さらさら流る

著者 : 柚木麻子
  • 双葉社 (2017年8月17日発売)
3.25
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  • 本棚登録 :623
  • レビュー :90
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240528

さらさら流るの感想・レビュー・書評

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  • こういう心配を今の若い子たちはしなきゃならないのだな、と。や、中年の人たちも同じかもしれないけど。
    柚木さんがとがってない女性を描いた!とびっくりしながら読んでいたのだけど、リベンジポルノの被害者となった主人公菫が、その最初のふんわりとした優しいイメージに反して、自分の力でしっかりと向き合っていく姿に、やはり柚木小説の主人公だな、とほっとしたりして。
    菫から見た光晴と、光晴から見た菫、その微妙な差が少しずつ広がっていくのは悲しいけど致し方ない。恋愛なんてそんなもんだろうし。でも別れ際と別れた後の自分の気持ちをきちんと処理する力をつけなきゃね、男も女も。
    それよりなによりプレイベートであるべき恋人同士のヒミツの写真を悪気なく拡散していく第三者たちの行動が恐ろしい。

  • 明るい太陽の下、
    愛情いっぱいに育ってきたような女性と
    母に愛されず屈折した子供時代を送ってきた男性。
    恋人どうしだった二人が別れた後
    リベンジポルノが起きる。

    その仕打ちがどれだけ卑怯で残忍なことか、
    どれだけ女性の尊厳を踏みにじる行為か
    今まで気がつかずに過ごしてきたかもしれない。
    『写真を撮らせるなんて、愚かなことをするから・・・』くらいのことを言っていた自分が恥ずかしい。
    この本を読んだ人は、もう
    リベンジポルノ=他人事だと二度と思わないだろう。
    女性だけでなく男性にも読んで欲しい一冊でした。

  • かつて恋人に撮られた裸の写真がネットに流出しているのをみつけた、という話。
    題材としてはわりと好きなんだけど、なんせこの主人公の菫のことが最後まで好きになれなかった。私自身の問題だけど、こういうこれまでの人生陽の当たる場所以外歩いたことありませんみたいな子、現実でも心底苦手なんだ。
    だからどちらかというと光晴に肩入れしながら読んでしまいました。
    義理の母親に軽蔑され拒絶され続けてきたかわいそうな男の子。まるで暗渠のような人生。
    そういうものを理解してくれなそうな菫の無垢さ、明るさにどうしようもなく惹かれ、そして同時に腹の底で苛立たざるを得ない気持ちが痛いほど分かった。
    この写真流出が、周囲に愛され守られ支えられ生きてきた菫が初めて直面した大事件なのであれば彼女は本当に恵まれた人生を歩んでる。
    バラバラになってしまった自分を、親友の百合に裸体を描いてもらうことでまた一つに採り集め自分らしさを取り戻したみたいなラストが気に食わない。
    持って生まれた才能のような強さって何?それを持っている自分を許すって何?
    地盤が違うんだ。土壌が。根幹が。
    菫のそれが、まっとうでまっすぐな本来の強さだってことは知っているけれど、そんなことを改めて突き付けられてちょっとショックでした。
    と、だいぶ個人的な熱の入った感想になってしまったけれど…小説そのものはとても読みやすく前向きになれる良作だと思います。

  • 20171109予約
    うーん期待したほどではなかったかも。

  • 「本屋さんのダイアナ」を読み、柚木さんの紡ぐ物語に引き込まれ、「Butter」、「さらさら流る」を続けて読んだ。
    女性の生き方、生き辛さがテーマの根底にあるのかなと思う。
    どの物語も中心となる登場人物は、中高時代を一貫教育の女子校で過ごしており、そこで築いた価値観や人生観が、それ以降を過ごす大学や社会の価値観、こうあるべきと漠然と押し付けられる目線とズレていることへの気付きと戸惑いが描かれている。柚木さんも一貫女子校をご卒業なので、ご自身の経験を投影されている面もあるのではないかと思う。
    このさらさら流るも、初々しい幸せ初恋物語?と思わせる書き出しから、家庭環境やそれだけではないそもそもの人間性の違いから、2人は別れることになり、被害者と加害者という立場に大きく変わってしまう。
    菫のように、打ちひしがれても友情や家族に支えられて立ち向かう勇気を持てたらいいけれど、現実はそうはいかないのだろう。だからこそ、柚木さんはこの本を書かれたのだと思う。前二作も含め、#Me tooにも通じる内容で、フェミニズムの波を感じる。

  • 大学生になってすぐ付き合い始めた男の子と最初にしたことは、都内の暗渠めぐり。
    そして10年経ち、2人はとっくに別れていたのだけど、ネットに流出した写真を見つけたことから、主人公の苦悩が始まる。

    19歳と28歳が交互に描かれ、あの頃の自分と、今の自分、付き合っていた時間、家族や友人、職場の同僚との関係。事件をきっかけに主人公がいろいろと悩み、乗り越えていく姿が書かれています。

    地下に隠された川と人の奥底にあるコンプレックス、その先の海や未来へと歩を進めることができるのか。
    立場や育った環境、考え方によって感想が分かれそうな一冊だと思います。

  • さらさら流る
    とても美しい装丁

    リベンジポルノがテーマだと知り同性として興味を持ち読む


    主人公薫は情緒あふれた豊かな情愛と自由を持つ両親と音楽を愛する弟と暮らす幸せな少女

    大学で知り合った光晴と交際に発展するが
    4年後別離したが、昔に撮らせてヌード写真が流失したことで話が展開していく

    ここまでは、光晴に惹かれた気持ちや別れた理由が薄すぎてわかりづらかった

    しかし、これは序章で、物語の時系列が現在と過去が混ざりながら進むための作りだった

    ヌード写真が流失した事で全てが足元から崩れていく薫
    なぜ、写真を撮らせたのか
    歪んだ性欲に消費される自分
    社会的な立場
    家族をも巻き込みあれほど慈しんでくれた
    両親を悲しませる苦しさ
    そして心無い同僚の叱責の言葉

    どれもとてもリアルに描かれてる
    被害者となった薫はまず、自分を責める
    光晴との素晴らしい思い出ごと失くしたくなくて
    責めきれない薫
    それは弱さと言うには余りにも酷で
    光晴を選んだ自分、仲良く過ごした家族まで
    否定し自虐することにもなる

    そこを読み取らせる文章がある

    かたや加害者光晴は、自分の落ち度で画像が流失したが、自らは手を出してないという事実でどこか反省の色が薄い
    自己中心的な性格や、嗜虐に興奮する癖、
    幼さの目立つ人間性が克明にかかれてる

    心に深く傷を負った女性が、それを見つめ
    一歩づづ前に進むまでの苦悩が心に伝わった
    苦しくもがきそれでも生きる
    ふてぶてしいまでの強さの小さい種火を懸命に燃やそうとする薫がいた

    18歳の薫は何も怯えがなかった
    真夜中に男性と歩くことを
    それを堂々と正確に親に説明できるを
    毅然さを持って対処した

    それを失わせる社会の歪んだ醜い性欲
    性暴力被害者の本当はない落ち度をなじる事で性犯罪の罪を軽くしようとする汚い詭弁

    私達、女性が両手を大きく広げて自由闊達にこの世界を闊歩できる時間が限られてることを思い知った

    多くの女性に今の自分たちの奪われた自由をそのままでいいのかと問いかける強い本でした

  • リベンジポルノっていうのか、知らなかった。
    暗渠って言葉も知らなかった。

    知らない言葉、珍しい家庭環境、ってこともあって、興味深くさらさら読んだ。ネットに写真がアップされることって、こわいんだろうと思ったし、それを削除するのも大変な作業だと思う。主人公の女の子は被害者だろうと思ったけど、そこまで気にしなくても、って思いがちょっとあるのは私が若くないからかな^^;そこまでの感情移入は出来なかったな。
    元カレはこの後どうなるのかな。顔を合わせるのは難しいだろうけど、何らかのケジメを見せてほしい。

  • 著者2作目。
    最初に読んだ「BUTTER」がかなり期待外れだったので、今作もそれほど期待しないで読み始めた。
    大学時代に付き合った恋人に一度だけ撮らせたヌード写真が、6年を経て、ネットに流出していることを知った菫。
    その事実に向き合う菫の葛藤を現実と大学時代の回想を交互に描く。
    携帯で簡単に撮影が出来て、ネットにプライベートが簡単に出回る時代。プライベートなヌード写真が流出することが決して物語の中だけの話とは思えずに読み進めた。
    終始、正しい人間として描かれる菫とは対照的に、写真を流出させた元恋人の光晴は欠陥のある人間として描かれる。私には菫より、光晴の気持ちがとてもよく分かってしまった。
    いろいろな感想はあると思うが、私の中では光晴の一生に一度の恋愛の物語であった。
    物語のベースにある東京都内に流れるたくさんの見えない川の話は私は夢があって、好き。

  • 菫は、かつて恋人、光晴に撮影を許した裸の写真が、
    ネットにアップされていることを偶然発見する・・・

    んー、あんま共感できなかったな~~。。。

    光春も悪い奴じゃないのに、歪み方がキモイし。
    菫も、もうちょっと早く別れてればよかったのに、っても思うけど、まぁ、恋愛の最中はいろいろ見えなくなるからしょうがないかー。

    それにしても、自分で発見しちゃうのってショックだろうな。
    いや、人に言われてももっと嫌だし、言われなくて知り合いの間に広まっちゃったりしたらもっと嫌だけどさ。

    このご時世、恋愛で盛り上がってたら、写真なんて簡単に取ったりしちゃうかもだし、やっぱり、身近で被害が起きないのを祈りたくなっちゃうな。

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