人間動物園 (双葉文庫 れ 1-5)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575510447

感想・レビュー・書評

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  • 思想強めかな!

    連城さんの幻想的な文体は好きなんだけど、オチが説教くさくなっちゃったかなー。この手の警察サスペンスとの相性もあるのかも。途中のみんな怪しい感じはワクワク感増し増しの引き込まれ方をしたので、最後のオチに期待値高まりすぎた。

    好きな作家さんの一人ではあるので、久々にこの世界観へ浸れたからよしとするか。

  • 作者が得意な誘拐もので、最後まで読むと十八番の反転構造が判明し、予想外の騙し絵が浮かび上がる。
    第二部の終わりまで読むと1つの反転構造が明らかとなるが、その内容は作者の別の作品の構図と同じではないかと感じたが、最後にさらなる反転を見せ、誘拐の持っている新たな意味が提示される。刑事たちが出した14万円が奪われた謎、刑事たちの家族に誘拐事件が起こったことが連絡された謎、それぞれの意味が真相によって見事に説明されている。作者の斬新なものの見方、捉え方、発想には感心せざるをえない。
    惜しいと感じるのは、犯人の思想と犯行動機が理解しがたいこと、また、芳江の取った行動が不自然に感じられる点だ。
    真相を知ると、タイトルに隠された意味が判明する点も見事だ。

  • 唸る程に面白いマッシブなミステリー!

    二転三転どころかページを来る度に転がり続けどう物語を落す?という展開に気持ち良く翻弄された。

    この作者の作品は初読。もっと別作品も読みたいと惹付けられた。
    お見事!

  • 「連城三紀彦」の長篇ミステリ作品『人間動物園』を読みました。
    ここのところ「連城三紀彦」の作品が続いています。

    -----story-------------
    記録的な大雪にあらゆる都市機能が麻痺するなか、汚職疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘が誘拐された。
    被害者宅の至る所に仕掛けられた盗聴器に、一歩も身動きのとれない警察。
    追いつめられていく母親。
    そして前日から流される動物たちの血・・・。
    二転、三転の誘拐劇の果てにあるものとは!?
    「連城」マジック炸裂の驚愕ミステリー。
    「このミステリーがすごい!」2003年版・第7位。待望の文庫化!!。
    -----------------------

    2002年(平成14年)に刊行された誘拐モノです。

    関東が記録的な大雪に見舞われる中、埼玉北部の住宅地で、汚職疑惑の渦中にある大物政治家「家野大造」の孫娘「梅原ユキ」が誘拐され、1億円が要求された… 被害者の自宅にはいたるところに盗聴器が仕掛けられ、警察は被害者の家に入り込むことさえできない、、、

    近隣で数日前から起こっていた動物の連れ去り事件、繰り返される無言電話、追い詰められていく母親「芳江」…… 「発田元雄」、「朝井梁次」、「華野一典」等の警察は、狂言の線を疑いながらも、なんとか犯人の手掛かりを得ようとするが……。


    誘拐されたのは4歳の少女「ユキ」ではなく母親の「芳江」!? いやいや、実は警察が!?…… 狂言誘拐?二重誘拐?それとも三重誘拐? 二転三転の誘拐劇、複数の盗聴器を巧みに仕掛けた犯行、、、

    そして、白紙にすり替わった身代金の1億円、そして、新札と入れ替えられた現場の警察官から集めた14枚の一万円札の謎… 終盤まで真相が判らず愉しく読めましたが、事件の構図が複雑で理解し難いことと、動機に共感できなかった部分がちょっと物足りませんでした。


    以下、主な登場人物です。

    「発田元雄」
     52歳の巡査部長。通称「ゲンさん」

    「朝井梁次」
     32歳の巡査。バツイチ。発田の部下。

    「梅原芳江」
     家野輝一郎の元妻。

    「梅原ユキ」
     芳江の娘。4歳。

    「華野一典」
     県警捜査一課特殊班の刑事。48歳。

    「篠原美晶」
     特殊班の刑事。巡査部長。

    「成木竜三」
     捜査本部長の警視。

    「国島栄二」
     41歳の巡査部長。メカに強い。

    「坂上礼子」
     梅原家の隣人。

    「家野輝一郎」
     家野大造の三男。

    「家野大造」
     汚職疑惑の渦中にある前閣僚。

    「家野剛一」
     大造の長男。国会議員。

    「家野絹子」
     大造の妻。

    「鶴乃」
     大造の愛人。輝一郎の母。

    「大任達夫」
     関東新聞社浦和支局員。

    「永島行彦」
     カメラマン。

    「沢村」
     梅原家のはす向かいの住人。未亡人。

    「川永玉枝」
     輝一郎の再婚相手。

  • 3連続で初めての作者さん。

    また帯が煽りまくってるな。
    どんでん返しとか、寝不足必至とか…。
    無意識でハードル上がってしまう。
    こちとら、何時間寝ても寝不足よ。

    正直、散々出尽くしたこのご時世でどんでんを返すの無理なんじゃないかな?
    ユージュアル・サスペクツとシックス・センスを超えるどんでんに会えない。
    懐かしいな。久々に観たくなった。

    多分だけど、本作はどんでん返しやで!どや!っていう狙いの作品じゃない気がするのよね。
    コウモリだから、そういうことを考えてしまったのだよ、と印象付ける方だったんじゃないかな?
    ま、読み取り方は色々です。
    正解なんて決める方が無粋。

    文章との相性は良くなかったけど、敢えてなのかな?という気もする。
    ストーリーもまぁまぁ良かったし、そこまで苦痛も感じなかったかな?
    これは別作品で確認しないとな。

    有意義な読書タイムをありがとうございました
    この読後感を噛み締めつつ

    そういやコウモリって鳥類じゃなく哺乳類なんすよね。
    唯一、飛べる哺乳類。
    鳥類のペンギンは飛べないのに、不思議なもんですな。
    ここ数年でコウモリの印象は一気に悪くなったんだろうなぁ…

  • 登場人物がみんななんだか不穏。加えて文章の視点もなんだか定まらない(気がする)。最後にはとんでもないどんでん返しが待っているのかと思いきや結局元全共闘のおぼっちゃまの体制への抵抗が動機とは。2003年このミス7位という事だけどこれそんなに面白い?

  • 誘拐がテーマのサスペンスかな?
    犯人の動機が自然でないため事件の週末が分かりにくい感じがした。

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:Browsing
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=93692

  • 親への憎しみとそれに甘えないと生きていけない自身に対する苦い思いを発散させた犯人の話だと思う。元妻の彼に対する「甘えだらけのお坊ちゃん」という評がとてもしっくりくる。犯人は頭の回転は早いが精神が成長しきれてないアダルトチルドレンのような男で、特に最後の行動にそれが如実に現れていると思う。そうなってしまった幼少期の環境は可哀想だと思うが、大規模に巻き込むな。

  • 読んでる最中は気になって気になって夢中になったけど造花の蜜を先に読んでしまったので結末は弱かった。動機もうーんという感じ。とは言え誘拐ものとしては秀逸。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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