少女マクベス

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 511
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575247480

感想・レビュー・書評

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  • 演劇学校で起きた不運な事故いやこれは事故ではなく殺人なのか謎が謎よび息もつかせぬスリル満点の作品。なんと新入生が死の真相を調べるために入学してきたとは摩訶不思議、だんたんと分かってくる真実、読み終わった後の驚愕の思い。あなたもじっくり読んで興奮してください。

  • 終盤はもう圧巻。
    クライマックスの舞台シーンは鳥肌が立った。
    私あの場にいたよ、私も百花の生徒だったよ…!
    恐ろしくて切なくて愛おしい。
    少女たちの交錯とマクベスの絡め方が最高。
    みんな大好きだけど、私は秘密を暴かれたかったあの子がとりわけ好きでならないよ…大好き…。
    読み終わった後も、あの子はこの時、この子はあの時、どんな気持ちだったんだろうと考えてしまう、胸に棲みつく作品。
    本を閉じても、私の心の中で幕は降りない。

  • 学園ミステリーになるが、設定が女子の演劇学校である為目新しく、面白い。
    登場人物の絞り方が上手く、それぞれの重要人物のバックボーンが明確に描かれる為、それぞれの人物に感情移入がしやすい。
    了という人物について、学園内での「神格化」した人物像が中心になっており、彼女が亡くなった事により序盤は彼女がどういう人物か読み取る事が難しかったが、終盤にかけて彼女の真実や人物像が解き明かされていき、「神」の本質が実際はどうだったかという事がわかる。

    主人公は貴水とさやかになるのだろうがそれぞれの役割が明確に分担されている。しかし、中盤から貴水の存在がぼやけてしまった感があり、少し残念に思った。(終盤で圧倒的な存在感で畳み掛けてきたらよかったのだが)反対にさやかは終盤に行くにつれ成長が見られる様になり、とても魅力的な人物になってくる。
     その他、「マクベス」に出演する「三人の魔女」を演じた綾乃、綺羅、氷菜についてもそれぞれがライバルでありながら、何かしらの孤独を抱え、それぞれがそれらを乗り越えていく姿はかっこよく、最後、彼女達がそれぞれを信頼し、畳み掛ける演技は迫力満点だった。
     ミステリーで一番残念に思う部分は登場人物に厚みのない作品だと思っており、シリーズ作品であれば必然バックボーンがわかるが、単体の作品だと如何に登場人物に厚みを持たせるかが肝になると考えている。
     今作では主要人物達を丁寧に構成しているのでそれぞれわかりやすく、先生等の役割を極端に控える事で学生達にスポットライトがあたる。演者と脇役を見事にすみわけており、その為人物の個性がわかりやすく読み取る事ができ、彼女達の過去の作品を体感した様な感覚だ。

    作中の重要人物である了の人間性が序盤はよく分からず、終盤にやっと掴める様になるが、「重要人物のスイッチ」は物足りない。もっとそれぞれに影があった方が好みだったが、高校生と考えるとそれだけ悩む、落ち込む彼女達には納得出来た。

     だいぶ面白かった。タイトルが作品とピッタリイメージが重なる作品は久しぶりだった。

  • 感想
    自分は憧れられるような存在ではない。まして崇拝なんてされたくない。でも周りが許さない。だからみんなが見ているところで。自分らしく。

  • 演劇学校の少女たちが、その演劇に向ける情熱の裏で隠していた〈恐れ〉〈野望〉〈愛〉の秘密、才能を取り巻く「神」への崇拝。
    希望と絶望、嫉妬と羨望…演劇に情熱を捧げる少女たちの闇がありましたが、それでもこれは友情の物語だったのではないでしょうか。
    『マクベス』の魔女の言葉の様に、裏と表は一体だと、人には表の顔と裏の顔があって、それでも「それが私」なのだと肯定してくれる思いを感じました。
    周りから天才、神といわれていた設楽了。
    死んだことでますます神格化されるなか、彼女は神ではなく一人の人間だったのだと証明することで、進もうとした道にこそ青春の輝きと未来を見ました。

  • 「百花演劇学校」演劇に携わる人材育成のための女子エリート教育機関。
    と聞いただけですでにぞわぞわする。神と天才がせめぎ合う、才能と才能がぶつかり合う。
    舞台、という芸術に魅せられた若きエゴがひしめき合う園で、事件が起こらないはずがない!!

    生徒からも教師からも神としてその才能を認められた一人の女生徒の、舞台上での転落死。
    事故か、殺人か、あるいは自殺か。真実を求めて入学してきた少女の存在さえ不可解な謎に包まれている。
    誰もが怪しい。マクベスを柱に一つ一つ疑惑を消していく過程もスリリング。
    そしてたどり着いた「真実」。
    あぁ、いくつも手掛かりはあったのに、いくつも伏線が貼られていたのに。
    誰もが心に抱える奈落。堕ちるか、堪えるか。
    全てが明らかになったときのカタルシスよ!

  • 本屋で初めて新刊を買った。
    開いてみると登場人物も少なく、初心者でも一気に読むことができた。

    誰にでも秘密やトラウマはある、もしかしたらこれを読んで思い出したくない記憶が戻ってくるかもしれない。
    彼女たちも同じ経験をしている、物語のなかではあるが。

    “不器用で傷つきやすく、けれど勇敢な少女たちの物語。”

    また読みたい一冊、
    ブックオフに行く足が少し重いと感じた。

  • 読んでるときに「この子のこういう一面がマクベスに重ねられてるわけね、この子にとっての魔女はこの人な訳か」と思ってたら、あれこの子も、この子も、と続いて皆なにかしらマクベスだし、そういう意味では「マクベス」は皆が持つ不安定さを描いた作品なのかもな、と、思いました。
    それとは別で、閉鎖された空間の中ではそこの空間で能力が高いだけで神のような扱いをされて神のような振る舞いをしてしまうことについて、「それはおかしい」とはっきり書かれていて、会社とかでそこの仕事が詳しいだけで人として偉いように振る舞う「偉いさん」を否定しているようなところが共感できた。

  • 悲しい事故の真相を
    知っているのは誰だ!
    なぜ、騙し続けなければ
    ならなかったかのか?
    他人の勝手な思い込みと
    秘めたる自分の苦しみが
    交わることはないのか?
    緻密に設定された伏線を
    見逃してはならない!

  • 知らない作家さんだったので読んでみた
    何の話か知らずに読み始めて
    あ、好きじゃない設定やった
    って思ったのに
    とてもおもしろかった

    見事に引っかかったとこもあった
    思い込みってスゲーなー
    ちょっと主役の子の性格が
    ガッチガチに固まってない感じはして
    あれ、コイツってこんなだっけ?
    ってなりはするけど
    それもむしろワザとなのかな

    女子しか出ないけど
    ドライな人間関係で
    そのうちに隠れてる
    あんなことやこんなことが
    実はとってもウエッティやったんやな!
    って腑に落ちた

    最後までしっかりおもしろかったので
    星は4つ

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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