ときどき旅に出るカフェ

著者 : 近藤史恵
  • 双葉社 (2017年4月19日発売)
3.86
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  • レビュー :110
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240290

ときどき旅に出るカフェの感想・レビュー・書評

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  • 月初めの8日間、カフェはお休み。
    店主は旅に出たり、メニューを考えたり・・・
    週休2日を一度に休んじゃう感じね

    店主が時々旅にでるからこそ
    出会えるカフェの料理たち。

    柔らかな雰囲気の店主。
    でも、
    のほほんと生きてる人なんてなかなかいないだろう。
    のほほんとしているように見えるなら、
    大半の人は、そう見えるように
    しているのだ、と
    私は思っている。

    ビターな現実を中和するように
    甘いスイーツが登場。

    こんなお店、あったらいいなぁ、、ほんとにあったらいいな!!!!

  • こういう本は大好きだし、ホッとする。
    素敵なカフェ、異国情緒たっぷりのメニュー。
    旅に出た気分になれますね。
    ちょとした出来事を織り交ぜてなんだけど、
    結構後半はピリピリした内容に・・・
    そして最後の最後には、やっぱりそうだった??みたいな。

  • カフェ・ルーズは毎月一日から八日が休み。営業は九日から月末まで。店主はその間旅に出る。そして買ってきたものや見つけたおいしいものをカフェで出す。オーストリアの炭酸飲料だとかハンガリーのロシア風チーズケーキとかだ。もちろん毎月海外という訳ではない。国内の時もあれば、新メニューを試作している時もある。

    そんなカフェが近くにできたら、ちょっとうれしい気がする。自分は行ったことがなくても、口にするものから旅を感じることができるから。おまけに中二階の窓からは、住宅街の中なのに、樹々の緑や沈む夕陽を見ることができる。三十七歳で1LDKのマンションに独り住まいの瑛子にとって、そのカフェは、気の向いた時ちょっと寄るのが楽しみな場所になっている。おまけに店主の円はかつて会社にいた年下の同僚だった。

    そんな設定で、ミステリ雑誌に連載していたものを全部で十篇、まとめて一冊に仕上げたのが本作。全篇すべてに菓子や飲み物がからんでくる点で、同じ著者の『タルト・タタンの夢』シリーズの姉妹版ともいえるコージー・ミステリ。ただ、三船シェフ以外にも個性の異なる三人のスタッフが登場するビストロ・バ・マルと比べ、オーナー兼パティシエの円が一人で営むカフェ・ルーズ。話が小ぢんまりとしてしまうのは否めない。

    ワトソン役というか狂言回し役を務めるのが奈良瑛子。勤務する会社では一番年長の独身女性で、休日はお気に入りのソファに寝そべって本を読んだりDVDを見たりするのが趣味といったタイプ。結婚については特に気にはしていない。うるさい両親とは距離を置いている、気楽な独身生活だ。たまたま立ち寄ったカフェで、会社の同僚の噂話をしたりしているうちに、円が何かに気づくというミステリ仕立て。そう。ホームズはパティシエなのだ。

    だから、結婚が決まった同僚の退職話だとか、昔の親友の夫の浮気疑惑といった、独身女性ならではの話題が中心なのだが、中には娘の中国土産の月餅が消えてしまった事件だとか、同じマンションに住む中学生の父親の再婚話といったドメスティック・ミステリの要素も強い。中でもいちばんドメスティックな要素が際立つのは、円の育った一家に纏わる遺産相続争いだろう。それに、円が介護していた祖母の死が絡んで、事件は不穏な空気を漂わせる。

    近所に、カフェ・ルーズと同じコンセプトで、同じメニューを提供する大手のチェーン店がカフェを開いたり、そこを首にされた青年が円のことを好きになり、店で使ってくれと言い出したり、独身のアラサー女子が、中心の話だから恋愛風味も忘れてはいない。ただし、その恋愛模様は、最後にとんでもないどんでん返しが待っている。この最後の新たな展開で、それまでの円の見せる笑顔の意味がちがった意味を持ってくる。女性のちょっとした仕種が意味するものの多義性にはまごつかされた。

    それにしても、いつものことながらどこでこれだけのリサーチをしてくるのやら。フィアンセを連れて店にやってきた男がエスニック・カレー店を開くと言いながら、店の前に置いたプランターに植わっている大葉月橘を知らなかったという理由で結婚詐欺を疑ったり、高級な月餅の中には家鴨の卵黄が入っていることから、月餅の消えた理由を推測したり、円の繰り出すペダントリーはなかなかのものである。

    使える旅行期間が一週間くらいだから、中国や東南アジアのお菓子や飲み物が中心になっているが、オーストリアやハンガリー、ベルリンといったちょっとシブい都市が扱われているのも興味深い。アルムドゥドラーというハーブで香りづけされたオーストリアの炭酸飲料だとか、ちぎったココア生地を上にのせて焼いたロシア風ツップフクーヘンがロシアではなくベルリン近辺で食べられているお菓子だとか。相変わらず読んでいるだけでよだれが出そうになる。

    しかも、肝心な点はその菓子の持つ特徴、形や製法、名称などがミステリの謎ときに重要な意味を持って使われているというところだ。単なる蘊蓄話やペダントリーに終わっていない。なるほど、大した謎ではない。人が死ぬわけでもなければ、凶器の一つも登場するわけではない。ただ、人がそこにいる限り、悪意が凝集すれば、すんでのところで事件が起きても不思議はない。騙したり、蔑んだり、嫉んだり、人の悪意というのは程度の差こそあれ、どこにでも転がっている。

    小柄でいつも笑顔を浮かべている円だが、彼女にも過去があった。日本という国に根強く残る差別意識にどう対峙するか。かつて同僚だった時にはあまりしゃべらず、人との付き合いも避けていた円。それが店を開いてからは、どことなく自信にあふれ、生き生きして見える。人は愛し、愛されることで強くなれる。その強いメッセージ性が全篇の最後に立ち現れるのがまぶしい。爽やかな中にほのかに胸がキュンとなる幕切れに乾杯!出来たら続編が読みたいものだ。

  • 「パ・マル」シリーズで、すでに料理の描写にやられてしまっている感じだが、今回はヨーロッパを中心にその地域独特のスイーツをテーマにした「日常の謎」ものの短編集。題材にされたスイーツは、あまり知られてないものが多いけど、やっぱり描写がとても巧くて、どれも食べてみたくなる。
    後半に連れて、人間関係などにも触れているので、シリーズ化するのかな…

  • 図書館で借りたもの。

    瑛子の元同僚・円が営むカフェ・ルーズは「旅に出られるカフェ」。
    円が旅先で出会った食べ物を再現したり取り寄せたりして、旅を感じられるようなメニューになっている。

    一話が短くてするっと読めた。
    出てくるメニューもおいしそうで食べてみたいけど、それこそカフェ・ルーズにいかないと食べられないメニューかも。

  • ビストロ・パ・マルに続き、行きたいお店がまたひとつ増えた(*´∀`)♪店主の円さんが旅先で出会った旨いものを店で出してくれる(*^Q^*)そのどれもが美味しそう!(ほとんどの物が未知メニューだけど(--;))それに謎解きもあって、読んでいて楽しい~♪最後はどうなることかと思ったけれど、大丈夫そうだね(^^)v

  • こういうホッとできるようなカフェがご近所にあったらよいのに
    苺のスープ、ロシア風チーズケーキ、アルムドゥドゥラー…聞き慣れない異国のメニューは店主が旅先で出会ったもの
    お店に居ながらにして異国気分を味わえしかも日常のちょっとした事件も解決
    優しいひととき♪

  • 近藤史恵さんの、おいしい食事の風景の描写が大好きです。
    今作品は、全く知らない世界のスイーツ&ドリンクが盛りだくさんで、この、「時々旅に出るカフェ」ってコンセプトがいいなぁ。感心。

    世界を旅する紀行番組が好きでよく見るけどそんな番組でも出てこないような料理や、その地域の価値観がもりだくさん。
    スイーツの名前一つとってもそこからその地域の歴史の背景が見えたり・・・お国柄、がわかる。というよりも気づかせてくれる。

    旅に出たくなりました。
    でも、簡単には無理だから
    近くにこんなカフェがあったらなぁ。
    そりゃ入り浸るな、と。

  • 世界のスイーツが楽しめるカフェを舞台とした連作短編集。
    完全にジャケ買い。可愛くって買わずにはいられなかった。
    独身アラフォー女性の元同僚が一人で切り盛りするカフェはそこにいるだけで旅に出た気分になれるお得なカフェ。世界中を旅しているだけあってか否か、日常の謎解きも鮮やか。
    聞いたことのないスイーツばかりでも説明が的確で想像が広がる。食べてみたいものばかり。苺のスープって本当にあるのかなぁ。
    やりたい事に正直な人は芯がぶれてなくてかっこいい。
    訪ねてみたい素敵なカフェでした。

  • カフェのメニューで、自分の価値観が変わる。

    旅に出られるカフェ。カフェ・ルーズ。
    そんな素敵なコンセプトのカフェで味わう世界の味。

    カフェに来るお客のちょっとした悩みや謎を、お菓子から解決する。
    こんな温かみのある豊かなカフェは本当に素敵だと思う。豊かだと感じる。

    ・苺のスープ…北欧の冷製スープと、主人公の同僚の寿退職にまつわる話
    ・ロシア風チーズケーキ…ツップクーヘンと上得意先のお中元のクレームと不倫の話
    ・月はどこに消えた?…月餅の常識とお土産の分配の話
    ・幾層にもなった心…ドボシュトルタとパティシエの夫の単身赴任の謎
    ・おがくずのスイーツ…セラドゥーラとブラック企業とハラスメントの話
    ・鴛鴦茶のように…コーヒーと紅茶のブレンドと帰らない少女の話
    ・ホイップクリームの決意…ザッハトルテとカフェのライバル店
    ・食いしん坊のコーヒー…カフェ・グルマンとカフェの危機
    ・思い出のバクラヴァ…激甘パイと店長の過去

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