風紋〈上〉 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 974
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575505795

感想・レビュー・書評

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  • 感想は下巻に。

  • ひとつひとつの描写が細かく、特に人物の感情は素晴らしく、その人の悲しみや苛立ちが読み手の自分自身と同一化してしまいそうになる。心が苦しくなる。
    母を殺された後の麻裕子の絶望感。元の環境を「水槽の中にいるよう」との表現がいい。
    ただ、物語の展開としてはその分遅々として進まない印象もあり、下巻を読むのがほんの少しおっくうにも。

  • 凄く良かったです。といっても内容は不倫をした二人の殺人事件ですので面白いってわけではありませんが、加害者、被害者のそれぞれの家族からとらえた事件の展開です。
    どちらも思いもしなかった事が事件後分かってきて、戸惑い悩んでいく過程がとても考えさせられ、引き込まれて読みました。

  • 乃南さんの作品の中で一番心に残る作品。母が殺された、しかも犯人は自分の担任教師で母と不倫関係だった。普通の日常が突然、被害者家族、加害者家族へと変わり翻弄されていく。一気に読ませる筆力はさすがです。

  • 人妻と教師の不倫の末に起きた殺人事件。被害者家族:真裕子、加害者の妻:香織、新聞記者:建部、刑事:進藤それぞれの視点からストーリーが展開。
    全体的に重いテーマであるが充分過ぎるほどリアリティがある。それだけに読んでいて辛くなる部分もあるが、作者がどんな結末を用意しているのか?下巻の最期に少しでも希望がもてることを期待したい。

  • なかなかに考えさせられる本だった。自分だって、いつ、だれの立場になるかわからない。犯罪被害者、加害者、被害者家族、加害者家族。あたりまえの日常が、あっというまに崩れ落ちてしまうものなのだということを感じさせられた。
    もともとは犯罪加害者の贖罪に関心があって読み始めたけれど、そんな小さなものではない、犯罪を中心とした大きなうねり、渦のようなものが多くの人を巻き込み、苦しめていくさまが生々しかった。
    この混沌とした状況が、下巻ではどのように展開し終結に向かっていくのか、読むのが楽しみ。重い内容だけれども、深く考えさせられる。

  • 再読
    母親を殺された真裕子、夫が殺人事件の犯人になった香織。
    被害者、加害者ももちろんだけど、その家族たちにも
    もう普通の生活って無くなるんだな
    真裕子も香織もキツイ。これからどうなっていくのか…
    下巻に続く

  • 日常の一コマである日お母さんが帰って来なくなる。残された女子高生の描写がリアル過ぎてのめり込んだ。殺人事件が発生し、被害者の家族、そして加害者の家族、また、捜査にあたる刑事や真実を追う新聞記者、また取り巻く環境の人々がひたすら細かく描写されている。事件そのものは大した事はないのだけど、文章量が全てそれらの人々の感情を描写してこれでもかと言うくらいに迫ってくる。もう加害者含めて全てが被害者なんじゃないだろうかとさえ思わせる。
    上巻だけでも鬼気迫るのに下巻でどう纏めてくるのか期待大!

  • 丁寧に犯罪被害者の心理が描かれているので、ストーリー的には全然進まない。被害者姉妹の妹がどうなっちゃうのか。それだけが気になり読み進めた

  • 内容紹介
    「犯罪被害者に限定して言えば、事件の加害者となった人間以外はすべて、被害者になってしまうのではないかと、私はそんなふうに考えている。そして、その爆風とも言える影響が、果たしてどこまで広がるものか、どのように人の人生を狂わすものかを考えたかった」-乃南アサ

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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