未来

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 985
レビュー : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240979

作品紹介・あらすじ

"「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!!"

感想・レビュー・書評

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  • 「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。
    送り主は未来の自分だという……。

    父を亡くしたばかりの十歳の少女・章子のもとに、
    三十歳の章子が書いたという〈未来からの手紙〉が届く。
    その手紙に励まされた十歳の章子は〈大人章子〉に向けての
    返事という形で日々の日記を書き始める。
    意地悪なクラスメート、無気力だったママの変化、担任の先生の言葉
    ……辛い出来事があっても、〈未来からの手紙〉に記されていた
    あなたの未来は、希望に満ちた、温かいもの〉という言葉を支えに頑張ってきた章子。
    しかし、中学に入った彼女を待っていたのは、到底この先に幸せがあるとは思えない事態だった……。
    相次ぐ災厄が、章子の心を冒していく。私は幸せになるんじゃなかったのか…。


    未来の自分から手紙。
    その時幸せでない子供はその手紙に希望を抱く…。
    その気持ちがヒシヒシと伝わってきた。
    その未来の自分へ届くはずのない返事を書くという形式で
    物語は進んでいく。
    未来からの手紙ってどういう事なんだろう…?
    ワクワク期待しながら読み進めました。
    最初は日記の様な章子の一人語り。
    その後は視点が変わり語り手が変わり
    謎が少しずつ繋がってゆく。
    親との死別・虐め・DV・貧困・暴力的虐待・性的虐待
    ストーカー・精神崩壊・AV強要出演・自殺・放火・殺人…。
    これでもかって容赦なく辛い話、苦しい話が延々と続き
    気持ちが引きずり込まれてとっても苦しかった。
    正直読むのが嫌になった。
    でもこのお話がどこに続いていくのか、気になって
    読むのを止める事が出来なかった。
    湊さんの筆力のなせる業なのかな。

    人の数だけ、暮らしがあり、人生がある。
    この本に登場する子供達は周りの大人たちによって苦しめられている。
    本当に悪魔の様な大人が沢山登場して嫌になった。
    一人で抱えてはいけない、分担すればいい。
    自分にとって重い荷物でも、当事者以外にとってはそれ程重くないかもしれない。
    そして、自分がほんの少しの勇気を出して助けを求めれば
    未来は開かれるのかもしれない…。
    さぁ叫ぼう、未来の為に…。
    そんなラスト…未来への希望の光が見えるようなラストになっていた。
    でも、暗すぎる酷すぎる環境を読み続けたせいか、
    そんな明るい未来を感じ取れなかったのは残念です。

    ただ、章子に話してた父親の言葉はとても素敵なものが多かった。
    心に響きました。

    装丁がとっても素敵だった。
    黒地に金の題字、題字の字体もとっても綺麗♪

  • 私が10歳の時、30歳の自分からの手紙が届いたら。
    もしもその時、自分の今に希望が持てなかったとしたら、その手紙が見せてくれる「未来」はきっと心の支えになっただろう。その光に縋りついただろう。
    10歳の章子から30歳の章子への手紙、少しずつ少しずつ彼女の毎日を読むことが苦しくなってくる。でも、あの未来からの手紙があるじゃないか、きっとこのあと光り輝く日々がやってくるに違いない、きっと、きっと…
    章子、同級生の亜里沙、篠宮先生、良太、それぞれの語りによって見える全体像。
    吐き気がするほどこの世界にはくずのような大人ばかりだ。最低で最悪だ、いや、そんな言葉では言い表せない。悪魔という言葉さえ甘い。なんなんだ、なぜみんなこんなに苦しまなければならないんだ。
    眉間にしわを寄せながら読み続ける。こんな最低な大人たちは生きている意味なんてない。

    罪は償う必要がある。確かにそうだろう。けれど、償う必要のない罪だってあるんじゃないか。
    いくつもの後悔と、いくつもの犠牲の上の、最後の選択としての「罪」ならば、私はそれを認めたい。
    10歳が選んだ生きるための罪ならば、それを認めたい。

  • 大人になった自分から届いた手紙に返事を書いていく形で話が展開していくのを読みながら、章子に訪れる様々な辛い出来事に心が痛み、林先生もおばあちゃんも他の大人もみんな味方になってくれるようで実は自分のことしか考えてない、大人なんてみんなこんなもんなのか?本当に味方になってくれる人はいないのか?と絶望的になりました。亜里沙が手を差し伸べてくれた時には「よかった」と思ったのですが、まさかその亜里沙まで大きなものを抱えていて、さらにその亜里沙に手を差し伸べてくれていた智恵理までもが…という救いのなさに何とも言えず、この先どうなってしまうのだろうと思いました。良太と森本兄妹の物語も衝撃で、それが章子の話につながった時に「そういうことだったのか」と驚きでした。大事な人だったり突然やってきた手紙だったり、支えになるものを見つけた者にはどんな形かはわからなくても「未来」は待っているのだから、それを見つけた彼ら彼女らの「未来」が明るいものであってほしいと願うばかりです。

  • 10歳の章子に20年後の未来の自分から手紙が届く。自分に起こったことを返信する。自分や友達、身近な人にDV、父娘相姦、自殺等が語られる。読みだしたら止まらないのはさすが湊かなえ。心理をうまくとらえてるなあ。よくまあ心の闇をこれだけ描けるなと。しかし、読んでてしんどい。否応無く一方的にやってくる運命、負の力、それはその人のせいではない。苦しむだけの人に救いになる人が身近にいたらと思う。その声に正面から受け止めねば。誰もが話を聞くようになればね。誰もが苦しいんだ、誰もがね。

  • 「告白」から10年
    と帯にあります
    あのときの衝撃をまざまざと思い出します
    ここまで!
    おとなの所業に胸が悪くなります
    未来から届いた手紙
    そこに希望を見出したのですが
    本当に未来は明るいのですか?
    視点が変わるのでもう一度読んでみなければ

    ≪ 未来への 自分のために 歩き出す ≫

  • 湊かなえさんらしい、序盤からの絶望感。
    ただ、徐々に見えてくる真実に少し救いがある…ような…気が…。

  • 20年後の自分から10歳の章子へ未来からの手紙が届く。今回の湊かなえは、現代に潜む性的虐待など、今まで以上に暗さを感じた。誰が手紙を何のために送ったのかが、後からわかる。途中の「お!お前もやるか!」は凄い衝撃を受けた…現代では、事実は小説より奇なり!の事件が多発しているので、ただの小説とは思えないような内容でした。

  • 湊かなえの新作。
    純粋な小説としては、2年前の「ポイズンドーター・ホー
    リーマザー」以来。あいだにボリュームのあるエッセイを
    2冊出しているとはいえ、これだけ期間が空くのは珍しい。
    つまり、ファンとしては待望の作品なのだが・・・。

    なんと、今回も“原点回帰”とされるイヤミス。
    そもそも僕がイヤミスにハマったのは正しく湊かなえの
    「告白」があったからであるから、女史がその手の作品を
    連発することになんの文句も無い。しかし・・・。

    今作に関しては、なんというか・・・。今ひとつ食い足りな
    い感があった。イジメに始まり、DVや近親相●、AV出演
    から殺人までいろいろな負の要素が網羅されているのは初
    期からのファンである僕には嬉しいし、それらを繋いで形
    成されるミステリーもかなりのレベルだと思う。実際読書
    中はかなりドキドキし、湊マニアとして極上の時間を貰っ
    た。じゃあ何が悪いのかと言うと・・・。

    おそらく、ラストの処理。
    イヤミスならイヤミスらしく、最後まで救いようのない展
    開で全うして欲しかった、と言ったら贅沢なのかなぁ・・・。

    ミーニングのちゃんとあるタイトルや、ソレと真逆を行く
    デザインの装丁など、気合い充分の新作ではあるだけに、
    この中途半端さがちょっと残念。もしかしたら今の湊かな
    えに「圧倒的なイヤミス」を求めてはいけないのかも・・・。

  • 20180425Mリクエスト
    読んでいて辛かった。
    その中に、ちょこちょこ出てくるかわいらしいキーワード、ドリームランド、ドリームキャット、マドレーヌ、カヌレ…が救いのように思えた。
    ミステリーとは違うような気がした。

  • 小学生の時、家庭や学校の事、イジメで悩み引きこもりになって立往生していたら突然、未来の自分から手紙が届く。その手紙を励みに主人公は自分の未来へと立ち向かう。。。一体どこからこの手紙は届いたのか。後半は両親、友達、先生の生い立ちや過去の心の痛みが解ってくるのですが、複雑で苦しいものばかりでこれでもか、と言わんばかりでした。でも、それでも主人公は前に進むしかない。夢の国に逃げてはいけない。現実を受け止め一歩ずつ確実に前を向いて歩き出した時、主人公のラストは明るい未来がある、と信じたい。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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