罪のあとさき

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 298
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239850

感想・レビュー・書評

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  • 少年犯罪を犯した過去を持つ青年と、その現場に居合わせた同級生の女性が再会し、恋をする物語。色々重い話が盛り込まれているが、ハッピーエンドを迎えられて良かった。

  • 読みだして直ぐに以前読んだ本だった事を思い出した。けれど結末をすっかり忘れてしまっていたのでもう一度読む事にした…
    もう一度読んで本当によかった!
    願った結末でした。

  • 中学生の時にクラスメイトを切りつけた彼を好きになってしまう主人公。

    そんなに重く捉えることでしょうか?

    確かに殺人はダメだけれど
    今更生しているし、それを重く受け止めているから
    今の彼は他の人間より人を敬えるようになってるようだから、いいのでは…と思ってしまいました。
    安易でしょうか?

    人を殺したというのは想像以上に、こんなにも一生付き纏う前科なんだなと感じられました。



    更生すれば人生やり直せる
    というメッセージあるお話でもあったように思いました。

  • 賛否ある作品だと思う。
    でも一途な卯月くんの気持ちがせつなくって、可愛らしくも思えた。
    卯月君が救われてほしい。
    ふたりが幸せになるには、たくさんの障害があるけど、どうか幸せになりますようにと願う。

  • 自分の子どもが14歳を無事に生き抜いてくれてよかった、と本当に心からそう思ってしまう。
    加害者にも被害者にもならずに、とりあえずは「ちゃんと」生きていてくれている、ただそれだけでもう充分じゃないか、とも。
    14歳のときに教室でクラスメイトの首を切って殺害してしまった卯月君と、そのクラスメイトの楓ちゃんの再会とその後。
    なぜ卯月君はクラスメイトを殺してしまったのか。理由が明かされないまま二人の距離が接近していくのを危うい思いで見つめながら読む。たとえどんな理由があったとしても、そしてそれが未成年者で「罪」として残らなかったとしても、絶対に許されるはずがない。幸せになんてなっていいわけがない。そう思う気持ちと、そこにあったであろう理由によっては、もしくはその後の生き方いかんによっては、新しい人生を歩き出してもいいんじゃないか、と言う気持ちで揺れ続ける。
    卯月君の発達障害らしい性質と彼をちゃんと受け入れられない母親と、そして殺してしまったクラスメイトのヒミツ。いろんな条件がそこに重なっているけれど、多分、外から見ると「同級生刺殺事件」という一言で片づけられてしまう。たくさんの人の人生がその一言で片づけられてしまう。
    犯罪者は幸せになってもいいのか。彼と楓ちゃんが選んだ道の険しさを思うと暗澹たる気持ちになるけれど、安易なハッピーエンドは必要ないと思う。罪を憎んで人を憎まず、と理解はしていても、殺してしまったクラスメイトにはもう二度と人生は戻ってこないのだから。やり直すことさえできないのだから。

  • 中学生の頃、同級生を殺してしまった卯月と、卯月の中学の同級生で、元カレからのストーカー被害にあった楓。二人が大人になってから再会し、二人で歩んでいく話…。
    卯月がなぜ、同級生を殺してしまったのか、というところにページを多く使い、丁寧に書かれている印象…。でも、納得というか、理解は出来なかった。
    でも、実際、理解することが必要というわけではないのかもしれません。今、その人がどうであるか、ということなのかもしれません。
    まだまだ序章。これから、二人で乗り越えないと行けないことが山盛り。『彼を支えていけるのは私しかいない』と、芽衣子に語るところが印象的でした。

  • 元彼からストーカー被害にあっていた楓と、中学の同級生でありその時に教室内で友達を刺し殺した卯月との再会。そして人生を供に歩んでいく相手へ。
    前途多難ではあるだろうけど、周りに理解者もいるし2人で支えあって生きていくのだろう。

    先に読んでいた同じストーカー物の「消えない月」はバットエンドだったので、こっちはハッピーエンドなのかな。
    ラスト一行「守るべき命だ」に私は少しこわい気持ちになったけど、たぶん全然違う。

  • 14歳の時に同級生を殺害してしまった少年と、その同級生のアラサーになって再会してからの話。
    主人公の女性は、婚約までしていた男性が実はとんでもない嫉妬深い男でストーカーにまでなり、挙句望まない妊娠で堕胎する。その罪を背負いながら、かっての同級生で加害者の卯月くんと出会い恋仲になっていく。
    最終的には二人に子どもが出来るんだけど、それもまた二人にとっても子どもにとっても試練だと思うし、子どもは親を選べないからその辺りをこの二人がどう向き合って行くのかを知りたかった。
    うーん、やっぱり綺麗にまとめているように思える。
    加害者が更生して真っ当に生きていくことって出来るのか、出来ないから罪を犯してしまうんだと思う。
    大多数の人間は殺したいほど憎い人間が居ても、それを実行に移しはしない。でも、復讐という言葉もあるけれど、、なんだろうなぁ、主人公は自分に酔ってる気もした。彼をわかってあげられるのは私だけ、っていう共依存にも思える。とにかく読んでて苦しい、そして現実にはこんなに周りの人間が理解ある人たちばかりとは限らない。

  • 5年務めた会社を辞め、中学からの友人芽衣子の紹介でカフェ・ハギワラで働く渡辺楓。ハギワラの経営者・誠が店で使う椅子を濱川家具工房に見に行くのに同行すると、中学の同級生卯月君と会った。3人の出身、長野の小さな中学校で卯月君は教室で同級生を殺したー

    ◆卯月君よりも佐山の方が怖いじゃないか。卯月君よりも彼のが永森くんの方がオカシイじゃないか。やりきれない…。でも。遺族にも家族にも赦されないこと…。1度罪を犯すとやり直すチャンスはないのか、という思いと、私が家族に手を出されたら絶対に赦せない、という思い…

  • 楓の行動には感情移入できなかった
    殺人現場を見ておいて いくら昔のことだからと元殺人犯と付き合うまでにいたるのは理解できない
    しかも前の彼氏との付き合いで失敗したすぐ後に…
    殺人にいたるまでの卯月くんの気持ちもちょっと理解しがたかった

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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