夜明けの図書館(3) (ジュールコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 533
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575335606

感想・レビュー・書評

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  • 心が温まります

    夜明けの図書館シリーズの3作目 
    2014.08発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    はじめてのレファレンス、ヨウコの迷言、石森さんの腹の内、第二の人生を歩くの4話。

    暁月市立図書館での勤めも2年目になり図書館業務にも慣れてきた司書・葵ひなこ26才の活躍を書いた物語です。

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    【はじめてのレファレンス】
    此度の物語は、2年目の司書・葵ひなこの12才の時の物語です。葵は、隣に引っ越してきた喘息で学校にいけない、同い年の阿川奏太の頼みで、図書館で「すずなり星」を探したことから、人のために本を探す喜びに目覚めます。
    『感想』図書館の人の手を借り「昴」が、広島での呼び名が「すずなり星」であることを見つける。星は、世界中どこでも見られるから、その地その地で呼び名が有るのには、驚きました。

    【ヨウコの迷言】
    物語は、無職の佐々木賢21才は、祖父が亡くなり遺言でオウムを遺贈されました。なぜ、オウムを相続することになったのかを知りたくて、図書館で相続の仕組みを調べ。そして、オウムの飼育方法を調べと調べて行くうちに。祖父が、なぜ賢に、オウムを遺贈したのかに気が付きます。
    『感想』賢が、小さい頃、自分の名前も上手に喋れず困っていた時に祖父が、木の札でしりとりを作って賢に言葉を教えてくれたことを思いだし。その中から、明日への希望を見つけていきます。祖父と孫の心温まる物語です。

    【石森さんの腹の内】
    勤続13年の中堅司書の石森千洋36才は、図書館の利用者が伸びず。このままでは図書館は、市の職員と嘱託・臨時職員の現行体制でなく。民間委託に変更されるかもと焦る。そんな時、幼馴染の岩城まりえに、子宮頸がんの再発で相談される。石森は、必要な医療情報に笑顔が出る忍者の本を混ぜて貸し出しをする。
    『感想』図書館は、如何に利用者が利用しやすいかを考えながら、利用者の目線で前進させていく姿が良いです。

    【第二の人生を歩く】
    定年退職し行き場のなくなった元メーカー技術職・神崎達夫64才は、自治会長を引き受けて北山ニュータウン40年記念誌を作成することになる。その時に35年間憩いの場としていた石垣に関心を持って図書館で調べるが。図書館では、調べることが出来ずに、市の事情に詳しい郷土史家に訪ねてそれが鉄道の橋台であることを突き止めます。
    『感想』レフェラル・サービスとは、図書館の資料だけでは回答が不十分な場合、利用者に専門機関や組織を紹介するサービス。此度は、館長が、人と人のネットワークを通して郷土史家を紹介しました。こんな事も出来るのですね。

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    【読後】
    4つの話それぞれに、読後感が良く、ほっこりします。特に「石森さんの腹の内」が、良かったです。そして図書館業務の中でレファレンス業務が如何に来館者を勇気づけるかを、マンガで分かりやすく書いたものです。
    次作を読むのが楽しみです。
    埜納タオさんの本を読むのは3冊目です。

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    【初出】
    「JOURすてきな主婦たち」に、第9話「はじめてのレファレンス」は、2013年7月号。第10話「ヨウコの迷言」は、2013年11月号。第11話「石森さんの腹の内」は、2014年3月号。第12話「第二の人生を歩く」は、2014年7月号に掲載したものです。

    【JOURすてきな主婦たち】
    『JOURすてきな主婦たち』(ジュール すてきなしゅふたち)は、双葉社が発行する日本の女性向け月刊漫画雑誌。1985年、『Jour(ジュール)』として創刊。2000年、『Jourすてきな主婦たち』に誌名を変更。発売日は発行月の前月2日。
    読者層は出版社の広告向け資料によれば2008年の時点で25歳以上の読者が9割近くを占めており、当時の当雑誌は「25歳以上の既婚女性」向けを謳っていた。2011年の時点では31歳以上の読者が9割近くを占めるようになっており、当雑誌は「30歳以上の既婚女性」向けを謳うようになっている。←Wikipedia
    2021.05.15読了

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    ※シリーズの感想と読了日
    夜明けの図書館シリーズの2作目 2021.04.18読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575335142
    夜明けの図書館シリーズの1作目 2021.03.23読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575334626

  • 1巻にまとめて感想記載 very good!

  • とある公共図書館での物語、第3弾。
    “本”を届けるということに、何がこめられるのでしょう。

    時には“情報”であり、時には“癒し”であり、
    そしてまた、見失っていた“想い”なのかも知れません。

    その人にとって必要なモノを見つけるということ、
    それにはその人と向き合っていく必要があるのだなぁ、とも。

    そしてそれを実現していくためには、
    自分自身で全てを片付ける必要もない、

    レフェラルサービス、久々に思いだしました。

    人と本をつなぐのも大事ですが、
    人と人とをつなぐこともまた大事。

    そしてそれは、サービスに携わるものであれば、
    自己の商材以外にも見つめておく必要があるのではないかと。

    そんなことを思い出させてくれた一冊、でした。

  • 第三巻では、子どもの頃の葵さんと
    同じく情報サービスの石森さん
    そして館長が活躍。

    私が図書館で本を借りると、カウンターのかたが
    「どうもありがとうございます」と言うので、
    お礼を言うのはこちらの方と恐縮してしまいます。

    新刊を真っ先に借りてごめんなさい。
    子どもの本を我先に借りてごめんなさい。

    でもこうして借りることが、役に立っているって知りました。
    これからもよろしくお願いいたします。

    〈”知りたい”って思いは
    明日自分がどうなりたいかに繋がっているからな

    その手助けをするのが
    図書館の仕事なんだ〉

  • レファレンスって、本当にその人の人生と少し関わる重要な仕事です。
    答えにたどり着けなかった時は悔しい思いでいっぱいです。
    ひなこのように私もひたむきにがんばっていこうと励まされました。

  • 今回は新人さんだけではなく
    ベテランさんや館長まで
    幅広い人が関わってきてます。

    まぁ、実際にレファレンスのときって
    誰彼かまわず声かけまくるし(^_^;)
    それぞれ得意分野ってあるから。
    誰か何か知ってるやろ…みたいな。

    最後の郷土のしらべものネタ
    鉄道遺産ものじゃないですか!
    なんて素晴らしいレファでしょう(笑)

  • 中一のこどもが借りてきて、また図書館員が選んだ図書館物か、と思っていたら、丁寧に話がつくられていておもしろかった。

  • レフェラルサービスなんて初めて聞いた。図書館では手に負えない専門的な知識を求める利用者に対して、その答えを提供できるであろう専門機関を紹介するサービス。
    当然、図書館の資料だけでは限界もあるわけで、解決にまで導くことができなくとも解決へと繋ぐ入口としての役割を果たすことができることが図書館としてのあり方なのかもしれない。

  • 医療情報の提供や病気を抱えた人と家族へのアプローチだったり、郷土史の専門的な事柄への回答だったり、レファレンスサービスとはいえども、司書として何ができるのか、どこまでできるのかを丁寧に描いていた回でした。読んでいてすごく勉強になった。
    中堅司書さんのすごさも伝わってきました。こんな風に仕事ができたらいいなと憧れます。

  • 埜納タオ著『夜明けの図書館3』(双葉社)
    2014.8.16第1刷発行

    2021.12.23読了
     2年目新米司書・葵ひなこがレファレンスサービスで奮闘するお話。

     2010年に雑誌『JOURすてきな主婦たち』(双葉社)で連載が始まり、2021年にコミック7巻で完結。

     2021年に「Library of the Year 2021」ライブラリアンシップ賞を受賞。
    「Library of the Year」は、“良い図書館を良いと言う”を合言葉にかかげ、これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人「知的資源イニシアティブ」が授与する賞のこと。漫画のための賞ではない。このうち、ライブラリアンシップ賞は、長期的な図書館活動を行ってきた機関に対して贈られる賞で、マンガに授与されるのは異例である。この受賞がきっかけで品切れだった既刊本の増版が行われた。

    第9話 はじめてのレファレンス
     ひなこが図書館司書を志すきっかけとなった回想エピソードの回。自分の「知りたい」という欲求への気付き、他人の「知りたい」を援助する経験を通して、読書・調べものの楽しさが語られている。
    第10話 ヨウコの迷言
     亡き祖父から遺産相続で譲り受けたオウムの言葉の解読に挑む異色の回。フィクション要素は多めだが、「知りたい」という気持ちが明日のなりたい自分に繋がっているというメッセージ性の強い佳作だった。
    第11話 石森さんの腹の内
     ベテラン司書石森千洋の回。問われることに応えるだけでなく、利用者の目線に立って、図書館から働きかけていく。医療・健康情報サービスは内容がセンシティブなだけに排架に工夫が必要だ。病人だけを対象にするのではなく、その家族のケアも視野に入れたコーナーづくりが必要だ。色々考えさせられる話だった。
    第12話 第二の人生を歩く
     大手メーカーを定年退職した男性が主人公の回。第12話はレフェラルサービスを取り扱っているが、同時に社会教育施設としての図書館の役割にもスポットを当てている。図書館の裾野の広さを感じさせる良い話だった。著者の目配りが際立つ回だった。

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著者プロフィール

漫画家・イラストレーター。
講談社mimi&kiss 新人漫画賞入選でデビュー後、漫画、イラストなどで幅広く活躍中。
著書に、『華物語』『百花日和』『夜明けの図書館』ほか。

「2021年 『学校図書館 ここはいつでもぼくの場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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