犯人に告ぐ 下 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575511567

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物それぞれのキャラクターが立っていてこ気味良い。誘拐や幼児連続殺人事件などやるせない事件だが、犯人を見つけるのも至難の業。
    被害者感情と警察の乖離をどう埋めるか?
    捜査陣が皆同じ方向を向いていれば良いが、中には不届き者も。その攻防がイライラハラハラしながら楽しめた。

    「人を叩きすぎちゃあいかんのです」「叩けば誰でも痛いんですよ」「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ…それは単にその人が我慢しているだけですからな」

  • 捜査の展開は悪くなかったけど、蓋を開けてみると犯行に至った背景が思いの外語られなかった。おそらく主人公である巻島の、過去との向き合い方を強く打ち出すためだったのかなと思う。ただそのせいで、途中の投書のやりとりや、無節操な裏番のキャスター、警察OBタレントの行動などなど、周辺人物が何を目的にしていたのかご想像にお任せのまま、宙ぶらりんで終わってしまった感がある。

    なので想像するに、犯人といい昔の女を追いかける男といい、劇場型犯罪という大きな舞台装置に、ただ他人の気を引きたいという、人のもっている本性を投影させたかったのではないだろうか。
    本当に必要なことだけを、寡黙に泥臭くやり続ける。巻島を通して学んだことは、そんな重々しい生き方の多難さだ。どれくらいそこに価値を見出せるか。SNSの時代だからこそなお一層考えるべきことだと思う。

  • ラスト、主人公が心からの謝罪したところで涙が出ました。

    植草さんが終始気持ち悪かった

  • 植草の気持ち悪さが際立ち、バッドマンの存在感が徐々に薄れていってしまった。ワシとの疑いがある有賀も突然出てきたら死んでしまったりして、いっぺんに詰め込みすぎて全体としても尻すぼみな感が否めない。

  • 面白かった!!

    劇場型犯罪には劇場型捜査を!
    その設定、ストーリ展開にドキドキしながら楽しめました。

    下巻ではいよいよ情報が集まりだします。
    犯人(=バッドマン)からと思われる手紙。本物か偽物かといったところから、本物の手紙を断定していきます。

    さらに犯人に呼びかけを行い、さらなる情報を引き出す巻島。
    一方で、別テレビ局にその捜査情報を流す警察内部。
    捜査が進展しない状況で、ついには、世間からも内部からも非難が上がり始め、その捜査の着地点が視えません。
    どうなる?どうなる?
    って思っていたところで、ついにクライマックスへ。

    巻島の「犯人に告ぐ」シーンは迫力満点でした。
    「今夜は震えて眠れ」というセリフが凄みがあります。

    犯人を追いつめ、逮捕することが出来るのか?

    さらに、上巻で伏線だろうなって思っていた巻島の家族構成もその通りに使われます(笑)
    そして、最後には6年前の事件について、正面から向き合う事になります。その台詞には胸が熱くなりました。

    これは、とってもお勧め!

  • 「犯人に告ぐ」のセリフと巻島さんのエンディングに涙です。
    長きにわたり犯人を追い続け、クールに仕事をこなす。

    それでも、心の中にはひとつの失敗をずっと背負っていて
    それを最後に見せた姿に感動しました。

    巻島さんカッコよしです。
     

    • 373akikoさん
      はい!藤巻さんかっこよしです♪
      大変そうなので、なりたくないし、身近な人にはなって欲しく有りませんが
      なっちゃったら全力で応援します☆
      はい!藤巻さんかっこよしです♪
      大変そうなので、なりたくないし、身近な人にはなって欲しく有りませんが
      なっちゃったら全力で応援します☆
      2013/10/12
  • Audibleにて、通しての感想。
    巻島の我を失った会見で思わず、こ、ここから物語が始まるんですか?大丈夫ですか?となりました。雫井さんは読者を居た堪れない気持ちにさせるプロだと思うのですが、会見も見事に聞いていられなくなって苦しかった(褒めてます)です。 劇場型捜査、絶対に実現してほしくない手段すぎるので、完全なフィクションとして楽しめました。 徹底的に捜査視点の逮捕に至るまでの物語なのでホワイダニットが不明瞭なままなのがやや消化不良な気もしましたが、全体的には気持ちよく読み切れました!満足!

  • 上巻を超えるスピード感があり、あっという間に読み終えた。独特の風貌や感情が読めない巻島という人物の魅力や、警察内部に潜む敵といった要素も相まって、劇場型捜査の面白さがぐっと増していた。到底たどり着けないような犯人を追い詰めていくのにハラハラドキドキの連続だった。

  • 上巻を読み終わった時に、下巻を早く読みたいと思った久しぶりの作品でした。細かな心情と情景描写が良く、迫力がありました。劇作のなかでも、出産による娘の生死と最後の主人公の生死のどちらを選択する際の作者の優しさにほっとしました。しばらく雫井ワールドに居ます。

  • 2006年(第2回)。7位。
    バッドマン(犯人)からの手紙が届くようになる。6年前の誘拐殺人の容疑者は自殺する。ある日手紙が届かなくなり、高速道路あたり?で発見される。投函する前に風でとばされたらしい。巻島は小心な犯人像を思う。
    他局に情報をリークしているやつがいる、と、わなを仕掛ける。植草、ひっかかる。だせー。
    やっぱり孫が誘拐される。バッドマン住んでる地域が絞られ、掌紋をとりに警官が動員される。犯人が特定されたのは、ある警官のほんの機転のおしゃべりからだった。
    なんか、都合よく解決した感ありの劇場型捜査。映像にするともりあがるのかなぁ。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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