あやしうらめしあなかなし (双葉文庫 あ 25-2)

著者 : 浅田次郎

• 双葉社 (2008年9月11日発売)

作品紹介・あらすじ

著者がこどもの頃、伯母から聞かされた"こわい話"を元に書いた「赤い絆」「お狐様の話」。作家になる前に体験したエピソードをふくらませた「虫篝」など、日本特有の神秘的で幻妖な世界で起こる、哀しみと幸いの奇跡を描く極上の奇譚集。「文学の極意は怪談にあり」を見事に体言した七つの優霊物語。

感想・レビュー・書評

[junakutaさんの感想 · 2012年11月15日]

浅田氏の作品の中では珍しい怪談短編集。ただしどの作品も根底には、人の世の遣る瀬無さや生きる難しさが丁寧に織り込まれている。
また、一話目の「赤い絆」と最後の「お狐様の話」は、奥多摩の神官一族であった母方での実話であるというから驚き。狐憑きは怖いなぁ…。。

[ころもさんの感想 · 2023年5月13日]

じわりと怖い。
読んだことがあるはずなのに、再度読んでもまた違う怖さと切なさを感じる。
特に「遠別離」。年齢のせいかな、胸が熱くなった。

[ﾌｳｶさんの感想 · 2022年12月24日]

最後のインタビューまで読むとさらに面白い

[メロンぱんさんの感想 · 2021年11月10日]

最後のインタビュー解説を読んでもっと面白くなった。

[ふちさんの感想 · 2021年10月26日]

七つの短編からなる怪談。恐怖とまではいきません。少し寒さを感じます。『客人』が一番分かりやすかった。

[chiyoさんの感想 · 2020年9月3日]

★3.5
再読、全7編が収録された短編集。タイトルに冠した通り、少し怖い話ばかりだけれど、時に切なかったり時に優しかったりもする。中でも「遠別離」が印象的で、家族を想いながら命を落とした人、夫や父親たちの帰りを待ちわびた家族、どちらも悲しく心が取り残されたと思う。そんな人たちを救うラストが、ただただ優しかった。そして、「赤い絆」「お狐様の話」は御岳山が舞台で、巻末の著者による自作解説を読むと余計に怖くなってくる。この2話を最初と最後に持ってきたことで、他の話も御岳山で聞いたような気になる不思議、構成の妙！

[ふなちゃんさんの感想 · 2020年2月3日]

哀しみの話。救いがあるような、ないような。

[へ〜たさんの感想 · 2019年2月11日]

おバカ・エンタメからお涙頂戴まで何でもこなす浅田次郎だが、ホラー、怪談の類は珍しい気がする。しかし、どの篇もそつなくまとめつつ、イントロとコーダを伯母の寝物語で閉じるという粋な構成で、流石のストーリーテラーぶりを発揮。

いずれ劣らぬ佳作揃いで順番を付けるのは難しいのだが、ストーリーで選ぶなら、結末をあえて提示しない『客人』か、コミカルなタイトルで聖職の継承を描く『昔の男』。恐しさで選ぶならドッペルゲンガーの恐怖を描いた『虫篝』。

[maimaikyさんの感想 · 2019年1月25日]

面白かった！でも怖い話がたくさんだったな。

[真昂 風さんの感想 · 2018年2月24日]

この作者の作品を初めて読みました。
ミステリばかり読んでる私には抵抗があったことには間違いありません。
が、いわゆる「怖い話」は私を魅了し、次へ次へと誘ってくれました。
日常にある「怖い話」とは違い、久々に読んだ、新しい怪談噺は楽しかったです。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。