ムゲンのi(下)

著者 :
  • 双葉社
3.66
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本棚登録 : 3328
感想 : 294
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575242096

作品紹介・あらすじ

次々とイレス患者のマブイグミに成功する識名愛衣。患者たちの心の傷は最近都内西部で頻発する猟奇殺人と繋がっていることが次第に分かってきた。しかも、この事件は23年前の少年Xによる通り魔殺人とも繋がっている。少年X……それは愛衣自身の忌まわしきトラウマでもあった。過去を乗り超えるため、患者を救うため、愛衣はこの難事件の真相究明に挑む。

『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』
2年連続本屋大賞ノミネートの著者最新作、感動のフィナーレ!

感想・レビュー・書評

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  • 下巻は23年前に起きた連続殺人事件の謎の解明です。

    やっぱり怪しいなと思った人物が怪しかったです。
    でも、マブイとかクルルとかの説明がたくさん出てくるけれども、私は純粋なミステリーを期待していたので、実証のないものの説明を懸命にされても「それって、ホントかな~」とか思ってしまいあまり信じられませんでした。

    でもこれはただのミステリーではなく、ハリーポッターのような物語としてよめばいいんだと考えると面白く読めて物語の中に入ることができました。
    だって怪物まで登場してくるし本当にびっくりしました。

    最後は23年前の事件の最大の被害者である愛衣が犯人を赦すという結末が人がよすぎると思いましたが、この結末しかなかったのだろうと思いました。
    最後の愛衣と家族の交流はよかったです。

  • 夢幻の世界の正体、主人公の過去、連続殺人事件の真実が次々と明かされてゆく。それらを知る度に、前半での細かい伏線や描写に脱帽した。タイトルの回収も圧巻だった。
    ファンタジー要素が思っていたほど多いので、この世界観を受け入れられるかで評価は変わると思う。私は嫌いじゃなかったので、かなり面白かった。

  • タイトルの意味が深い。
    本当に一気読みしてしまった。

    愛衣の少しずつ強くなっていく姿がさらに涙腺を攻撃する。

    夢の中にいるような感覚になれる小説。

  • 識名愛衣は都内病院の精神科医。眠りから覚めなくなる奇病、イレス《突発性嗜眠症候群》が同時多発で発症し、4名のうちの3名を担当することとなった。ユタの血を引く愛衣は、マブイグミをして魂を救済していく。
    そんな最中、同僚の華先輩が担当するもう1名のイレス患者が巷を騒がしている連続殺人事件に関連していると聞かされる。そのイレス患者とは一体誰か?イレスはなぜ同時多発で発症したのか?
    そして、愛衣自身が巻き込まれた23年前の事件とは?

    いやー、仕事あるのに夜更かしして読み耽ってしまった。
    特に後半。物語が進むにつれ、どんどん引き込まれていった。上巻で少しずつ感じていた違和感が、実は全て伏線でどーんと回収された時は、「なるほど~っ!」と思わずひとりで騒いでしまいました。

    ストーリーはとても複雑だけどスピード感があって、あたたかくて感動的。

    採点は5点に近い4点。少年Xの魂の闇をもう少し丁寧に描いて欲しかった…なんて贅沢なことを少し思ってしまったので。

    さて、2020年本屋大賞では、「medium 霊媒探偵城塚翡翠」との霊媒師ミステリー対決勃発で、どちらが上位か結果も楽しみ。僕の好みは「ムゲンのi」の方だな。

  • 良き時間だった。

    夢幻の世界、全ての謎が解けていくミステリ…上下巻通して心を縛りつけられるほどの良き時間は思わず声が出るぐらい、それぐらい良かった。

    ずっと心に閉じ込めてきたものを解放する時、してあげる時、向き合わなければいけないその時に、人はどれだけのパワーと勇気を必要とするのだろう。
    その過程、心の動きが巧くファンタジーとして表現されていたと思う。
    今、自分の周りにいてくれる人、ペットを思い浮かべる。今以上に包み込み、包まれたくなる。
    読後は確実に胸の辺りに温かさが広がる素敵な作品。

    • あいさん
      私結局知念さん読んでないままで…
      この作品も本屋大賞にノミネートされているし今度こそ読んでみようと思うんだけど、私に合っているかしら?
      ...
      私結局知念さん読んでないままで…
      この作品も本屋大賞にノミネートされているし今度こそ読んでみようと思うんだけど、私に合っているかしら?
      今度映画化される「仮面病棟」だっけ?
      どっちの方が面白いかな?
      2020/02/02
    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      わかるー、私、実はあまり知念さん得意じゃなくて。
      仮面病棟は…正直ダメだった。たぶん、あざとい人物が大嫌いだからだ...
      けいたん♪こんにちは♪

      わかるー、私、実はあまり知念さん得意じゃなくて。
      仮面病棟は…正直ダメだった。たぶん、あざとい人物が大嫌いだからだと思う。
      これは医療ミステリーとファンタジーで、好きな知念作品。
      泣けたしおすすめだよ。
      2020/02/02
  • 夢幻の世界で、ユタとして成長する愛衣。眠り続ける「イレス」患者達を、現世界に手繰り寄せる、ファンタジー。

    患者達にまつわる殺人事件、そして「少年X」へと立ち向かうミステリー。


    漱石の「夢十夜」には、心酔しておいて、知念さんの、渾身のスピリチュアル的ファンタジーは、、というのは、全く自分ながら身勝手だと思う。

    ちゃんと帯にも ミステリー×ファンタジーって書いてあったのに、心構えが足りなかったのが、敗因だよね。


  • 上巻はファンタジーに入り込めない部分もありましたが、下巻は謎が解けていく爽快感が心地よく、一気に読み進めました。

  • 上巻からの謎が次から次へと明らかになっていきます。途中まで題名の「ムゲンのi」は「夢幻の愛衣」だと思っていました。患者たちの夢幻の世界に、神経内科医の愛衣先生が入り込み、どうして患者たちが昏睡状態になったのか、大きな精神的ショックは何だったのかを探し当て、マブイグミ(魂を元の人の体に戻す)をする。しかし、「無限の愛」という意味もあったとは。

    愛衣先生は5才の時に、母親を目の前で少年Xに殺され、自分の心を閉ざしてしまいます。母親の記憶を心の奥底にとどめ、忘れようとして、23年間生きてきました。しかし、自分の悲しい記憶と向き合わなければならない時がきました。そして、自分は、今は亡き母親、家族たちから、「無限の愛」を絶え間なく、受け続けていたことに気づきます。それが力となり、自分を苦しめていた、少年Xのククル(悪意の塊のようなもの)に勝つことができました。

    最後の夢の中の、光輝く小島の場面は、これからの愛衣先生の明るい未来を示しているようで、とても良かったです。

  • 初めて知念実希人さんの作品を読んだがとても面白かった。
    特に下巻の後半からはページをめくる手が止まらないほど夢中になって読んでしまった。
    上下巻合わせて700ページを超えるものだったが真実を早く知りたいという気持ちが強くスラスラ読んでしまったように感じる。
    かなりファンタジーも強めの作品ではあったが、だんだんと全てが繋がっていくのが楽しかった。

    知念さんの他の作品も読んでみたいと思う。

  • 下巻も色彩豊かな描写と壮大でハラハラする展開が目白押しで、とても楽しめた。終わり方も素敵。
    「他人から受け取った心の欠片がマブイ(魂)に蓄積され、そこから分離してククルが生まれる。人間は死ぬときに、マブイの欠片をその人に対する感情と一緒に身近な人たちに遺す。そのマブイは受け取った人物のククルの一部として残り続ける。」というような考え方が、とても参考になった。身近な人を亡くして落ち込んでいる人に是非すすめたい本。
    人間は誰しも、たくさんの愛情をかけられて育つべきなんだということを思った。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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