自画像

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239232

作品紹介・あらすじ

十代の自意識が膨張し衝突する「教室」。その密室に潜む邪悪なまなざし。三人の少女はこの世界の暗闇に立ち向かう。倫理観を揺さぶる展開に心ふるえる衝撃の問題作!

感想・レビュー・書評

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  • 中学一年生。
    教室という世界におけるヒエラルキー。
    グループに所属することで得られる意味のない安心感。
    思春期特有の幼い傲慢と残酷さと、
    少女たちの揺れ動く感情を描いている作品…と思って読んでいたら、
    それだけではありませんでした。

    命を奪わずとも、心を殺し、未来への希望すら持てなくする。
    生徒にとって絶対である人が、それを犯す。

    この”解放”と名付けた復讐を肯定してはいけないのかもしれません。
    でも法律が裁くことのできない”悪”…
    それを裁いてくれる何かがあったらと願ってしまいました。

    終始、心が抉られる一冊でした。

  • 十代の自意識が膨張し、衝突する「教室」
    ヒエラルキーが形成された中学の教室で、ひとり孤高を保つ少女がいた。
    少女は容赦ない方法で担任教師の行いを告発し、学校から追放する。
    それは、ある長い闘いの序章だった---。


    冒頭から「わたし」は、婚約者で中学教師の「あなた」と会話している。
    会話のトーンも暗く、よそよそしい雰囲気…。
    「あなた」の故郷での話に違和感を感じながら読み進めた。
    「わたし」は中学受験の頃から、顔中に芽吹きじわじわ広がっていった、
    面皰の事や中学時代の出来事を淡々と語っている。
    中学の入学直前に目を整形し、お人形の様に可愛くなった松崎琴美。
    清子のクラスメイトの蓼沼陽子は、面皰のせいで孤立していた。
    まだ、幼い中学生の見た目で判断する。
    醜いもの弱いものにどこまでも残酷になれる姿が、
    これでもかと描いてて、読んでて嫌な気持ちだった。
    また、「わたし」田畠清子の中学時代の内面も嫌なものだった。

    延々と続く清子の暗い語り。
    一体この話はどうなっていくんだろう…?
    何なんだろう…と、読み進めて行った。
    途中からもしかして…いやまさか…。
    清子の婚約者で中学教師の「あなた」と清子達の中学時代の
    担任教師「岩永」は、児童性愛者である事がわかる。

    テレビで放送されているのを目にはしていた。
    それを、深く考える事をしてなかった自分に気付いた。
    「体をばらばらにされる…」想像することは出来る。
    でも、想像は想像でしかない…。
    自分の欲望を満たすために教師という立場を利用し、巧妙に脅し、
    追い詰められ人生を狂わされる子供達を思うと怒りが湧いてきた。

    ラストに救いはあるのですが、何とも言えない気持ち。
    読んでてとっても苦しかった

  • 吐き気を抑えながら、ガンバって読んだ。
    ラスト数10ページで、魂ごと救われる感覚。

  • 暗くなりそう。いじめって嫌だね。でも、集団になったら年齢を問わず発生してしまうんだろうか。
    ガマンすることはない。その場から逃げるに限る。それが1番。
    復習だけ考えるだけ時間のムダのような気がする。

  • 男子による女子ランキングなど、ヒエラルキーが形成された中学の教室で、ひとり孤高を保つ少女がいた。
    少女は容赦ない方法で、担任教師の行いを告発し、学校から追放する。
    それは、ある長い闘いの序章だった――。
    緻密な心理描写、胸を抉る衝撃の真実、祈りにも似た希望が立ち上るラスト。
    (アマゾンより引用)

    何かこの作者さんっぽくない作品というか…(´・ω・`)
    でも嫌いではない
    ただ主人公…主人公というか、物語の大部分を占める語り手、彼女みたいな性格の生徒、実際にもいただろうなと思った( Д |||)
    何ていうかもっとドロドロした終わり方のほうがより面白かったかも

  • 自分を鏡で直視出来ますか?

    ってな事で、朝比奈あすかの『自画像』

    これまた、重いと言うか、しんどい内容。

    尋問誘導から過去の学校でのいじめ、人付きあい、裏切り、拷問、レイプ、逆襲、解放……。 目ま苦しい内容。

    傷付いた身体は回復するかもじゃけど、心の傷は何時まで経っても癒えない、気が付かなくても、忘れようとしても癒えない……。

    切ないけど、こんな卑怯な人間はホント抹殺して欲しい。

    2018年90冊目

  • こちらの作者にハマってしまった。が、今までとは少し違う作風で読んでいくうちに驚いた。

  • 中学生時代に特有のスクールカーストやいじめ、先生やまわりからの差別的な目から自分を取り戻していく女達の話。

    始まりで「ん?どういう状況?」と把握するのに少しかかったけど、中盤以降から「なるほど、そういうことか」と。前半の中学校での話が、中学生時代の自分を思い出して心が痛い。改めて、恐ろしい年代だと思う。自分の子ども達がこれからここに入っていくと思うと怖くてたまらなくなる。

    終盤にさしかかるまでに比べるとラストが少し弱いかも。救いはなくなるけど、もうここまできたら徹底的に暗く終わってもいいのかも。

  • 物語は、女の独白からはじまる。
    女が、婚約者である男に、自分の過去を語り始める。

    病的な面皰に悩み、美醜によるヒエラルキーを怨み、時に臆病に、時に攻撃的になりながら自己保身をし、生きてきた中学生の頃。
    ああ、こういう子いるよね、という、彼女の語るクラスの雰囲気が、まるで自分が属していたクラスのようにリアリティを持って語られ、引き込まれていくうちに、物語は徐々に様相を変え始める。

    彼女は何を語ろうとしているのか。
    悔恨か、懺悔か、あるいは・・・・?

    醜いこと。美しいこと。女である限り、どちらであっても異なった苦しみを生むことがあることを、胸を痛くしながら読んだ。

  • 「わたし」が「あなた」に語りかける、復習の物語。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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