未来

著者 :
  • 双葉社
3.41
  • (71)
  • (261)
  • (319)
  • (69)
  • (16)
本棚登録 : 2475
レビュー : 300
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240979

作品紹介・あらすじ

"「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!!"

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。
    送り主は未来の自分だという……。

    父を亡くしたばかりの十歳の少女・章子のもとに、
    三十歳の章子が書いたという〈未来からの手紙〉が届く。
    その手紙に励まされた十歳の章子は〈大人章子〉に向けての
    返事という形で日々の日記を書き始める。
    意地悪なクラスメート、無気力だったママの変化、担任の先生の言葉
    ……辛い出来事があっても、〈未来からの手紙〉に記されていた
    あなたの未来は、希望に満ちた、温かいもの〉という言葉を支えに頑張ってきた章子。
    しかし、中学に入った彼女を待っていたのは、到底この先に幸せがあるとは思えない事態だった……。
    相次ぐ災厄が、章子の心を冒していく。私は幸せになるんじゃなかったのか…。


    未来の自分から手紙。
    その時幸せでない子供はその手紙に希望を抱く…。
    その気持ちがヒシヒシと伝わってきた。
    その未来の自分へ届くはずのない返事を書くという形式で
    物語は進んでいく。
    未来からの手紙ってどういう事なんだろう…?
    ワクワク期待しながら読み進めました。
    最初は日記の様な章子の一人語り。
    その後は視点が変わり語り手が変わり
    謎が少しずつ繋がってゆく。
    親との死別・虐め・DV・貧困・暴力的虐待・性的虐待
    ストーカー・精神崩壊・AV強要出演・自殺・放火・殺人…。
    これでもかって容赦なく辛い話、苦しい話が延々と続き
    気持ちが引きずり込まれてとっても苦しかった。
    正直読むのが嫌になった。
    でもこのお話がどこに続いていくのか、気になって
    読むのを止める事が出来なかった。
    湊さんの筆力のなせる業なのかな。

    人の数だけ、暮らしがあり、人生がある。
    この本に登場する子供達は周りの大人たちによって苦しめられている。
    本当に悪魔の様な大人が沢山登場して嫌になった。
    一人で抱えてはいけない、分担すればいい。
    自分にとって重い荷物でも、当事者以外にとってはそれ程重くないかもしれない。
    そして、自分がほんの少しの勇気を出して助けを求めれば
    未来は開かれるのかもしれない…。
    さぁ叫ぼう、未来の為に…。
    そんなラスト…未来への希望の光が見えるようなラストになっていた。
    でも、暗すぎる酷すぎる環境を読み続けたせいか、
    そんな明るい未来を感じ取れなかったのは残念です。

    ただ、章子に話してた父親の言葉はとても素敵なものが多かった。
    心に響きました。

    装丁がとっても素敵だった。
    黒地に金の題字、題字の字体もとっても綺麗♪

  • 完全なる黒湊。しかしハードカバーに記された金色の「未来」の文字。最後は少女たちにとって救いのある結末だったと信じたい。「10歳の章子へ、こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。」で始まる。最初の200ページが大人章子への返信。内容は章子自身へのいじめ、DV、母親のうつ病、母親と担任の恋沙汰、身売り。章子の反吐が出る程の生きにくさをこれでもか!と描写した。章子の父親が何故母親を守りたかったのか?この真相が理解でき、この輪廻する不条理に言葉がない。不条理を突き詰めた完成度は極めて高かった。

  • 私が10歳の時、30歳の自分からの手紙が届いたら。
    もしもその時、自分の今に希望が持てなかったとしたら、その手紙が見せてくれる「未来」はきっと心の支えになっただろう。その光に縋りついただろう。
    10歳の章子から30歳の章子への手紙、少しずつ少しずつ彼女の毎日を読むことが苦しくなってくる。でも、あの未来からの手紙があるじゃないか、きっとこのあと光り輝く日々がやってくるに違いない、きっと、きっと…
    章子、同級生の亜里沙、篠宮先生、良太、それぞれの語りによって見える全体像。
    吐き気がするほどこの世界にはくずのような大人ばかりだ。最低で最悪だ、いや、そんな言葉では言い表せない。悪魔という言葉さえ甘い。なんなんだ、なぜみんなこんなに苦しまなければならないんだ。
    眉間にしわを寄せながら読み続ける。こんな最低な大人たちは生きている意味なんてない。

    罪は償う必要がある。確かにそうだろう。けれど、償う必要のない罪だってあるんじゃないか。
    いくつもの後悔と、いくつもの犠牲の上の、最後の選択としての「罪」ならば、私はそれを認めたい。
    10歳が選んだ生きるための罪ならば、それを認めたい。

  • 大人になった自分から届いた手紙に返事を書いていく形で話が展開していくのを読みながら、章子に訪れる様々な辛い出来事に心が痛み、林先生もおばあちゃんも他の大人もみんな味方になってくれるようで実は自分のことしか考えてない、大人なんてみんなこんなもんなのか?本当に味方になってくれる人はいないのか?と絶望的になりました。亜里沙が手を差し伸べてくれた時には「よかった」と思ったのですが、まさかその亜里沙まで大きなものを抱えていて、さらにその亜里沙に手を差し伸べてくれていた智恵理までもが…という救いのなさに何とも言えず、この先どうなってしまうのだろうと思いました。良太と森本兄妹の物語も衝撃で、それが章子の話につながった時に「そういうことだったのか」と驚きでした。大事な人だったり突然やってきた手紙だったり、支えになるものを見つけた者にはどんな形かはわからなくても「未来」は待っているのだから、それを見つけた彼ら彼女らの「未来」が明るいものであってほしいと願うばかりです。

  • 湊かなえワールドの集大成との惹句に惹かれて読んだけど、ちょっと好みでなかった。初めは頭も良くて健気な女の子の物語が展開するので興味津々に読み進めている内に、次々と酷い要素がこれでもか と続いて来て終章で止めを刺された 笑。

  • 湊さんの小説は大好き。
    これもさくさく読み進められたけど、辛い内容。
    こんな怖い話は、読みたくないと思ってしまうほど。

    この世の中、いろんな事件が毎日のようにおきる。
    でもそれをなかなか身近には感じられない。

    でも壁一つ隔てただけの、隣の出来事かもしれない。知らないだけで。

    自分だけで悩んじゃいけない、もっと声を大にして今の状況を訴えないと。
    自分の未来は自分でつかみ取らないと。
    泣いてちゃダメだ。

  • 「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。
    送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワーールドの集大成!
    待望の書き下ろし長編ミステリー!!

    こちらの本ですが実は、私が湊かなえを知り、また、愛読するようになった「一冊目」の本です。それまでは巡り合わせのご縁がなく知らなかったんですが「タイトルに惹かれて」購入。いざ本を開き読み進めてみると、「あ、これは未来の自分とのタイムリープ系なのだな」と彼女の作風を知らない私は思ってしまいました。
    しかし、章を追うにつれ、DVや近親相姦、親殺しの計画と実行、自殺や公務員がAV出演の過去などの公序良俗に反するようなネタがこれでもかというほど盛り込まれており、自分の心がどうにかなってしまうのではないかという危険を感じつつも、今後の展開で「未来」が切り開かれていくのではないかという淡い期待を抱きながらあっという間に読み進めてしまいました。

    結末は...ここでは伏せておきますが、、、、
    「私はこの作品がきっかけで湊かなえの虜になりました。」

  • 10歳の章子に20年後の未来の自分から手紙が届く。自分に起こったことを返信する。自分や友達、身近な人にDV、父娘相姦、自殺等が語られる。読みだしたら止まらないのはさすが湊かなえ。心理をうまくとらえてるなあ。よくまあ心の闇をこれだけ描けるなと。しかし、読んでてしんどい。否応無く一方的にやってくる運命、負の力、それはその人のせいではない。苦しむだけの人に救いになる人が身近にいたらと思う。その声に正面から受け止めねば。誰もが話を聞くようになればね。誰もが苦しいんだ、誰もがね。

  • 読んでいて、なんで罪のない子どもたちが
    こんなひどい目に遭わなきゃいけないのよ、、、と腹がたってくるのだけれど
    現実社会を見渡せば、探さなくたって
    耳を塞ぎたくなるような虐待のニュースが次々と飛び込んで来ているではないか。。。

    信頼できる大人がひとりでもいれば、気持ちをわかってくれる友人が一言大丈夫だよと言ってくれれば
    辛い環境にいても子どもは前に進んでいける。

    遠い未来から手紙を送ることはできなくても
    近くの子どもが出しているかもしれないメッセージに
    気づいてあげられる大人でいたいと思った。

  • これでもか、というくらいに酷い大人達が出てくる。いじめ、虐待、暴力、ストーカー、放火、性的虐待、近親相姦、尊属殺人…
    こんなに"悪意"を撒き散らす作品は、読んでいて気分が悪くなる。この物語のテーマは何なのだろう、と考えつつ、吐き気を覚えながらも読み進めてみた。
    "生きているものにだけ、未来がある"ということなのだろう。
    最後に未来への希望を匂わせているのだろうが、そこに明るさを感じ得ないのは、私だけではないはずだ。

全300件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1973 年広島県生まれ。2007 年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。本著は、「2009 年本屋大賞」を受賞。12 年「望郷、海の星」(『望郷』収録)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16 年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞。18 年『贖罪』がエドガー賞ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門にノミネートされた。その他の著書に、『少女』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』『未来』『落日』などがある。

「2021年 『ブロードキャスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

湊かなえの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
西 加奈子
東野 圭吾
村田 沙耶香
湊 かなえ
森見登美彦
湊 かなえ
湊 かなえ
西 加奈子
湊 かなえ
東野 圭吾
横山 秀夫
柚木麻子
恩田 陸
米澤 穂信
湊かなえ
宮部みゆき
伊坂 幸太郎
湊 かなえ
東野 圭吾
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印

未来を本棚に登録しているひと

ツイートする
×