悪の会計学 キレイごと一切なしの裏会計入門

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575300529

感想・レビュー・書評

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  • ※2011年時点での法制度に基づく

    ポイント
    ・言い訳のできない作り事はしない
    ・会社(特に中小、零細企業)にとって重要なのは、利益を増やすことではなく、自由に使えるお金を増やすこと
    ・賢い経営者は決算書を3種類作る(利益を大きく見せる銀行用、利益を小さく見せる国税用、本当の利益が書かれた自分用)
    ・「利益=売上+在庫ー経費」
    売上を減らし、在庫を減らし、経費を増やすことで、課税される利益を減らせる。

    具体的手法
    ①売上を減らす
    ・計上のタイミングを来期に延ばす

    ②在庫を減らす
    ・単価を最安値で計算する。

    ③経費を増やす
    ・原価償却費を多めに計上
    ・「短期前払い費用」→来期の費用を先払いする
    ・役員報酬、ボーナスを支払う
    ・福利厚生を充実させる(慶弔費、社員旅行費、スポーツジムなどの施設利用費、家賃補助、残業中の夜食代)
    ・「公私混同」→会社の金で買い、事業で使えば経費になる(資料購入、視察旅行など)

    ④裏金を作る
    ・旅行費用を申請よりも安く済ませる

  • 中小企業向け。しかし、悪いことも完全に黒でなければオッケーという上場企業の管理職などは、やってるかもね。悪い奴の思考回路とテクを知っておくのは悪くない。

  • 時間があれば

  • 読み物として面白かった。
    元国税調査官の書いた
    中小企業の決算なんてどうにでもなるんだという話。

  • この本に書かれているのは机上の理論ではない、生々しいまでの実例を集めた会計に関する本です。僕もこういうことは現在勉強中ですが、まだまだだなと痛感しました。

    僕は現在、こういうことを勉強し始めたばっかりで、参考になればいいかなと思い、この本を手にしてみたのですが、けっこう衝撃的でしたね。ここに書かれてあることは正直、キレイ事ではすまない部分を多分に含んでいて、特に、税務署が監査に入るポイントというものをかなり詳しく書いているというところにも、驚きました。

    基本的に彼らは会計上の不正を見抜き、がっぽりと追徴課税を取ってくることに作者いわく
    「喜びを見出している」
    かたがたなので、それをどうやって『経費』だとたとえば納得いただけるのか?粉飾決算はそもそも『悪』なのだろうか?などなどそういう事実を自分の胸元に突きつけてきて、そうとう、自分もこういう現実に対峙しなければならない以上、これから何度も読み返さなければならないでしょうね。僕もいわゆる『中小・零細』といわれる会社で働いたことはありますけれど、当時の社長が税金に関して、ここではあんまりかけませんけれど、口にしていたことがなんとなく理解できたような気がします。

    自分にとって不足している知識は『法務・税務』に関することで、ここに詳しくならないと、いつまでもだまされたり、搾取される側の立場になってしまいますので、それを脱却するための第一歩として、この本は、読んでよかったと思います。でもあんまり露骨にやりすぎると、キツーイお仕置きが待っているので、この本に書かれていることを実行するのは自己責任でお願いします。

  • 上場企業で働いていると普段から「株主への配慮(利益還元)」と言われているのでピンとこないのですが、上場していない企業にとっての決算書はこの本の著者である大村氏が述べているように、数種類の決算書があるようです。

    税金を払う時のベースになる税務署用のもの、資金を借り入れるために見せる銀行用、本来の業績を把握する経営者用の3つです。賢い経営者はそれらを上手に経営に活用しているようです。

    以下は気になったポイントです。

    ・決算書をどういう目的で作るのかを明確にしておくことがポイント、税金を安くしたいのか、業績を良く見せたいのか、正確な儲けを知りたいのか(p17)

    ・固定資産の償却限度額は、毎年その額を経費化しなくてはいけないのではない、償却限度額以内であれば、いくら経費化してもよい(p37)

    ・経費に計上できるのは、その年に売ったものだけ、数式では、「売上-仕入(経費)+在庫=利益」である(p42)

    ・リース業の場合は、電化製品を購入しても、それは「仕入れ」ではなく「備品」扱いになる、また一つ一つが安いので資産計上(一年以上にわたって使用可能)する必要もない(p44)

    ・返済した借金を返済という形をとらないようにするには、報酬という形をとる、勤務関係の形式(所得税の源泉徴収、社会保険等)は必要になる、これができるのは個人から借りた時で親族などは対象外(p53、54)

    ・売り上げ計上基準には数種類あり、出荷基準、到着基準、検収基準がある、順に売り上げ計上が遅くなる(p66)

    ・棚卸の評価方法には、原価法や低価法がある、選択した評価方法は事業年度が始まるまでに税務署に書類を提出すれば、原則として3年たてば変更可能(p76)

    ・売り上げを増やすために、知り合いの会社と共謀して、お互いに架空の仕事を発注し合う(p85)

    ・税務署はまず儲かっている会社に目を付ける(p102)

    ・生命保険の節税商品は解約返戻金をもらった場合には、会社の収入として計上する必要がある(p134)

    ・役員報酬はいったん決めると上げられない、低めに設定すると思
    ったより儲かった時は税金がかかる、売上が上がらな買っときは未払い金にするか、役員報酬を下げる(p140)

    ・社長の役員報酬を高めに設定しておいて、一部を小規模共済にまわせば(年間84万円)、会社の税金も社長個人の税金も減らすことができる(p146)

    ・平成10年の税制改正で、退職給与引当金の制度がなくなり、退職金を積み立てることができなくなった、そのため退職金を廃止する会社が増えた(p157)

    ・個人的に使うテレビやビデオも、業務で使っていれば会社の経費で落とせる、そのためには実績を残しておくことがポイント(p175)

    ・視察という名目があって、それなりの証拠が残っていれば、旅費も経費で落とせる、でも社長一人は認められないだろう(p180)

    ・夜食代として会社が従業員に支給するのではなく、会社が自前で食事を用意したり出前を取るのはOK(p183)

    ・昼食代の場合は、従業員が半分以上払う、月3500円以内であれば認められる、但し現金支給は認められない(p185)

    ・福利厚生費は社長一人でやっていても、家族だけでも認められる、注意するポイントは一部の社員のみが対象になっているときは不可(p190)

    2011/7/10作成

  • 元国税調査官
    国税調査官は 重加算税をとるために日々血眼になっている

    ヒット商品など 急に儲かったときは
    目を付けられやすい

    利益率 大きな変化に注目している


    脱税はよくないが
    社長の自由に使えるお金を貯めておくことが
    会社経営において重要である

    そのために 税の仕組みを理解しましょうという感じ
    合法的な節税

    もっとグレーな部分があると思うが
    そこは。。。。 グレーをあまりに堂々とやると
    法律でブラックになるので 声を大にしては言えないよねっと

  • いや、もう、最高としかいえませんでした!

    最初に来たのが『会計学で最も大事な言葉を3つ紹介するなら「脱税」「裏金」「粉飾決算」』

    今の会計法規の穴を余すところ無く書き記した最高の書物だと思います。 


    従業員・自分・国(国民じゃないよ!)・取引先等の人々の中で、優先順位をつけるとしたら?

    じゃあ、その結果どうする?

    といったことを思わず考えてしまいました。

     

    今、会計学を勉強している人も、こういうものを読めばいいのに。と思います。

    『ああ、なるほど!!』といってしまうのではないでしょうか?

    (親の仕事←信用金庫職員

    の都合上、ある程度の現実を自分は知っていたんで・・・) 

    あと、外部から見た場合の(数字だけを見た)財務諸表分析というものは、

    中小企業では「全く」役に立たない。

    大・上場企業は「あまり」役に立たないってことがよくわかりました。

    (大企業だって『手続きが厄介』なだけで『できない』わけでは無い)

    だからこそ『決算書の暗号を解け!』 って本で、真実を見抜けって言ってるわけですし。

    財務諸表も、深く読み込まないと痛い目にあうってことでしょうね。

    新銀行東京の失敗がちょうどこれにあたるケースだとは思うんですけどね。

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著者プロフィール

1960年生まれ、大阪府出身。
元国税調査官。主に法人税担当調査官として10年間国税庁に勤務。
現在は経営コンサルタントの傍ら、ビジネス・税金関係の執筆を行なっている。フジテレビドラマ「マルサ!!」監修。著書に『脱税のススメ』シリーズ(彩図社)、『完全図解版 税務署対策最強マニュアル』(ビジネス社)、『サラリーマンのための起業の教科書』(小学館)などがある。

「2023年 『正しい脱税』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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