- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575309201
感想・レビュー・書評
-
求めていた情報、世界観がそこにあった。
この時代を殆ど知らない自分が、気になり触れてみたい戦後~90年代初頭の背景、空気感がとても克明に記されていた様に思う。
勿論、この中の漫画の世界がその時代の全てでは決してないが、自分が育ってきた時代との明確な違い、自分が慣れ親しんできた家庭の周りにあったもの、見てきた街並みや、価値観の違い。
洋服、髪型ひとつにしてもそう。
かってこのような時代があって、自分がたまに垣間見、見聞きしてきた親世代、祖父世代の時代背景に少し触れられた気がした。
それは、少し懐かしく感じる部分もあり、これらの時代の影を少し残した故郷も感じられる部分もあった。
兎も角、私が求めたものをピンポイントで寄せ集め編集してくれたこの一冊に感謝である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後日本をテーマにしたオムニバス。下手な写真よりも記憶は漫画に残るね。作家陣がすごい(新作とかではない)
-
全13編、どれもたいへんにおもしろく読めたのだが、個人的に印象に残ったのは、「風のように」(ちばてつや)と、「あなたを忘れない」(村上もとか)。
特に、村上もとかの作品は、そのあっと驚くようなプロットに、「老い」を積極的にとらえようとする作者の優しさを感じた。 -
戦後70年節目の企画モノではあるがありきたりでない切り口は半世紀に渡りマンガにこだわりマンガの可能性に挑戦し大衆と娯楽を追い続けて来た双葉社スピリットそのもの、珠玉の執筆陣のなかでもひと際精彩を放つのは今回は編集者なのだろう。
終戦、復興、高度成長と明るさを取り戻す時代と裏腹に暗さを増す心の闇…その逆行は冒頭に描かれる手塚先生の戦時の青春残酷物語の若者の心よりも荒んで見える。
そしてラスト2作では死生観を取り上げることで「この国戦後とは何だったのか?」を考えさせる編集は見事と言うしかない。
知れマンガの底力 -
面白かった。
時系列だったから、歴史、背景を感じながら読める。 -
第二次世界大戦末期(手塚治虫の『紙の砦』)から90年代までの日本の「時代の空気」を捉えたマンガのアンソロジー。解説は内田樹せんせい。
これを選書してるとは、うちの図書館もなかなかやるな。
今と違って、マンガがときには抑圧され、軽んじられたジャンルであるということで「特権的」だった時代だったからこそ描かれ得たものたち、という評になるほどと思う。
ちばてつやの『風のように』は事故で養蜂家の両親を亡くした少年と村の少女の話で、子どもの頃読んだことがあった。懐かしかった。 -
戦後のほんの一部を集めて缶詰にしたよう。リアルで新鮮、各時代の空気感を感じられる。
-
C