の死に複雑に結びついて、どん底から這い上がった人々達の物語。
    死の謎を秘めながら、版画家の作品が注目されてクローズアップする!
    現在を精一杯それぞれの人生を懸命に生き抜く人々達とクロスする!
    この作家独特の文体で、人間の苦悩を浮き彫りにしながらも未来を志向する物語作りに何時もながら共感を禁じ得ない!
    事件の真相は明確にされてないが、版画家が望んだ未来志向が成就される含みをエンデングで保たせることで、完結出来る文学表現がとても後味の良い作品に仕上げている!

  • 人間の矮小さをうまく書く作者だが、今回の話には名もない脇役以外真性の悪役はいなかった。

  • どっちつかず。ミステリとして中途半端で、キャラの関係性も詰め切れず。

  • 美しい蝶 ユリシス の木版画の謎
    善如寺と黒木の関係が謎めいてよし
    関係者らの謎…結局は…がモヤっとしたまま?

  • もっと不穏な感じになるのかと思ってました。
    良かった。
    優しい話でした。
    でも、黒木さんが気の毒です。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉永南央の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×