- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575246810
作品紹介・あらすじ
児童養護施設で育った元不良の翔太は先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。ここは言葉巧みに女性を騙し惚れさせ、金を使わせて借金まみれにしたのち、風俗に落とすことが目的の半グレが経営する店だった。〈マニュアル〉に沿って女たちを騙していく翔太に有名私大に通いながら〈学び〉のためにカタラで働く海斗が声をかける。「俺たち一緒にやらないか……」。二人の若者を通した日本社会の歪み、そして「本当の悪とは」を描く社会派小説。
感想・レビュー・書評
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本当のクズとは、どんな人間をいうのか?
広告業界を舞台にした、人間性とは何かを問う社会派小説。
第一部で「下級国民」として反社会的勢力、第二部で「上級国民」を描く(嫌な言葉だが)。
その第二部の舞台が広告業界だ。
広告代理店最大手「電●」。作品内での社名は「アドルーラー」。社員の自称は「電●マン」ならぬ「アドルーマン」。
adruler(広告を統べる者=広告王)なら、そのままアドルーラーでええやん(と思った)。
呪いや洗脳のように何度も連呼され、あまりのゴロの悪さに苦笑する。お前それでもアドルーマンか!
ストーリーは昨今、社会問題化した実際の事件、報道を基にしている(てんこ盛りだ)。読みながら、皆さん「ああ、あれか」と思うはず。
それを批判したいわけではない。
しかし、フィクションとしての物語的飛躍に乏しく、すべてが想定の範疇におさまったのが残念だった。
章立てのタイトルは、ドストエフスキーの『罪と罰』からと思われ、おそらく翔太と海斗の人格は、その主人公ラスコーリニコフを二分して造られたのだろう。
ならばこそ、クライマックスのどこまでも噛み合わない情景も納得できる。
改めて「人間性」について考えるきっかけになった。
偉いから。貧しいから。学歴が高いから。前科があるから。
あなたは人を人として見ていますか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鬼★5 若き二人の犯罪を通して、現代の薄暗い社会問題が浮き彫りになる… 社会派犯罪小説 #半暮刻
■あらすじ
子どものころから恵まれなかった翔太と有名大学に通う海斗は、会員制のバーで働いていた。そこは利益追求のため、女性を風俗に陥れるマニュアルが用意されている残忍で狡猾な店であった。
彼ら二人は自らの研鑽と利益のため、次々と女性たちを罠にかける。しかしついに警察の手入れが入り、翔太だけ逮捕されることになったのだが… 果たして彼らはどんな人生を歩んでゆくのか。
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 いま読むべき犯罪小説。まさに現代の社会問題を切り取った作品です。
本書に書かれている物語はあくまでフィクション、でも本当にありそうな社会の闇がそこにある。というか、現実に同じような事件がありましたよね。被害にあわれた皆さんには、お祈りを申し上げたい。
犠牲者になった人々へは残念な気持ちしかないんですが、なぜか加害者に対しても同じ気持ちになるんです。読めば読むほど本当に悪い奴は誰もいないような気がしてきて、ただやるせなくなりました。
経済や環境に恵まれなかった者たちと、一度社会からはみ出したものへの扱い。そして上級国民や大企業との格差があまりにも酷すぎる…
会員制バーの現実も酷すぎる。
よくある話なのかもしれませんが、詳細まで知るとクラクラしてくる。組織も人も環境も全てに反吐がでますね。シンプルに女性を傷つけるのはよくない!
大企業の現実も酷すぎる。
私も聞きかじったこともあり、きっと中らずと雖も遠からずなんでしょう。ただ本書後半で語られる内容はとてもじゃないけど受け入れない。利益追求、成功だけの理屈から、どれほど人を傷つければ気が済むのか。
酷い酷いと書き過ぎのレビューになりましたが、これが現代のリアルなんだと受け止めるしかない。刮目して読ませていただきました。
■ぜっさん推しポイント
ここに書かれていることは決して他人ごとではない。ネットに情報を書いてる私もその可能性があるし、読んでいるあなたもその可能性がある。
中途半端な正義感や聞きかじった合理性を妄信し、好き勝手に主張する。なんの利害関係もなく、しかも安全な場所からしか発言しない。そして「損」「失敗」「不道徳」という言葉には圧倒的に拒絶する。不景気という現代の日本において、こんな価値観を持った社会がいきつく先は、どうなってしまうんでしょう。
しかし大切な人と出会い、様々な仕事や情報に出会えれば人々は成長していける。薄暗い未来でなく、明るい未来になって欲しいですね。 -
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かなさん コメントありがとうございます♪
ホント同じタイミングで嬉しいですー(*´∀`*)
私もそのニュースを思い出しました
今はどうな...かなさん コメントありがとうございます♪
ホント同じタイミングで嬉しいですー(*´∀`*)
私もそのニュースを思い出しました
今はどうなってるんでしょうね?
なかなかその先までは報じられないですもんね
対決、まだ先になりそうです笑
今ほろよい読書が届いて読んでますよー♪
こういう機会がなかったら手に取らなかったので
ありがとうございますー(〃ω〃)
2024/06/04 -
月村沼にようこそ!
胸糞悪いけどハマります!
ぜひ、シンタローイチオシの「奈落で踊れ」を。
★一個でも大歓迎!
ノーパンしゃぶしゃぶと公文書...月村沼にようこそ!
胸糞悪いけどハマります!
ぜひ、シンタローイチオシの「奈落で踊れ」を。
★一個でも大歓迎!
ノーパンしゃぶしゃぶと公文書改竄です。2024/06/04 -
シンタロウさん
コメントありがとうございます♪
月村さんは胸糞悪い感じが多いんですね_φ(・_・
奈落で踊れも探してみます!!シンタロウさん
コメントありがとうございます♪
月村さんは胸糞悪い感じが多いんですね_φ(・_・
奈落で踊れも探してみます!!2024/06/05
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すごく怖い闇の世界を垣間見た感じ。オリンピックでも万博でも、日に日に予算が膨れ上がっていくカラクリ、ホストに貢がせ借金地獄に落とし、風俗に転落させる仕組み。。甘い汁を吸う政治家やヤクザ達が腹立たしくて仕方がなかった。
電通で亡くなられた方のことも頭を過ぎった。華やかな派手な業界だろうとは想像つくが、おそらく本当にかなり汚い世界と繋がっているのでしょう。。若者には就職する前に、この本を読んで欲しい。
半グレという言葉も初めて知った。グレるなんて、昭和の言葉だと思っていた。 -
月村了衛さん「半暮刻」
社会派小説で知られる月村作品を読んでみようと思い現時点で最新作品を選択してみた。
本作品の本筋は過去にあった某大手広告代理店の不祥事に準えられておりそこにフィクションを重ねた物語。ハラスメント、利権、印象操作、オーバーワーク、隠蔽工作等々の社会問題のオンパレード。
物語が気になり頁を捲る手が止まらなかった。だがどうしても主人公の二人、海斗と翔太が好きになれないまま読み終えてしまった。
海斗は言うまでもなく対人関係、一般社会生活に対して欠陥している部分が著しい。極端な自己中心的な自己意識に偏向しており、偏執的な自己肯定と他者否定が強烈すぎる。典型的なソシオパス。
何事にも自分が正しく自分以外の者への扱いが打算的で酷く醜く心が通っていない。異端なナルシストにも感じる。
ある意味では人間関係上のバランス感覚の欠陥した可哀想な男だと感じもしたがそれ以上に鼻につき腹立たしかった。
また翔太も翔太で臆病で頭が弱くそれ故に脆く、自分の知らずに撒いた罪の重さ深さにもがき苦しむ。言い訳のように格差社会にその矛先を向けたりするのだが打破するだけの力強さがないだけとも感じる。
亡くなった弟の事を忘れる程の精神疾患を患っているのだが全く共感できない。亡き弟の存在を完全に忘れている、自分には彼に理解の念が得られず全く同情共感できなかった。
物語が進むにつれ更正していくようにも読み取れるのだが、最後海斗との会話で海斗を否定して自分を肯定しているようにも読み取れそこも腹立たしく感じた。どう更正しようがしまいが、反省しようがしまいが、根本的に被害者達からしてみれば同形なのだとどうして思えないのか?お互いで何を話しているのやら?くだらなさが込み上げてきた。
結局この2人がムカつくというチープな感想が最終的に強く残る。
唯一、読書の楽しみが描かれておりそこだけが強く共感できた。今自分もこうして感想を書いているが、自分も翔太と一緒で自分の感じた事をまとめる楽しさ、他の方々のレビューを読み類似や相違を味わう醍醐味を読書から得ている。
その点は凄く共感できた。
自分の経営する飲食店の常連さんに本作品のモデルとなった某大手広告代理店の取締役の方がいる。
その方はとても気さくで博学で高い徳を感じさせられる。自分みたいな下級とまでは言わないがとても住んでいる世界の違う人でも誰にでも損得無しで対等に接し同じ目線で話をしてくださっている。会社や組織体質はどうあれ自分はその方を個人的にとても尊敬しており、そういう人間にいずれなりたいと思っている。
この作品を読んで時事や事件等の真相の虚偽や隠蔽や捏造、印象操作等々含めて改めてしっかりと自分で判断、見極めないといけないと感じた。そしてそこに携わる個人、会社、組織全てを一色単なモノサシで測ってはいけないなとつくづく思わされた。
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月村了衛さん初読みでしたが、とても面白く読み応えがあり、物語にのめり込んでしまいました。月村さんの他作品に興味をもち、読書の幅が広がる体験ができました。
物語は2部構成。1部が、女性を騙し、金のために風俗へ転落させるホストクラブの話。2部はガラリと変わり、利益追求のためには何の犠牲も厭わない大手広告代理店の話です。
主人公は翔太と海斗。この2人の出会いと別れ、そして最後の最後に再会する物語でもあります。
章立てタイトルである「翔太の罪」「海斗の罰」のネーミングが本作の内容の的を射ており、不条理さや罪と罰の奥深さを感じます。
2部の共通点は、人をモノとみなす所業、人間の邪悪さでしょう。半グレや大手企業の裏ドキュメンタリーを観ているくらいにディティールがリアルで、現代社会の闇を描き切っています。実際の事件報道と重ねてしまうほど引き込まれます。
主人公を2人置いたプロットも見事で、全くタイプの違う翔太と海斗の対比、金の亡者と厳しい境遇の者の対比と扱いの筆致が素晴らしく、絶妙です。
日常のすぐ隣にある闇に足元をすくわれる怖さ、やるせなさが湧き出てきますし、読んでいてずーっと気分が悪いのですが、決して目を背けられない、という感じです。
世の中に蔓延る胸糞悪くなる個人や社会構造を炙り出し、著者の怒りと鉄槌が表れた渾身作であり、社会派小説の傑作と受け止めました。
翔太と沙希(=有紀)を救い、繋いだ「本」の存在と扱いが印象的でした。確かに本を読むことで、何かが変わったり救われたりします。(目的不要で)「ただ楽しいから読む」というくだりに、読書は万人のためのものだと、共感しかありませんでした。-
本とコさんこんちは!
これ良かったですよね!
『脂肪の塊』も良かったですよん!既読でしたら失礼本とコさんこんちは!
これ良かったですよね!
『脂肪の塊』も良かったですよん!既読でしたら失礼2024/02/24 -
ひまわりめろんさん、コメントありがとうございます♪
あー『脂肪の塊』ですよね。読みながら気になりました。
未読です。機会を見つけて読んでみた...ひまわりめろんさん、コメントありがとうございます♪
あー『脂肪の塊』ですよね。読みながら気になりました。
未読です。機会を見つけて読んでみたい!
若かりし頃『女の一生』を読んだ気がしますが、全く
記憶がありません‥(笑)
最近、外文はモーバッサリで(モーパッサンだけに)(汗)2024/02/24 -
『脂肪の塊』は短編なので、それだけ読むってのもありかもですね
モーなんちゃらのくだりに関しては特にコメントありませんw『脂肪の塊』は短編なので、それだけ読むってのもありかもですね
モーなんちゃらのくだりに関しては特にコメントありませんw2024/02/25
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前に読んだ月村了衛さんの作品とは、まったく違う作風なので驚きました。が…今回も読ませてくれましたし、大満足です!フィクションなのに、今の社会の問題点を網羅しているかのようで、読み応えバッチリでした。
ストーリーは、児童養護施設出身で定時制高校を中退している山科翔太と、父が官僚であり有名私大生でもある辻井海斗が、「カタラ」という会員制バーの従業員として出会うことからはじまる。「カタラ」の実権は半グレの城有が握り、騙されやすい女性たちからお金を搾取させ、支払いに困ると風俗を紹介するというバーだった。2人でトップまで昇り詰めるが、警察からの摘発を受けるが…。と、いうのが第一部の翔太の罪。
第二部は、その後の翔太と、「カタラ」で得た“学び”を活かして広告代理店最大手のアドルーラーに就職した海斗のことを描く、海斗の罰…。
翔太と海斗は対照的な人生を送ります。詐欺まがいの悪質商法、半グレとヤクザ、時間外労働とパワハラ・セクハラ、裏金問題…2人の人生に大きくかかわる様々な問題が描かれています。もう息つく間もないほど読ませます。翔太は心配ないけれど、海斗の今後はすご~く心配ですね…。-
1Q8401さん、今日もお疲れ様です。
はい、イケメン好き♡なので
そこ、大事で外したくないところです\(^o^)/
翔太くんもイケメ...1Q8401さん、今日もお疲れ様です。
はい、イケメン好き♡なので
そこ、大事で外したくないところです\(^o^)/
翔太くんもイケメンだけど改心できたのに…
ふたりは、どこまでもすれ違ったままなのかなぁ〜
私は読んだことないけれど「脂肪の塊」を
海斗くんにすすめたいですネ!2024/06/04 -
「脂肪の塊」は私も読んだことないですし、知らなかったです…(^.^;
これは、いつか読んでみないといけないのかな…
いつか…w「脂肪の塊」は私も読んだことないですし、知らなかったです…(^.^;
これは、いつか読んでみないといけないのかな…
いつか…w2024/06/04 -
1Q8401さん、お疲れ様です!!
「脂肪の塊」いつか、読んでみたいですね(^O^)/
まぁ…そのうちに、いつか…です、ね!1Q8401さん、お疲れ様です!!
「脂肪の塊」いつか、読んでみたいですね(^O^)/
まぁ…そのうちに、いつか…です、ね!2024/06/05
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いや『半暮刻』ってなんやねん!ってとこですよ
まずそっからですよ
まずそっから始めないとですよ
「はんぐれどき」と読ませたいらしい
はは〜ん半グレと掛かってるな(名探偵現る)
半分暮れかかった時間、夕暮れ時みたいな時間帯を指してるんでしょうね
夜の闇に包まれる前の灰色の時間
黒でもない白でもない灰色の存在である半グレと掛かってるんでしょうね(発見したのがどんどん嬉しくなってより詳しく説明したっぽい)
いや〜それにしても読ませる
ぐいぐい読ませる
なんで?
ストーリーとしては実際の社会問題をツギハギしただけの全く新鮮味がなく、次々と山場が訪れることもなく平坦で、先が見えるからハラハラもしない
なのに掴まれる
がっつり掴まれて離してくれない
なんで?
今まで自分が読んできた大好きな月村了衛さんの作風とは違うのに掴まれる
そこまでたくさん読んでるわけでないので実は他にも似たような作風の作品はあるのかもしれんけど
これはなんか月村了衛さんのターニングポイントとなる作品だったねと言われるようになる気がします
後になってあの作品でさらに一段階上の作家さんになったよねって作品な気がする
10年後の月村了衛さんが楽しみや!
そうそうラストも良かった!-
2023/11/23
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造語だったのか! 黄昏時とか逢魔が時みたいに ホントにある言葉かと思って調べようとしちゃった!造語だったのか! 黄昏時とか逢魔が時みたいに ホントにある言葉かと思って調べようとしちゃった!2023/11/23
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2023/11/23
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人間の卑しい部分とかダークな部分が凝縮されているような小説でしたが、特に第2部は、まるで綱渡りをしているようなハラハラ感があって、たまりませんでした。
主人公は翔太と海斗の2人の青年で、翔太は孤児院育ち、海斗は裕福な家庭で育った境遇を持つ。そんな2人が風俗斡旋をするクラブ「カタラ」で手を組み、次々と女性を毒牙にかけ、クラブでもトップクラスになる成績を収める。そして、2人はどんどんと深い闇へと潜り込んでいくというお話。
こういうダブル主人公で重要な対比がとても素晴らしかったです。詳細を書くとネタバレになってしまうので、どっちがどのようになったかは書きませんが、「悪」にも色々種類があるんだなぁと。暴力や弱者からの搾取といった目に見えた悪意に対し、無自覚な悪というものの恐ろしさが描かれており、真綿で締められるようなジワジワとした恐怖や胸糞悪さがあり、それが本作の魅力なのかなと。
内容はとてもセンシティブですし、胸糞悪い描写もあって心が痛む方もいらっしゃると思いますが、色んな方に読んでほしい作品です。 -
白黒はっきりしてよ!
っていうけれど…グレーが1番人間らしくて、ずるくて屑なのだ。
翔太と海斗。
カタラグループで出会い、同じ目的で 同じ時間を過ごしたけれど、2人の未来は全く違う道を行く。
変わっていく翔太と、変わらない海斗。
実際にありそうなフィクションで…分厚いけれど、のめり込んでしまいました。
最後の交われない会話も良かったな。