海のある奈良に死す (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 166
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575507201

作品紹介・あらすじ

「行ってくる。『海のある奈良』へ」推理作家・有栖川有栖にそう言い遺し、取材旅行に旅立った同業者の赤星楽が若狭湾で客死した。犯罪学者・火村英生と共に、彼の幻の小説を復元しようとした有栖の試みは、同時に事件の真相を暴くこととなる。数々の伏線と緻密なトリックで酔わせる傑作長編推理。

感想・レビュー・書評

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  • 被害者が登場して数ページで殺される、テンポの良い長編。
    タイトルもドラマチックだし、なかなか真相が謎に包まれてて、読んでいて楽しかった。

    今回の被害者は、アリスの同業者でまぁまぁの知人なんだけど、アリスの人生において知人がちょっと殺されすぎてて、なんか可哀想になる。
    取材先の小浜で死体となって発見された被害者に代わり、犯人を暴くため、というよりは彼が書くはずだった小説の内容を掬い上げるために(それが同業者としての弔いだと考えて)アリスは独自に事件を調べ始める。
    んで、一人で調べればいいものを、火村を巻き込む訳だ。火村も火村で特にごねるでもなく、さも当然のように二人で現場の小浜へちょっとした小旅行に出るんだけど、二人の絡みが大好きな私にとっては天国のような展開である。旅行中ずっとイチャイチャする二人が見れるボーナス小説なのだった。(おい)

    被害者が小説家だったこともあって、小説家仲間やら編集者やらが出てきて、業界譚みたいな側面があったのも楽しかった。
    編集者の片桐も事件調べに手を貸したりして、30代ボーイズが大活躍する。
    でも、アリスが片桐の自宅に泊まってもなんとも思わないけど、アリスと火村が泊まると萌えるなぁ…。特に、東京で急遽アリスと火村が泊まらなくちゃいけなくなって、片桐がツインしか用意できなかった、って、「ツイン?ツイン??」みたいな。読者サービスでわざとそうしてるようにしか思えないんだけど。
    悪夢にうなされる火村を知ってしまっても、そっと心に留めておくアリス、優しい。アリスは火村にちょっと危ういものを感じて放っておけないんだろうが、火村は何も言わないけどホワイトなアリスと一緒にいると安らぐんじゃなかろうか…(妄想です)。

    海のある奈良、というのが小浜を指すなんて、全く知らなかった。それに人魚伝説がリンクして、ストーリーは厚みを増してゆく。
    小浜の情景は、有栖川さんの堅実な取材に基づく手堅い描写で、脳裏に風景が浮かぶ(なぜか二時間サスペンスを連想してしまった)。
    そして、これだけ詳述しておいて殺人現場小浜じゃないのかよ!ってツッコミ入れたくなる、取材成果をおじゃんにする潔い展開、好きだなぁ。

    アリスが有栖川さんじゃないのは分かってるけど、アリスが漏らす小説へのスタンスとか、有栖川さんのそれに重なるのかな、と思ってしまう。
    やっぱり有栖川さんの作品が総じて持つ雰囲気(清潔感、品位、穏やかさ)が、このシリーズの根底を支えている。

    シリーズを読み始めた頃はこんなに好きになると思わなかったし、サザエさん的な時間軸が動かないタイプかと思ってたので、出来た順に読まなかったことを今凄く後悔してる。
    特にこの作品は比較的初期のものらしく、もっと早くに読むべきだった。
    火村のボクシング経験ここで触れられてるのかい!とか、片桐と火村の初対面話なのかい!とか、初お披露目の設定がいくつかあった。

    犯人が自殺しちゃうのだけはいただけなかったけど、あとは満足。
    書かれなかった小説の内容を掬い上げるなんて可能なの?と思ってたけど、事件が解決したらちゃんと丸く収まってお見事でした。
    ただ、「二十世紀の驚異」と表現されてる見た目の若い45歳の女は、キャラとしては立ってるはずなのに、読み終わったら印象に残らなかった。
    有栖川さんは、色気のある女を書くのか苦手なのかも。

  • 配置場所:摂摂枚文庫本
    請求記号:913.6||A
    資料ID:95060477

  • 久しぶりに読んだ有栖川作品。
    この海のある奈良は火村シリーズの中でも好きなもののひとつで、何度か読んだけど、こんなトリックだったっけなんて…うろ覚えだったので改めて楽しめました。
    ミステリーっぽいトリックが面白い。そこまで捻るか!と感心してしまった。
    あと、犯人を殺人へと突き動かす動機が切なくてそこが気に入っていたんだったと思い出しました。
    結末はうやむやかもしれませんが、はっきりと語れないところがまた犯人の気持ちを表しているように気がします。

  • 古の奈良の都と小浜のつながり。
    東大寺二月堂と神宮寺。

    人魚、セイレーン、シレーヌ、八百比丘尼、人魚のミイラ。

    著者の前書き、店名のパンゲア、海のある奈良。

    石童丸物語、名乗りあえない親子。

    サブリミナルとウイスキー。

    でもなぜだろう、何度も頭の中で再生されるのは、夕日の中富士川鉄橋ですれ違う新幹線。

  • ……まさか、サブリミナル…?!

    読了後:ベタな要素がふんだんに用いられていたが、読んだら旅に出たくなる素敵な一冊だった。最後まで犯人がわからなかったのも良かった。どこの誰にでも犯行は可能だったのではないかとも思えるが。

  • 作家アリスシリーズ。調べてみるとあまり長編がないのに気づいた。今回の話は正直、設定にかなり無理がある印象。最後の終わり方もなにかうやむや。次作に期待。

  • 『行ってくる。海のある奈良へ。』
    作家アリスシリーズの長編作品。

    テンポも良く読みやすいお話でした。
    犯人に辿り着くまでの火村先生の度胸の良さとかもおもしろかったけれど、最後の最後でうやむやにされた感じがした。うーん。

    今回は担当編集の片桐さんの出番が多くて、新鮮に感じられた。

  • 再読

  • 小浜などを舞台とした作品です。

  • 作中のキャラクターがよかった。
    だが大筋のトリックは別として、オチは納得がいかない。
    伏線も無くオチの為のオチという感じがした。

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ ありす)
1959年、大阪市東住吉区生まれの小説家・推理作家。有栖川有栖・創作塾の塾長。
同志社大学法学部法律学科卒業後に書店へ就職。それまでも学生時代から新人賞や雑誌への投稿を繰り返していたが、1989年江戸川乱歩賞に投稿した『月光ゲーム Yの悲劇 '88』が東京創元社編集長の目に止まり、大幅に改稿した上で刊行し、単行本デビューとなった。1994年、書店を退職して作家専業となる。1996年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)受賞。1999年から綾辻行人と共作でテレビ番組『安楽椅子探偵』シリーズ原作を担当する。
2003年、第56回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した『マレー鉄道の謎』、2007年発表作で「本格ミステリ・ベスト10」で第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」で第3位、「黄金の本格ミステリー」に選出と高く評価された『女王国の城』など、多くの作品がミステリ賞で高く評価されている。
2000年11月より2005年6月まで、本格ミステリ作家クラブ初代会長を務める。

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