俳句でつくる小説工房

  • 双葉社
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本棚登録 : 35
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240627

感想・レビュー・書評

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  • すごく読みやすくてページがさらさらと進んだ
    ショートショートというと、星新一を思い出すが、田丸氏のショートショートは、短い純文学といった印象
    ストーリー性もさることながら、情景描写が美しく、まさに自分の思い出を呼び起こしてくれるようなお話の数々だった
    そして、自分なりに俳句も味わってみる
    五七五だからこそ、世界は広がる
    堀本氏と違った捉え方を僕はしているものもあって、俳句の可能性を感じた
    まるで、宇宙旅行だった

  • 俳人の堀本さんが一般から俳句を募集し、その句をもとに田丸さんが、ショートショートを作った、という一冊です。
    なかなか面白いですよ。もともと俳句って、詠む人の想像力を刺激するものなので物語を引き出しやすいのかもしれませんね。そして田丸さんのスタイルと俳句の相性も良さそうな気がします。ショートショートというと星新一さん、江坂遊さん、筒井康隆さん、阿刀田高さん、あたりの作品が有名ですが、この4人の作品は面白いのは当然ですが、ブラックでビターな部分がかなり強いんですね。皮肉が強い、というか。
    対して田丸さんというのはゼロとはいいませんが、ブラックな要素は薄いですね。読後感さわやか、という作品がほとんど。特にこの俳句をもとに書かれた作品集はその傾向強いですね。ご本人の性格もあるでしょうが、世代的なものもあるのかな?1987年生まれだそうです。私の思い込みかもしれませんが、このあたりの世代って、ほんと優しい人たちが多いですよね。

    『弾き蛙』
    不眠に悩む青年が同僚からG線錠のマリアの楽譜を渡される。同僚の指示通りに水をはった風呂桶の中に楽譜を浸しておいた。朝目覚めて風呂を覗いてみると、あらびっくり!!!!!!という話。

    『ムクドリ合唱団』
    ムクドリの大量発生に悩むある地方都市の市役所に老人が現れる。騒音問題を解決するという。老人はムクドリの集まっている場所へ向かった。そして手にしていた指揮棒を振りはじめた。すると、ムクドリたちのは一斉に・・・・・・・。という話。

    『ペーパーノイズ』
    ペーパーノイズとはラジオ放送中にアナウンサーが紙をめくるときにする音のこと。トークの最中に聞こえるぺらっ、ぺらっ、という音ですね。ある女性DJのペーパーノイズは不思議なチカラを持っていて、ペーパーノイズの音を聞いたリスナーは時間をさかのぼることが出来る(ように錯覚する)。で、ある男から、後悔に満ちたハガキが届く。DJはいつもは1枚とか2枚くらいしかめくらないんだけど、その時だけは、ゆっくりと何枚も紙をめくる。ぺらぺらぺらぺら・・・・。すると、ラジオを聴いていた男の部屋のドアを叩く音がして・・・・・・という話。
    2017/12/02 07:11

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著者プロフィール

俳人。俳句結社「蒼海」主宰。二松学舎大学非常勤講師。2016年度、2019年度「NHK俳句」選者。著書に句集『熊野曼陀羅』(文學の森)、又吉直樹との共著『芸人と俳人』(集英社文庫)、『俳句の図書室』(角川文庫)、穂村弘との共著『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮社)、『NHK俳句 ひぐらし先生、俳句おしえてください。』(NHK出版)、『桜木杏、俳句はじめてみました』(幻冬舎文庫)、『散歩が楽しくなる 俳句手帳』(東京書籍)など多数。
自選一句「耳は葉に葉は耳になり青葉闇」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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