夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 3443
レビュー : 589
  • Amazon.co.jp ・マンガ (103ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575297447

感想・レビュー・書評

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  • 8月に入り猛暑が続きます。今も外は雷と大雨。

    70年前の昭和20年8月6日、その日も暑い日であったと聞きます。戦局は既に大勢が決まり、何のための原爆による無差別な破壊であったのか。戦後の体制を見据え、終結をただ急ぐための惨禍。多くの人が今も苦しむ歴史の事実を忘れてはいけない。

    随分前に読んだ、こうの史代さんの作品。戦争当時から2世代の家族のそれぞれの人生。戦後広島の夕凪の街に生きた皆実と、今の東京、桜の風景に暮らす七波。広島出身のこうの史代さんが、独特のペン画の細いタッチで描いています。「この世界のかたすみで」と同じく、視点は過酷な人生にも、生きることに正直な人々の姿。

    「荒神」も今月末には出版されるようです。こうのさんのカットが入ってることに期待!

  • 広島における、被曝者とその周辺から始まる物語。
    やさしいタッチで、穏やかな日々が描き出されていると、思います。

    それだけに、どうしようもない成り行きが、
    どうしようもなく、せつなく伝わってきます。

    物語の軸は二つの時代、被爆者とその次の世代。

    被曝されて、早逝した人も、長生きした人もいる。
    その生き方や在り様を、一つの枠組みだけで語ることはできない、

    そんな風にいったら、戦争を知らない世代の傲慢でしょうか。

    子どもに読ませるのであれば、こんな優しいけど哀しい、
    まっすぐに伝わってくる物語がよいと、そう感じます。

  • 「わかっているのは『死ねばいい』と誰かに思われたということ。思われたのに生き延びているということ。
    そしていちばん怖いのは、あれ以来本当にそう思われても仕方のない人間に自分がなってしまったことに、自分で時々気づいてしまうことだ」

    広島の悲劇を描いた短編。
    原子爆弾が投下された広島の街の惨状ではなく、終戦から10年後、50年後の日常生活が淡々と、あくまでも優しい絵柄で描かれる。
    一発の爆弾がどれだけの人の人生を狂わせたのかを考えさせられる。

  • 人は忘れる。忘れてはいけないコトを平気で忘れる。それは仕方無いコトなんだ。だから時折、声高に叫んでみるのも良いかも。。。

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    「昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。」

  • 『この世界の片隅に』を読んだ後に読みました。描かれたのは、『この世界の片隅に』よりも前のようですが、『この世界の片隅に』のエピローグ的な時間軸の話です。
    広島や原爆の話は、日本人であれば誰しも学校で教わりますが、本当に「知っている」かと言えば、疑問があります。
    「あとがき」に書かれているように、広島以外に住んでいる人や、広島にいても身近でない人にとっては、それは「よその家の事情」だったと思います。私自身も、今までの人生で関わることはなかったので、実際に他人事でした。
    しかし、世界の中で見た時、日本人として、唯一の被爆国の住人として、それは知っておくべき物語だと思いました。
    特に、原爆が落とされて何年も経ってから始まる物語もあります。
    本作品としては、『この世界の片隅に』よりも前に描かれていることや、ボリュームも少ないことから、日常の風景やストーリーの描き方としては、若干、『この世界の片隅に』の方がよい気がしました。
    それでも、「夕凪の街」と「桜の国」の関係や、人間一人のどうしようもなさなど、「社会」の中で生きる人間が「世界」と直面した時の体験が伝わってきます。
    日本人であれば、『この世界の片隅に』と合わせて読むべき本だと思いました。

  • ヒロシマ・ナガサキ。。。忘れてはならない記憶。それでも一生懸命(時には軽やかに)生きる人々。もっと何回も読み返したいと思った。

  • 『この世界の片隅に』の作者の作品なので読んでみました。原爆投下後の広島に生きた平野家の人たちを中心とした物語(ヒストリー)。『夕凪の街』は原爆から10年後の昭和30年の広島が舞台。職場の同僚との語らいや淡い恋…しあわせを感じる瞬間にも原爆での記憶が蘇り、過去に引き戻されて苦しむ皆実。原爆による痛みは彼女の心のみならず、やがて身体にも及んで…。
    『桜の国(一)』は昭和62年の東京が舞台で皆実の弟旭の娘、七波が主人公。野球が大好きなおてんば娘で健康そのものだが、弟凪生は喘息持ちで入院しており、祖母(皆実の母)も体調がすぐれずその病院で検査を受けていた。
    『桜の国(二)』は平成16年。大人になった七波が父旭の後をつけて広島を訪れる。
    七波の手から舞い上がる紙吹雪が桜の花びらに重なって、父旭と母京花の若き日へとオーバーラップしていくシーンが美しい。桜の花びら一枚一枚が、散っていった人々の命を連想させるような気がする。
    運命の大きな渦に抗えない人間の儚さ、悲しみを感じつつも、そんな中でも受け継がれていく人々の思いや命の輝きをも感じられる、余韻の残る物語でした。

  • 夕凪の街 桜の国
    こうの史代

    ページ数はとても少ないのに、とても心揺さぶられる作品です。戦後のお話。舞台は広島。
    どこにでもありそうな戦後の風景と日常。
    主人公、平野皆実は密かに想いを寄せる職場の同僚がいた。相手も皆実に気を寄せていたが、10年前の体験から自分は生きていい人間なのか。自分だけが幸せになって良いのかと苦悩する。
    そんなある日、皆実に訪れた現実とは…

    桜の国
    二部構成。
    こちらは戦後数十年経ってからのお話。
    今もどこかの家庭で、そして出会いで、起きているだろう事を描いた心打つ作品。

    漫画とはいえ決して薄っぺらいものではない。むしろ余白を残しているからこそ、読む人の想像をかき立てる作品ではないかと思います。

    「この世界の片隅に」で有名となったかもですが、こちらの作品も私たちに戦争・原爆というものを考えさせる作品の1つだと思います。

  • 「『広島』のことではなく『ヒロシマ』のことだった」
    と著者ご本人が解説で書いた通り、原爆投下を体験した民衆の視点を描いています。
    原爆から数年数十年と経った時、あの出来事とどう距離を保ちつつ向き合っていけば良いか。一人一人の命がその地で確かに在ったのだという当たり前のことに気付かされる重みのある作品です。

    「夕凪の街」
    被曝して10年。生きている喜びをやっと感じられたのも束の間、襲い来る現実は受け入れがたい。ただただ悲しい。

    「桜の国」
    原爆は決して過去のものではなく、今なお身近に感じ背負い続ける人はいる。過去から学ぶことの大切さ。風化させてはいけないと思った。

  • 広島、長崎に落とされた原爆は一瞬にして十数万人の命を奪った。この物語は「原爆症」という放射線障害によって、何十年経っても、恋を奪われたり、差別されたりと原爆が過ぎ去ったものではないことをおしえてくれる。
    一章の「夕凪の街」では原爆の悲惨さを描いているが、その後を物語る「桜の国」は絶望に負けずに生きてきた人々の心情を桜の花びらに託している。

    後世に残したい漫画の一作だ。

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著者プロフィール

1968年広島市生まれ。1995年マンガ家デビュー。2004年『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『この世界の片隅に』(双葉社)は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、「THE BEST MANGA2010 このマンガを読め!」第1位などを獲得。ほかの作品に『ぼおるぺん古事記』(平凡社)、『日の鳥』(日本文芸社)など。

「2019年 『この世界の片隅に 徳間アニメ絵本38』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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