昭和を紡いだ東洋一のナイトクラブ 実録 赤坂「ニューラテンクォーター」物語

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575315868

作品紹介・あらすじ

“伝説のクラブ”といわれる「ニューラテンクォーター」が誕生したのは1959年。海外のトップアーティストたちの華麗なるステージと一流のサービスが話題を呼び、芸能界、スポーツ界、財界、政界、そしてヤクザのトップも集まる東洋一の社交場となる。そこで起きた「30年間に及ぶ日本の夜の昭和史」を、同クラブの山本晋太郎社長の目を通して語っていく実録小説。力道山刺殺事件の真相から、ホテルニュージャパン火災の真実など、今だからこそ語れるエピソードが満載。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後日本が繁栄に向かって疾走しはじめた昭和34年の暮れ、東京赤坂にナイトクラブが誕生した。

    店内は真紅の絨毯が敷かれ、階段降りたそこには300人収容のテーブル、ドレスを纏った才色兼備の100人のホステス、ステージにはオーケストラボックスが設えられ、まさにその威容は絢爛そのもの。

    毎夜海外や日本のトップアーティストがステージに立った。ルイアームストロング・ナットキングコール・ダイアナロス・パティペイジ・サミーディヴィスJr・森進一・五木ひろし・西城秀樹・ピンクレディー…。

    またそこに集うのは銀幕のスター・スポーツ界のスーパースター・政財界の大物やフィクサー・麻薬をシノギにしていなかった頃の任侠ヤクザの大幹部ら。

    確かにおいそれと気軽に行ける店ではなかった。
    Liveを観賞、ホステス相手にお酒を愉しめば、当時の大卒初任給と同等の金額が飛んでいったとか…。その時代の実力者だから通えた『大人の社交場』であった一方、力道山刺殺事件や閉店のきっかけにもなるホテルニュージャパン火災と同ホテル社長 横井英樹との暗闘…など昭和を象徴する事件の現場でもあり、まさしく高度成長期の日本の夜の象徴するスポットであった。

    本書は同クラブ社長 山本晋太郎氏を語り部に据え、開店から30年間に及ぶ盛衰記を余すことなく語る。時代の顔ともいうべき錚々たる面々-『メンツと筋を通すこと命』の方々-との接遇は神経を擦り減らしことであろうことは容易に想像できる。

    文中でこんな坦懐を述べている。
    『水商売はヤクザと警察に潰される』との言葉がある。ナイトクラブ経営の最大のネックは『ヤクザと警察の対応』にある。隙を見せればヤクザに潰され、悪に染まれば警察に潰される商売。ゆえにその2つのトラブルへの対応は『何が起きても自分が一手に引き受け、責任をもって事に当たり解決に導こう』と決心した。

    それを胸に刻み単身解決に臨む山本氏が活写されている。その姿は清々しさをたたえ快男児そのものである。

    本書は昭和という時代を饒舌に物語るナイトクラブの盛衰記でもあり、博多のキャバレー王の子息として育った青年が上京、弱冠24歳で経営を任され、幾多の修羅場を乗り越え、成長を遂げていく『青春の門』の匂いも立ち昇る。

    大物芸能人の素顔とゴシップ、ヤクザとのいざこざ、政界と政商とのズボズボの関係…、実名でどんどんと登場するそこまで言って委員会状態。

    まぁ、これは昭和という時代が混沌さと大らかさを包含し、それをリアルに仔細に語れるのは山本氏自身がきっちり筋を通してきたことの証しでもある。私家版『私の履歴書』としても読める一冊。

  • 以前もニューラテンクォーターの本を読みました。昭和、いいですね。

  • 関係者が書いたとされるものよりも、時系列もまとまっていて読みやすい。
    もう昭和30年代あたりとか歴史というか霞がかって伝説の域に感じられる。

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著者プロフィール

1953年山形県生まれ。法政大学卒業後、フリーライターとして活躍。『ヤクザに学ぶ』シリーズなど著書多数。近著に『伝説のヤクザ18人』(イースト・プレス)、『爆弾と呼ばれた極道 ボンノ外伝 破天荒一代・天野洋志穂』『サムライ 六代目山口組直参 落合勇治の半生』(徳間書店)、『実録 赤坂「ニューラテンクオーター」物語』(双葉社)、『高倉健からアホーと呼ばれた男 付き人西村泰治(ヤッさん)が明かす――健さんとの40年』『最強武闘派と呼ばれた極道 元五代目山口組若頭補佐 中野会会長 中野太郎』『力道山を刺した男 村田勝志』(かや書房)がある。

「2023年 『東映任俠映画とその時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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