MISSING (双葉文庫)

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レビュー : 524
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575508031

感想・レビュー・書評

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  • 何かを失ってしまっている人たちのお話が5つ。
    どこかで微妙につながってるような雰囲気の短編集です。

    恋人である自分の生徒を死なせてしまって自分も死のうとする先生
    目の前で車にひかれた妹として生きる幽霊ちゃん
    死期を悟って女子高生のストーカーを頼むおじいさん
    おもしろい答えを探したほうが勝ちというなぞなぞで遊び、変人で瑠璃色の目をしたルコ
    殺人の欲求と妄想が止められないエリート大学教授

    ネガティブな思想をぶちまける割には、印象的で魅力的な登場人物が多くて、意外と読後感も悪くない。
    軽くさっぱりした語り口だからか。

    「瑠璃」がとても好き。
    ルコもよいが、姉の結婚式のところがよかった。

  • 犯人不在の殺人というのかな・・・

    実際に手を下したわけではない。
    意図すらしなかった死もある。

    人間が普段被っている皮を一枚めくってしまえば
    その下の顔はこんなにも暗いのか。

    『眠りの海』
    少女を事故死させてしまい、自殺を図るも死に損なう男の前に現れた少年・・・どこか見覚えがあるその姿は・・・・

    『祈灯』
    目の前で妹が事故死した事実を受け止めきれず、「死んだのは姉」として妹になりきる「幽霊ちゃん」。その真意は・・・

    『蝉の証』
    孫を名乗って老女から金を巻き上げる女。若い男に金を払って女子高生をつけまわさせる老人。老人ホームの怪。

    『瑠璃』
    初恋の、奔放で自由なルコからの謎かけ。
    どうして人は人を好きになるのでしょう。アリクイを好きになっても仕方ない、ウォンバットの方がよっぽどいいかもしれない・・・

    『彼の棲む場所』
    どうしても許しがたい人間に出会ったとき、どう振舞うか。
    聖人君子なんていない。潔癖なまでに正しい人物なんてやっぱり胡散臭い・・・

  • 2009年3月5日~5日。
     この作者の作品は初めて読むのだが、文章が読みやすく、先へ先へと読者を惹きつける書き方は上手いなぁと感嘆した。
     ミステリーになるらしい。
     確かにそれらしい種明かしもあるのだが、答えは決して明確ではない。
     明確である必要がないのか、明確に導き出されないからなのか。
     いずれにしてもこの不明確な答えへの導き方が面白い。
     全5編の短編集。
     どれもが「死」に纏わる話。
     残酷であり、それでも「これも人間だ」という気持ちにもさせられる。
    「瑠璃には泣けそうになった。
     この作者の他の作品も読んでいたくなった。

  • 帯に(このミスの)「2000年版第10位」って書かれてるからたぶんその頃に買って読んだ小説。
    覚えてないものだな、ってかるく感動した。笑
    再読だけどそのくらい新鮮な感覚で読めた。

    五つの短編集。
    タイトルの通り、不在の誰か、にまつわる物語たち。静かに死の匂いが漂う。

    ミステリ風ではあるものの、はっきりきっぱりと謎解きというよりは、もしかしてこういうことだったのではないか、みたいな余韻の残る謎解きに留まっているところが、この小説に限ってはとてもよかった。

    誰かの死に対する後悔をするのは傲慢なことなのかもしれないけれど、悔いることもあるし、引きずったまま生きることもある。
    そこから抜け出すきっかけに出会う人もいれば、抜け出せないまま生きていく人もいる。

    いちばん初めの「眠りの海」とラストの「彼の棲む場所」がとくに印象に残った。
    健全すぎるからこそ、一度きりの過ちから逃れられなくなってしまう。そういう恐ろしさを感じた。

  • 短篇集なんですが、「瑠璃」っていう短編があって、大学生の時に読んで非常に感情移入した覚えがあるのですが、おそらく、エキセントリックで周りから超浮いてる幼なじみっていう設定があの時の自分的にツボで、自分だけが理解者だとか思っちゃうのが内気な若者特有のアレで、その設定を通じて独占欲を満たしていたみたいな所があるような気がしますが、悲しい話なんですよねこれ。いやーまいった。

  • 本多さんの作品には【喪失】が根源的なテーマとして根付いている印象を受けていたが、本作を読むと処女作からそのテーマは全くぶれていないことが伺える。収録作品(最後の作品は例外)に共通するのは【無償の愛】への渇望。社会や常識という括りの中では『甘え』の名でいとも容易く断罪される『ありのままの自分を愛して欲しい』という純粋で無垢な欲求。描かれるのはその満たされることのない思いに苦悩する人々。淡々と進む物語は登場人物の【死】を以てしてもなお淡々と進む。安易な美化や感動を挟まず、物語は傷を残したまま静かに幕を閉じる。

  • 「死」に対してタブーとされやすい人間の心理を丁寧に描いています。共感出来ないのに、なぜか憎めず親近感がわいてしまう登場人物達。
    物語も日常の中で起こりえるほんのひとコマを切り取ったような状況描写で進んでいきます。
    短編集ですが、1つ1つの話に個性かかんじられ飽きずに次から次へと読み進めたくなります。
    読み終わった後は何とも言えない気持ちになりますが、それが醍醐味の1冊だと思います。

  • MOMENT」「WILL」が印象的な著者の初期の短編を納めた1冊。ミステリ+ファンタジー的な風味と切ない読後感は一連の作品にも通じている。最近の著書の方がこなれているというか、完成度が高いきはするものの、独特の語り口と構成の巧さは癖になる魅力がある。特に気に入ったのは「眠りの海」と「瑠璃」どちらも主人公の少女のキャラが非常に印象的だ。

  • 2018/3 3冊目(通算35冊目)。「死」や「別れ」をテーマにした短編集。良かったのは、救いのあるラストの「眠りの海」、ルコみたいな女性が小さな頃自分の身の周りにいればいいなと思った「瑠璃」の二つ。心情部分を丁寧に書いてあるのはいいが、その部分に共感できない自分がちょっと悲しい。感想はこんなところです。

  • 読了

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著者プロフィール

本多 孝好(ほんだ たかよし)
1971年、東京都生まれ。弁護士になるため慶應義塾大学法学部に入学したが、大学4年生の時、同じ学部の金城一紀に小説執筆を依頼されたことがきっかけで、作家を選択肢に入れる。弁護士になるか迷っているさなかの1994年、「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞し、作家となることを決心。
以降、1999年『MISSING』で単行本デビュー。
2008年短編集『FINE DAYS』に収録された『イエスタデイズ』が映画化されたのを皮切りに、『真夜中の五分前』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『at Home』など映画化された作品多数。その他代表作として、『MOMENT』など。

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