できそこないの世界でおれたちは

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 50
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240870

作品紹介・あらすじ

パンク歌手として世に蔓延る嘘や欺瞞と闘った日々も今は昔。40代半ばとなった吉永は、下請けコピーライターとして、養育費の支払いに四苦八苦する毎日だ。ある日、今や紅白歌合戦に出場するほど出世(堕落?)したかつての相棒から久々に電話がかかってきて――。たとえ中年と呼ばれる歳になっても未熟さと決別できない、すべてのできそこないたちに送る、永遠の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃にかけられた、『お勉強しないとちゃんとした大人になれませんよ!』という暗示、、、
    これは『ちゃんとした』大人になれなかった人々の物語だ。
    世の中との妥協を良しとせず、俺流を貫いて来た人たちもいつか歳をとる。
    間もなくやってくる冬を前にキリギリスだって
    己の帰し方行く末に思いを馳せたりするのだ。
    お前たち、いくつになっても馬鹿だな~!と思いながらも
    どうかそのままで、最後まで駆け抜けてくれと
    願わずにいられないのでした。
    文章になれないと少し読みにくいのだけれど
    愛しい奴らの物語です。

  • 四捨五入すると50歳のシロウのお話。
    最初読み辛いかもと思ったけど、言い回しが面白くて笑いながら読んだ。いくつになっても楽しみながら私も生きたい!

  • 吉永シロウはもうすぐ50歳。昔バンドをやっていて、今は下請けコピーライターをしている。バンド仲間だった(通称)ドラムは今では紅白に出るようなバンドにいる。昔タイで知り合ったさっぱりしていてキュートな久美ちゃんにメールしても2年も返事がない。やはり昔すきだったバー・アラバマのママ、ヒロ子さんにも会ってない・・・久しぶりにヒロ子さんに会いに行き、とんでもないところで、久美ちゃんに再会する・・・

    これは思わぬ収穫。他の所で、一つの文が長すぎると批判されてたけれど、全然問題ない。AだからBになったけど、Cのような論理の展開とか、感情の展開が3つの文になっても、1つでも、リズムが良ければどっちでもいい。

    自分の人生はこんなことで良いのかと悩んでみたり、あるいは悩むのをサボって一時の快楽に耽ったりする男の話を他人事とは思えない。他人事だと思えないから面白いのではなく、面白いのに別の調味料が加わった感じがする。

    自分の事がよく分からなくなったり、厭世観が強くなったりする、いわゆる「中二病」的な病。それが一度で済めばいいけれど、またいい歳してビョーキったりする。そのビョーキをネガティブに描かずに、笑えるポジティブに変える。そんな小説だった。

  • 読むたびに焦燥や狂騒が込み上げる。青春に挫折しそこねた大人たちのやりきれなさを他人事とは思えなくて、過ぎ去った日々とこれからの日常に思いを馳せる。うまく負けること、転がることの難儀さ。かつてクラッシュはrebel waltzを歌ったが、桜井鈴茂の描く哀惜はクラッシュよりももっと懐が深い。生きていく日々に少しづつ蓄積されていくままならなさを、この小説は控えめに慈しんでいるようだ。

  • 内容紹介(ネット転載)
    パンク歌手として世に蔓延る嘘や欺瞞と闘った日々も今は昔。
    40代半ばとなった吉永は、下請けコピーライターとして、
    養育費の支払いに四苦八苦する毎日だ。
    ある日、今や紅白歌合戦に出場するほど出世(堕落?)した
    かつての相棒から久々に電話がかかってきて――。
    ジャズをかけないジャズバーの店主、パラグアイにとんずらした元コールガール、
    前科者のおかまバー経営者など、個性豊かな仲間たちと繰り広げる、
    愛と笑いと涙の物語。たとえ中年と呼ばれる歳になっても未熟さと決別できない、
    すべてのできそこないたちに送る、永遠の青春小説。

    自分と同じくらいの年代かあ。中身はなんも変わらないけど少しずつ見た目と社会的な評価が変わって行って、いつの間にやら立派な中年になりました。
    だけど、みんな胸に持ってるキラキラした夢や、ギラリとした夢は表に出さないけどあるはず。
    この本なかなか良いですよ。状況変わって疎遠になった仲間たちが少しずつ関わって今を作るなんて夢あるじゃないですか。

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著者プロフィール

桜井 鈴茂(さくらい すずも)
1968年北海道生まれの小説家。明治学院大学社会学部社会学科卒業。同志社大学大学院商学研究科中退。大学卒業後、バンド活動ののちにバイク便ライダー、大学事務員、祇園のスナックのボーイ、小料理屋店長などの職を転々とする。大学院の修士論文を放棄して執筆した小説「アレルヤ」で第13回朝日新人文学賞受賞し、これがデビュー作となる。
代表作に2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」3位に選出された『できそこないの世界でおれたちは』、『終わりまであとどれくらいだろう』。

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