- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575506891
感想・レビュー・書評
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サクッと気持ちの悪い気分にしてもらえるので
世に奇妙〜系統がお好きな方にはゆるく楽しめる作品かと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しばらくぶりで、好きな多島斗志之さんの本。
《少年達のおだやかな日々》と言うタイトルにも惹かれ読み始めた。ところが個人的にテーマが好まなかった。短編の1話から嫌~な話だった。すぐに読み終える予定がなかなか進まない。サイコパスな人物が、穏やかに暮らしていた少年達に暗い影を落としてしまうのだから後味が悪く怖かった。普通の顔をして社会潜んでいるサイコパスは私達夫婦のすぐそばにもいるのかも知れない。 -
数年前に読んだものを再読。
どこにでも居そうな少年達の、日常の歯車が少しずつ狂って行ったような短編集。
どれも後味の悪さがあり、一気に読めた。
この後の少年達が気になる。 -
2009年に失踪してしまったこの作家が、1994年に上梓した短編集。
収録された7編の短編は、どれも広義のミステリ。いずれも中学生くらいの少年が主人公である。
地の文をあまり使わず、会話の連続でどんどんストーリーが進んでいく構成で、とてもリーダブル。
タイトルのとおり、どこにでもある「少年たちのおだやかな日々」の描写から始まるが、その日常に不穏な影が迫る。
そして、まったくおだやかではない陰惨な結末が待っている。いまでいう「イヤミス」のたぐい。
最初の短編が「言いません」で、最後の短編が「言いなさい」。凝った趣向である。全体も、短編集としての構成がよく練られている。
「言いません」「言いなさい」「罰ゲーム」の3編はテレビドラマ化されたという。
そのうち、「罰ゲーム」は『世にも奇妙な物語』の一編になったそうだ。7編全体も、なんとなく『世にも奇妙な物語』的だ。チープなところも……。
最初の「言いません」がいちばん面白かった。
中学生男子の主人公が、同級生の母親が見知らぬ男とラブホテルから出てくるところにバッタリ出くわしてしまい……という話。
その母親の狼狽ぶりや、主人公の「どうしたらいいかわからない」戸惑いぶりが、とてもよく描けている。
7編それぞれが「どんでん返し」で終わる構成。
「言いません」と次の「ガラス」は、どんでん返しがうまく決まっている。
一方、ほかの5編はとってつけたような終わり方で、感心しなかった。
どんでん返しは、そこまでに張られた伏線を見事に回収する形でなされてこそ、読者も「一本取られたな!」と感心するものだろう。
だが、本書の7編中5編は、それまでになかった要素を突然持ち込んでくるような強引などんでん返しになってしまっている。
「えっ? そんなの聞いてないよ~」と言いたくなるようなモヤモヤ感が残った。 -
なるほどね。少年たちにとっては、こういうものをかわしたあとにおだやかな日々が来るってことか。あるいはある種の少年たちにとってはこれが「おだやかな」日々ということなのかも、とか考えると、ぞっとするね。
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2014/8/29
とにかく読みやすい。途中は気味が悪くスリルがある。オチはそこまで。 -
【言いません】
見られてしまった人間と見てしまった人間。
年齢、性別関係なく対象となってしまった時、そこに新たな感情が錯綜する。
ラストは正に子供心の爆発。
【ガラス】
プラスの効果が大きい分マイナスもでかい。
思い込み。一度、自分で決めてしまうと、周りの言葉も中々入ってこない。
実に厄介だ。
【罰ゲーム】
思考がサイコパス。弟も既にサイコパス。
倫理もへったくれもあったもんじゃない。
ぞわぞわする思いの先に、続きを渇望する自分がいる。
【ヒッチハイク】
予期せぬ事から予期せぬ事態に巻き込まれて、いつしか中心にいる。
そんなことって多々あるよな。
最後の一線を超えなければ…
【かかってる?】
催眠と一言に括っても色々ある。
人間の脳と思いは、難しい。
【嘘だろ】
驚きの事実が上塗りされた時、後の事実が余計に増幅される。
【言いなさい】
真実と嘘は紙一重なのか。
1つの事象に2つの違う思いがある時、周りは一体何を思うのか。
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2018年2月11日読了。
2018年49冊目。 -
全くおだやかじゃない短編集。どれも面白かったが、特に「罰ゲーム」「嘘だろ」という「美人の姉」絡みの2編は恐ろしかった。後味の悪さがたまらない。
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少年たちのおだやかな日々とはほど遠い短編集。
でも最後ははおだやかな日々に戻っていく。
嫌ミスの部類だろうが、後味は悪くない。
(図書館)