未来

著者 :
  • 双葉社
3.36
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本棚登録 : 1652
レビュー : 223
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240979

感想・レビュー・書評

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  • 20年後の自分から手紙が届くという、どこかで聞いたことのあるようなお話ではあります。

    章子、エピソードⅠ、エピソードⅡ、エピソードⅢと、章が進むごとに現在から過去に遡っていくという意欲的な構成になっています。
    この手法、読者の興味を削がせずに最後まで引っ張り続けるだけの筆力や勢いを必要とするところが難しいのですが、残念ながら本作ではうまく処理できていないように感じられました。
    いじめに家庭内暴力に近親相姦にAVと、一般読者が共感しやすそうな問題を扱っているところがいかにもな感じで既視感を覚え、展開の強引さばかりが印象に残りました。
    それらのテーマはそれなりに掘り下げられはするのですが、やっぱりどこか安易な印象は拭えないかなあと。

    他にも色々と不満はあり、例えば章子の章を10代前半の少女が書く(思い描く)内容とするにはいくら何でも無理があるでしょう。
    極めつけはラストで、ネタバレになるので書きませんが、どうなんですかこれ。

    と、文句ばかり書きましたが、場面転換の箇所などでは著者らしい仕掛けもあり、これはこれで楽しめました。
    一応、商業作品として一定の水準はクリアしているようには思えます。

    それにしても、また心の病気を抱えた人物が登場するとは。今回の候補作はこんなのばっかりで、正直げんなりですわ。

  • 登場人物が最後で重なって行く。
    キーワードはマドレーヌと放火か。
    森本くんのくだりは、不自然さがかんじられた。
    ただ、もう一度読み直したと思った

  • 湊さんにしては、イヤミス度が低く、希望を感じさせるラストで良かった。

  • デビュー10周年記念の書き下ろしということで久しぶりに購入
    告白、リバースではじわじわと伏線回収しながら真実が明らかになっていくのがとても気持ちよくて読了後はじっとりと嫌な気分になれましたが、こちらは別の意味で嫌な気分に…

    結局、須山と早坂は死んだのか死んでいないのかで2人の少女の未来は大きく変わるんですが、それはわからずじまい
    なんとなーく、ふたりとも生きていてこの後の少女たちの未来は暗いような気がします
    篠原先生が入れたドリームランドの栞のせいで2人が20年後の幸せを信じているあたりが悲しい…
    このイヤ〜な感じは湊かなえ作品らしくて好きです!
    全作品を読んでいるわけではないので断言できませんが、告白もリバースも過去の出来事に対する発覚でイヤ〜なラストになってましたが、今作は少女2人が未来へ希望を持つ証としての栞がニセモノという点で 2人のこれからのイヤ〜な未来に想いを馳せる…だからこのタイトルなのね!と勝手に想像しました。
    うーん、支離滅裂ですね。うまく言葉にできませんが、この作品のタイトルとして「未来」をつけるのは流石だなぁと思います。

    2018/6/20〜21

  • よく練られた構成。一気に読めてしまう筆力はさすが!!
    10歳の章子20年後の自分から手紙が届く。
    その証拠にドリームランド、マウンテンの30周年の記念グッズの栞も同封されて…。

    この章子の(家事全部やってくれていた父親を病気で亡くしてからの)半波乱万丈さ、同級生で母親を亡くしている亜里沙の(弟も後に自殺)半生の波乱万丈さ、亜里沙の定時制高校の優しい先輩、智恵利ちゃんの多重人格にならざる得なかったわけ。担任だった篠田先生の過去。章子の母親の人形でと人のスイッチがあるわけ。
    これらすべて”性的虐待”がからんでる。
    こんな大人ばかりだったらもう絶望しかないだろう。
    ラストではほんの少しの希望(未来)を托して終わるけど、
    すべてのエピソードでキーワードになっている”ドリームランド、マウンテン”には誰も行ってないんだね。

  • タイトルや帯の感想などから明るい展望がみられるお話かと思って読み始めたけれど、むしろ湊かなえさん節炸裂だった!でも、そう気づいたときにがっかりせず「やっぱりね」と心の中でそれを歓迎する気持ちがあるのは、先の読めないストーリー展開や怖いもの見たさにページを繰る手が止まらないから。

    いじめや家族関係の崩壊などでひどく心を痛めているふたりの少女に、未来の自分からの手紙が届く。それを軸に語られる、関係する人々の心の闇、精神の崩壊、その中にかすかにみえる一縷の望み。
    小説の登場人物たちに「小説の外の実際の人生は、そんなに悪いものじゃないよ」と言ってあげたいくらい、ひどい虐待や陰湿ないじめが描かれるけれど、ここまでひどいことをする必要ってあったんだろうか。でもだからこそ、マドレーヌとか花火とかシャインマスカットとか、ほんのささやかなものに望みが詰まっているようにも感じる。
    しばらく再読はしない、ものすごく刺激が強かったから。

  • 湊かなえの長編小説。冒頭から心をつかまれ一気に読み進めるも、展開があまりにもつらい。
    出だしの章子に届く未来からの手紙はのっけから泣きそうになりました。大好きな父親を10歳で亡くし、心が不安定な母を必死で守るように生きる章子。章子は未来の自分に返事を書き始める。何通も。パパを亡くした寂しさや不安、彼女が書くことで気持ちを落ち着かせ、前を向いていく姿に打たれました。「書くって大事。思いを形あるものに変えて体から出すとスッキリする」という章子に共感。文章が上手で本を読むのが好きな少女がどうなっていくんだろうと読み進めたけど。パパは章子とママを残して死んではだめだったね。生きて幸せを守ってほしかった。
    本人にはどうしようもない悪意に翻弄されて。心身ともに傷つけられ、絶望感が漂います。章子だけでなく他の登場人物たちが人知れず抱えている闇もそれはそれは深くて。希望を見出してもまた新たな絶望が生まれるような感じです。共感も理解もできないような「悪魔」のような人が出てきます。読んでいて胸が悪くなる。結末もはっきりしないけど、けっしてハッピーな終わり方でもなくて。でもここから声を上げて苦しみから抜け出せるのかな?
    タイトルからもっと明るい希望ある話を期待していたのだけど。読後感は良くはありません。重い。ため息が出ちゃう。イヤミスってこういうこと?
    でも読ませる筆力は確か。読み返したら新たな見方や発見があるのかもしれないけど、そんな気力はとてもじゃないけど湧きません。。。

  • 湊さんの最新作ということで購入。
    表紙が卒業アルバムっぽい背表紙になっていて、卒業や思い出のような涙を誘う物語を想像していました。しかし、それとは反対にこれでもかと思うくらい様々の負の出来事が待ち受けてきます。胸糞が悪くなります。
    湊さんということもあり、人間の嫌な部分が文章から醸し出しているのはすごいなと思いました。人間の心の闇の部分を描くのは、一流かと思います。
    また、あらすじにあった未来の自分から手紙が届いたという内容にどんな展開になっていくんだろうと興味をそそぐ内容で面白かったです。しかし、どんどん気持ちがダークになっていき、読めば読むほど嫌な感じになってしまいました。
    イヤミスというわけではありませんが、最後どんな未来が待ち受けているのか少しでも良い方向へ向かってくれればなと切に願いました。読めやすいのですが、気持ちはどんどん暗い感じになるのでご注意を。

  • さすが湊かなえ。
    暗い話で、いわゆるイヤミスなんだろうなと思って読みだしたら
    やっぱり暗くて、でも止まらない。

    終わり方、よかったなぁ。
    さすが湊かなえの一言に尽きる!!!

  • 湊かなえさんらしい作品。未来の自分から届いた1通の手紙から物語が展開していく。読んでスカッとする本ではないところが「湊ワールド」かも?

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

湊かなえの作品

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