君の膵臓をたべたい

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 8511
レビュー : 1264
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239058

感想・レビュー・書評

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  • このタイトルからは全くかけらも想像できないほどの豊かで瑞々しく温かく、そして哀しい思いを受け取りました。
    130Pあまりの物語の中にたくさんのキラキラと輝く言葉を見つけ、その一つ一つにこめられた思いの深さに涙した。
    10代の少女にとって余命宣告はどれほど残酷なものか。まだこれからたくさんの人と出会い恋をし悩み傷付きながら人生を楽しんでいくはずなのに。その全てを諦めろ、と言われるのだから。
    桜良が、どうやってその苦しみ悲しみを受け止め飲み込み笑顔の下に隠す覚悟をしたのか、それは彼女にしかわからないのだけど、最後の4か月がその苦しみを昇華してくれたことは間違いないだろう。いや、そうあって欲しいと心から願ってしまう。納得して逝ったわけじゃないけれど、その覚悟というか気持ちは大切な人に伝えることができたのだから。
    彼女が親と「クラスメイトくん」以外に決してその余命を知られないようにしたこと、それは彼女なりの最期の矜持だったのかもしれなけど、親友の恭子にとってみればかなり残酷。きっと知りたかった、知ってなおあえてその残りを一緒に過ごしたかっただろう。たとえそれが親友の最期の望みだったとしても。でも、それでもだからこそ思い出の中の桜良は最後まで笑顔だろうね。
    けど、運命って残酷だな、と。残り少ない人生をなぜあえて奪う事件が起こるんだ、と。怒りがふつふつと。誰でもよかった、という聞き飽きた動機で通りすがりの人を傷つけるやつを、心の底から憎む。お前の人生を桜良に譲れ!
    それと、桜良が最後まで求めていた「日常」を共に過ごした春樹が、なぜあんなに厭世的で他者とのかかわりを避けてきたのか、というところをもう少し知りたいと思った。
    2人の出会いは偶然のようだけど、きっと神さまの贈り物だったのだろうとそう思う。
    行き場のない思いと欠けた心を持つ2人が出会い、その心が一つの温かい世界になる。
    生きることって、本当に素晴らしい。そう教えられる一冊でした。

  • 好きな世界観です。
    「君の膵臓を食べたい」という言葉の意味するところが、非常に素敵でした。
    自分とは正反対の存在にたいする憧れ、とても共感できる。

    「言葉は往々にして、発信した方ではなく、受信した方の感受性に意味の全てはゆだねられている。」
    この一説がお気に入りだ。

  • 「本」データベースの紹介文:
    === 偶然、僕が拾った1冊の文庫本。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった―圧倒的デビュー作! ===

    青春ラブの変形バンパイアモノ仕立てかね、くらいに思って、まったく興味をそそられずにいた。 
    本屋大賞も売りたい路線まっしぐらか くらいに思っていた。
    さらには、友人が是非に ! と貸してくれなかったら、先入観にとらわれて最後までたどり着かなかったかも。

    ごめんなさい。
    よかったよ、この作品!

    10代のある時期を振り返ると、そこだけ拡大鏡で引き伸ばしたような濃密が時間が存在する、こともある。
    たぶん、そんな感じの時間のこと。。

    恋愛小説ーーーかもしれないが、それよりも、個と依存(あるいは甘え)の話。
    自分で自分を育ててきた”僕”と、他人とのつながりの中で生き生きと育ってきた咲良。
    咲良は病で余命を宣告されているが、家族以外の誰にもそれを伝えてはいない。
    ”僕”がひょんなことから、咲良の病を知ったことで、2人は”仲良し”になる。

    ”仲良し”
    恋に落ちたのではない。
    互いを映す鏡と時を共有するようになったのだ。
    いささか心地悪く。

    個を確立している、悪く言えば自分の殻にこもっている”僕”の言葉はとても興味深い。
    兄弟が減り、安全確保のため子供の行動が管理されて、喧嘩したりムチャしたりしながら他人との距離を覚えていく機会が貧しくなってこういう感覚の子が増えているのかもしれない。

    その”僕”に、いかにも強く逞しい精神の持ち主に見える咲良がどっぷり甘えてくる。
    甘えるったってにゃーにゃー ってことじゃない。
    気を遣うことなく安心してお願い事を言える、とでも言えばいいのかな?

    互いの個性に助けられながら、咲良は生き抜き、”僕”は一気に成長する。
    昭和の高校生の精神構造もこんなだったろうか ........ こんなに深く考えてみたことはないなぁ .....

    見守る親たちの有り様も良い。

    すすめてくれた友人への感謝と、先入観もっちゃったお詫びをこめて星5つで。

  • タイトルのインパクトと何やら評判だったので。
    「泣ける」という評判だったってことを読み終えてから知ったので、もしくは完全スルーで忘れてたので、それは良かったなと思う。
    本も映画も何事も事前情報に惑わされて構えてしまうことなく楽しむのが一番。
    情報過多の現代だからこそそう思います。なかなか難しいことではあるけど。

    それはさておき、高校生の男女が刹那と永遠の狭間で心を通わす、割とよくあるパターンのお話ですが、難病といえど闘病しない、そして余命を裏切る最期のあっけなさ、タイトルの本当の意味、意外なほどおもしろくてよかった。
    ひとりでも強いとかみんながいるから生きてるとか、今現代っぽい強さと明るさに満ちたリアリティの希薄さがこの話のいいところだと思う。
    17歳の男女が安易に恋愛にいかないところもいいと思う。そして今っぽい。
    「共病文庫」はすてきだった。

  • さる確実に信頼出来る筋からの推薦図書。
    帯の文言で印象的だったのは「泣ける」という表現だったのだが、
    果たして・・・。

    正直言うと、前段の段階ではかなりどうかと思った。
    (これより先・ちょっとネタバレ注意)

    僕は、「人が死ぬ」という事象を前提にした物語があまり好きでは
    無い。最初にソレを突きつける、という描き方はあまりに卑怯な気
    がするし、何がどうあっても悲しい話で終わることは間違い無い。
    そういう話に思い入れを持て、というのはちょっと無理がある。し
    かし、「死ぬはずだった誰かが結局生き残る」という安易すぎる
    手法はもっと好きじゃ無い。そういう展開も充分に考えられるが故
    に、コレは好きになれないタイプの作品だな、と高をくくっていた。
    ・・・中盤を過ぎるまでは。

    たかだか男女高校生の話の筈なのに、二人は凄い勢いで成長してい
    く。これはいろんな条件が折り重なった上でのことであり、普通な
    らあり得ない話なのだが、仮に自分がこのような立場に置かれた
    場合は、きっと成長せざるを得ない状況となる筈。そうやって読み
    進めて行くと、物語に一切の無理が無くなり、かなり上質な切なさ
    が残る。本を読んでこんな気持ちになったのは、本当に何年振りか
    解らない。

    結果だけをストレートに書くと、この作品ではやっぱり人は死ぬ。
    ただ、その死に方には完全に虚を突かれた。こういう展開の仕方が
    あるとは、夢にも思わなかった。

    そして、この作品の中には僕にとって理想の愛があった。
    それがどこの部分なのかは敢えて書かないが、おかげで自分より
    30歳近く年下な男女の物語のラストは、ただただ号泣するより他無
    かった。少し悔しいくらいに。

    住野よるはどうやらこの作品がデビュー作の模様。
    物語の作り込み方も、シニカルでキャッチーなキャラの付け方も、
    そしてタイトルの付け方さえもが並の新人のレベルを完全に凌駕し
    ている。だからこそ、次回作に期待。この作品が最高傑作にならな
    いことを、本当に願っている。良作です。掛け値無しに。

  • 住野よるさんのデビュー作。
    「膵臓をたべたい」というホラーを連想させるようなタイトル。
    ブクログを始めていなければ、手にしなかったであろう本。

    前半はスローペースについていくのがちょっとしんどかったのだが、本の帯に「ラスト40ページに涙」と書かれていたので、がんばって読み進める。

    確かに!
    ラストはなかなかの展開。
    「きみの膵臓を食べたい」というタイトルに納得。

  • 登録者数におどろきだ。これはタイトルのインパクトで勝ったのではないかな? 若い人は感動するかもしれないけど、私はあまり感動はなかった。もちろん泣きましたよ。人が死ぬ話ですから。いつもそばにいる人を大切にしたいものです。別れは理不尽に突然やってくるから

  • 話題作ではあるが、そんなに長編でもないので、簡単に読めるだろうと思っていたら、作中に没入してしまった。「世界の中心で・・・」のように最後は恋人を失くして慟哭する予定調和的な物語かと思っていたら、あまりにもショッキングな終焉に唖然とした。癌は緩和治療が進歩して痛みもある程度抑えられようになり、ゆっくり死んでいけるので患者にも家族にとっても優しい病気だと思っていたら、この別れは酷い。作中に伏線としてあったが、これがまさか効いてくるとは思わなかった。しかし遺言があっただけ残された者にとっては救いなのかな。図書館で読んでいたのでいい歳をして泣けて困ったよ。

  • 語り手の少年は高校2年生。
    これまで友達と呼べる存在を作らず、本の世界に浸ってきましたが、いつも友人に囲まれている明るいクラスメイトの秘密を知ってしまったことから、彼の日常が変わり始めます。

    死は誰にでも平等に訪れる、という現実をガツンと思い知らされました。
    当然のことであるにもかかわらず、私たちはどこかで「明日も自分は生きている」と思い込んでいるのだなぁ。

    本音を言うと「きっと泣かせにかかるだろう」と少々穿った見方をしつつ読み始めた本書。
    絶対泣くまい!…と思いながら読み進めたのですが、終盤でやっぱり涙が滲んでしまったのでした。ちょっと悔しい。
    それでも爽やかな読後感を味わいながら、この本を読んでよかったと思いました。
    誰かと一緒に過ごす時間に、以前よりも素直な喜びを感じられる気がするからでしょうか。

  • きわどいタイトルだ。だけど中身はとってもピュアだった。

    天真爛漫な彼女と、それに付き合わされる僕。
    ほんの短い時間なんだけど、2人の何気ない日常すべてが輝いていた。
    そして余命短い彼女が、まさかあっけなく逝ってしまう。
    日記を読んで僕は号泣する。そして私も泣く。

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著者プロフィール

住野 よる(すみの よる)
高校時代より執筆活動を行っていた。2014年2月ごろ夜野やすみ名義で、様々な賞に落ちてしまった小説「君の膵臓をたべたい」を広く世で読まれてほしいという願いから小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿。同作が話題となり、2015年6月双葉社から書籍化されデビュー。同作が「本屋大賞」2016第2位、「読書メーター読みたい本ランキング」1位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2015」1位と高く評価され、売上面でも「2016年年間ベストセラー」総合5位、文芸書1位(トーハン調べ)、「2016年 年間ベストセラー」総合4位・単行本フィクション1位(日販調べ)となり、累計発行部数200万部を突破した。実写版映画が2017年7月28日公開、アニメ映画が2018年公開。
その他作品に、『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』がある。

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