僕たちの戦争 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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レビュー : 224
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575510867

感想・レビュー・書評

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  • ★4.5

    “根拠なしポジティブ”の現代のフリーターと、
    昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった!
    それぞれの境遇に順応しつつも、
    ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが……。


    現代のフリーターの健太。
    昭和19年の戦争中の軍隊で過ごしている真面目な吾一。
    顏や体つきが瓜二つの19歳の青年がある日時空を超えて入れ替わる。
    この二人の若者が懸命にその時代に合わせようと努力し、
    成長する姿を交互に描いていた。
    過去から現代にタイムスリップした吾一の姿は、ユーモラスに
    描かれていて思わず笑ってしまう。
    一方、彼が感じる現代への失望は耳が痛くなる…。
    〝一体この時代はどういう時代なのだろうか
    知れば知るほど情けなく、嘆かわしく、腹立たしい。
    すでに多くの兵が御国のために散り、軍神となられた。
    その尊い犠牲は、こんな世の中話作るためであったのか〟
    〝50年後の日本は、多過ぎる物質と欲と光と色の世界
    誰もが自分の姿を見ろ、自分の声を聞けとわめき散らしている。
    謙虚も羞恥も謙譲も安息もない〟

    現代社会への批判・警鐘を鳴らしていた。
    色々な思いが頭の中をよぎりました。
    今という時代を考えるべきだと思った。
    また、戦争中の軍隊の姿はとても酷いものでした。
    その過去の日本の戦争についても反省すべきだと言っていると思いました。

    吾一にも健太にも生き続けて欲しい!
    でも恋人ミナミの元に戻ってくるのは一人。
    ラストの結末の判断は読者に委ねているのですが、
    結末を知りたいような、知りたくないような、
    何とも言えない切なさが残りました。

    タイムスリップするのですが、SFっぽさは感じさせられず、
    今の自分の在り方を考えさせられ、
    二人の青年の成長する姿を描かれている。
    素晴らしい一冊でした(*´ `*)

  • 2017.7.26-8.8

    本書の前に「出口のない海」を読んだ。
    この2作は話の内容が地続きで、どこかに少しだけ年上の並木がいる気がした。

    回天、野球、魔球、想い人、千人針。。
    情景が重なる。

    吾一にも健太にも、生き続けてほしい。
    でもミナミと共に生きられるのはどちらか一人…。吾一と健太が少しずつ同一人物のようになっていく様に惹かれた。
    この二人のような人たちのおかげで、今の日本がある。それだけは忘れてはならない。

    ‘’文子さん、あなたの将来の旦那と、三十七年後に生まれてくる孫娘は、俺が守ります。”

    この一文で涙が溢れ出た。

  • いわゆるタイムスリップ物だけど、予想に以上に良かった!これまで読んだタイムスリップ物の中でも、トップクラスの満足度。

    現在から過去へタイムスリップした若者と、過去から現在へタイムスリップした若者を交互に描くことで、物語が骨太になってるし、この二人が顔も体型も性癖も瓜二つなのに性格は正反対という設定が、ストーリーに深みを増している。

    現代から昭和19年の日本にタイムスリップして苦労する尾島健太、昭和19年から現代の日本へタイムスリップしてやはり苦労する石庭吾一、この二人の若者を、時に笑いを誘う表現で描き、時にせつなく描き、ラストまで一気に読めてしまった。

    昭和19年と現代を対比する形で描いており、現代社会への批判・警鐘、また戦争中の日本への反省なども、物語の中で上手く表現されていて、同じように現代と戦中を対比している「永遠の0」とは雲泥の差。本書の方が、はるかに良心的、つまり表現が奥ゆかしいだけに、「永遠の0」のような嫌らしさを感じさせない。

    タイムスリップ物だからSFという括りもできるが、SF臭さは微塵もない。
    良質な青春小説と言っても良いし、二人の青年の成長物語とも言える。

    ラスト、どちらがミナミの元に戻ってくるのか・・・自分としては吾一であって欲しいけど・・・。もう少し続きを読みたい気がする。ラストの結末は読者に判断を委ねているのだが、ハッキリさせて欲しいという気持ちと、知りたくない気持ちが少し・・・。

    ブックオフでたまたま見かけて買った本だけど、良い本を読めて満足。

  • 面白かった。
    そして、考えさせらる物語でした。

    設定としては、フリーターのチャラい健太と太平洋戦争中の飛行訓練中のパイロット吾一がタイムスリップで入れ替わるというもの。
    同じ19歳で、入れ替わっても周りが気がつかない設定。
    (意識だけ入れ替わる系ではなく、物理的に体ごと入れ替わっている設定です)

    入れ替わった二人の視点から、交互に終戦まで語られていきます。

    入れ替わった当初、二人はそれぞれ状況を理解できずにいますが、とまどいながら、なんとかその時代に対応していきます。どこかで、再び自分の世界に戻れることを信じて、それぞれの時代を生き抜いていく事になります。

    健太は吾一として、健太の視点で、戦時中の人たちの生きざまを語っていきます。兵士たちの待遇、人間関係、その当時の思い。さらに、戦時中の理不尽な暴力を耐えています。
    その中で、現代に戻ることを希望に、戦争が終わるまで生き抜こうとしています。しかし、その思いとうらはらに、人間魚雷の「回天」の訓練を受け、特攻に志願させられるという状況に。
    そして、ちゃらかった健太も守るべきものの為に戦う事になります。
    「永遠の0」や「出口のない海」を思い出します。

    一方、吾一は健太として、現代社会を生きることに。
    吾一の視点から見た現代を面白おかしく語っていますが、ちょっとその語り口と描き方にはうんざり。
    しかし、ここでの一番のポイントは、自分たちが命を捨ててまで守ろうとした日本の未来が、こんな姿だったのか?こんな人たちなのか?と憂うところ。
    吾一の
    「これが、自分たちが命を捨てて守ろうとしている国の50年後の姿なのか?」
    のセリフ、思いが刺さります。

    二人の視点から、戦時中の若者たちの思いを浮き彫りにして、現代を生きる私たちに「生きること」のメッセージを伝えて来ます。
    今の平和が過去から成り立っていることを我々読者にストレートに語りかけています

    そんな二人は元の世界に戻る事が出来るのか?

    お勧めです!

  • とても音白かった。

    だいぶ最初のほうから展開が気になり止まらなかった。現代っ子が過去にタイムスリップしたら、という魅力的な設定に加え、しかも、戦時から入れ替わりに同じ年の子が現代にタイムスリップするという、二倍美味しいストーリー。時代のズレから起こる、著者萩原浩、特有のダジャレやギャグがポップで良し、深刻すぎない重すぎない展開になっていく。

    色々な思いが頭をよぎる。現代と戦時。祖父母について。人間のあり方。わたしたちは、(いつの時代もそうだが)色々なことに気づき反省し感謝し、考え直すという作業をしつづけるべきだと思う。深く考えさせられる。こんな本にもっと出会いたい。

    さらに言えば、多くの謎を残して終わってしまうところが、実に憎い。

  • 戦争というものは決して敵国だけではなく、狂気を孕んだ一部の軍人により振るわれた、自国の若者をはじめとする全ての国民に対する一種の暴力なのだと感じた。
    違う時代に生まれた二人の若者は、それぞれの形で戦争に関わり、一人の女性を愛することになるが、今まで読んだことの無いような三角関係には、結末を知りたいような知りたく無いような、何ともいえない切なさがある。
    戦争を知るために読むというより、今という時代に対して考えを深めるために読むべきかと感じた。
    重いテーマにも関わらず、軽快なテンポで進み、所々にしっかり心に響かせる展開を散りばめた良書。

  • あるきっかけで先祖と入れ替わり、タイムスリップする。現代を生きていた健太は戦時中の日本にタイムスリップし、国のために自分の命を捧げようとする周りの兵士たちに感化されていく。
    現代ではダメダメだった健太が時代を超え生きていく中で、心身ともに成長していく姿に感動した。日本のために戦い死ぬことがとても誇らしいことだと考え戦い抜いた多くの人達のおかげで、今の日本があるのだということを改めて思い出させてくれる1冊だった。

  • 2015.8.30 読了。
    現在の若者 健太と、戦争で国のために戦う吾一がお互いの時代にタイムスリップ。
    初めは普通のタイムスリップ物として読んでいて、このままずーっとこの調子で進んで最後は元に戻って終わりなんだろうなって思ってたけど、切なくなってきてぐんぐん引き込まれて読み入ってしまった。
    現在に来た吾一の方は、今自分が見てる物だけど、過去に行った健太の方は戦争中で違う空気の中にいて、でもその中での本音はとてもとても普通で今と変わらない気持ちがうずまいていた。
    終わり方が少し…な気もするけど、これはこれでアリなのかな。
    んーでも。吾一の事も、心から大人になった健太の事ももう少し読みたかったなと思います。

  • 実は二回目の読了。何年か前に読んで、とても面白かった事を覚えています。本は売ってしまっていたので、もう一度読みたくなって買いました。けど、その時ほど、面白さを感じませんでした。結末を知っていたからかもしれません。ありきたりなタイムスリップものかと思って読んでも、夢中になる面白さがあります。本は売っちゃったけど荻原浩の作品で一番好きな作品だと思っていました。今度は売らないで蔵書しようと思います。

  • 現代っ子の健太と昭和っ子の吾一がタイムスリップして入れ替わっちゃう話。

    戸惑いながらも、自分の置かれてる状況に慣れようと必死な2人。
    最初は、チャラ男やった健太が徐々に逞しくなっていく様子と堅物やった吾一が必至に現代っ子風になろうと努力してる様子が上手く書かれてたかな(#^.^#)

    ラストシーンは、、、。
    結局2人は元の世界に戻れたんか戻れんかったんか「?」やったけど、コレは読んだ人の想像にお任せって事かなぁ?
    健太には悪いけど、吾一が戻ってきて欲しい。
    理由はネタバレになるから秘密( ´艸`)

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ。広告制作会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木賞を受賞。『砂の王国』『花のさくら通り』『ストロベリーライフ』『海馬の尻尾』『極小農園日記』など著作多数。

「2018年 『それでも空は青い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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