- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575513448
感想・レビュー・書評
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語り手が教師からクラスメイト、犯人の家族、そして犯人と変わっていく中に話の矛盾が生じている部分があって非常に面白かった。
ラストシーンは特に衝撃で最後は驚きのあまり何度も読み返してしまった。
犯行の同期の裏には家庭環境から学校での些細な出来事などが絡まっていて、そこもリアリティがあって良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今さらながら、読了。
映画化されたのであらすじは知っていたが、ここまで救いようのないストーリーとは思わなかった。ある意味偽善的なところがなくすっきりしている。
地方の中学生特有の学校の雰囲気がよく描かれていて、思春期の揺れ動く男子中学生二人、優等生の美月もクラスにいたよね、と思わせる描写だった。
まだ読んでいない方はぜひ -
巷で話題になっていたので読んでみました。松たか子が女教師を演じているのは知っていたので、女教師が出てくるたびに松を思い出した。話は6章からなり、それぞれ主人公の違う5章で物語が進み、そして最後の6章を迎える。面白いです。おれは3章から加速し、一気に6章まで突き進んだ感じですね。映画に岡田将生が出ていたので、きっと犯人役かなと思っていたら、熱血教師・ウェルテルだったとは…。映画を見たいような、見たくないような。
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スピード感がやばい。ある物事って誰が受け取るか、その誰はどんな経験をしてきてどんな人でどんな考え方をするのか、それでどんなものにでもなり得る。“ほんとうのこと”を知ってる人なんてひと握りなんだろうなぁ。言葉や態度とか表に見えるものだけに左右されがちだな私
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誰も幸せになれない本。
この本を読み終えて私はそう感じました笑
ただ、後味が悪いというわけではなく、逆に清々しい気持ちで読了できました。
この本の大きな魅力の1つは、なんといっても人間味溢れる登場人物だと思います。無駄な人物は一切登場させず、その分ひとりひとりにスポットを当てていて、シンプルかつ深い内容になっていました。そのためとても読みやすく、1日で読み終わることができました。
また、この本は登場人物ごとに視点を変え、少しずつ彼らの悩みが彼らによって告白されていくことによって展開されていきます。少し前までは嫌な奴としか思えなかったのに、読み進めていくうちに同情してしまうようになったり、逆に同情が恐怖へと変わっていたり…本当に人は怖いなと思いました。それと同時に、自分が人と接するときも、その人のことを多角的にみて判断することが大切なのだと実感させられました。
それにしてもこの本が湊かなえさんのデビュー作だなんて驚かされました。是非他の本も読んでみたいです。
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中学校の女性教師、森口が主人公。
クラスのホームルームで「娘はこのクラスの生徒に殺された」という告白から、森口やそれぞれの生徒たちの思いが明らかになっていく。
そして、ラスト1ページが特に衝撃的でした。
1「特別扱いすればするほど、大袈裟に騒げば騒ぐほど、犯人である少年少女たちは自己陶酔していくのではないでしょうか。それにあこがれる愚かな子供たちが増えていくのではないでしょうか。」
これは子供だけでなく、大人にも当てはまると思う。
顔も晒されずに、メディアに騒がれてしまっては、自己陶酔するのも当然のことである。
少年法は、未成年が更生するために必要なことではあるものの、未成年が犯罪を犯すことへのハードルが、あまりにも低すぎるのではないかとも思う。
2「愚かな凡人たちは、一番肝心なことを忘れていると思うのです。自分たちには裁く権利などない、ということを...。」
クラスメイトたちは、修哉くんを犯罪者として制裁を始める。ただ、クラスメイトたちは、いったい誰のために何のために、制裁を加えているのだろうか。
それは、自分のためなのだ。自分を肯定するために、人に便乗する。そして、この上ない快感を得るのだ。
そんな人間に、他人を裁く権利などあるわけがない。
3「ねぇ、渡辺くん。これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だとは思いませんか?」
ラストは衝撃的でした。
最後の最後で森口が出てくるという最高の演出でした。
第05章で、修哉に淡々と周囲を馬鹿にさせておいて、第06章で、森口によって次々と否定されてしまう。
いい意味で、とてもイジワルだと思いました。
教師が俯瞰で見た生徒たちの姿にとても共感しました。
子供っぽさを、冷静に分析されたような作品でした。
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モノローグ視点で物語を展開。すぐ読んでしまった。次はどんな展開になるんだろうとワクワクしながら読んだ。本の醍醐味。良い意味で裏切られ続けた(笑)
おもしろかった -
面白いし読みやすいしで1日で読んだ!
そんな復讐思いつかんかった!
復讐に踊らされる周囲。当事者達の過程。
締め方も素晴らしい。
家族を殺された時の復讐とは、人の倫理観とは...考えさせられる一冊。 -
水面に投げられた石のような本でした。
話題作として何度も耳に入りながら、なかなか手を伸ばせなかった本です。読み終わるのはあっという間。
それでいながら、読了後はなかなか鳥肌が消えませんでした。
「聖職者」「殉職者」「慈愛者」などのタイトルのもと、犯人やその母親、級友がたんたんと語る、あるいは綴る物語でした。
真実はひとつでも、その見え方、捉え方は人それぞれで、むしろ見えない部分こそが著者の書きたかったものなんじゃないかと思ったほど。
和紙を重ねるみたいに、話を進めるごとに色濃く事件の全貌が見えてきます。
読んでいて、きっと先には救いなんてないんだろう。
そう思うのに、読み進めるのを止めることができず。もしかすると、見方によっては救いがあるのかもしれないけれど。
いたるところにトゲが散りばめられていて、読んでいてチクリと痛い。
どなたかがレビューで "弱っている時に読むものじゃない" と書かれていたけれど、本当にそのとおりですね。
湊さんの次作は、ぜひ弱っていないときに読んでみよう。 -
筆者の筆力はものすごい!
まさか文庫一冊、就寝前に全て読みきる事になろうとは!
とにかく、
(朝の目覚めが悪くなりそうだ…)と、思いつつ、いつ本を閉じればいいのか、きっかけが掴めないのだ。
読書中、私は思い出していた。
子供達がまだ、小さな赤ん坊だった頃の事を。
あまりにも可愛らしいこの小さな手が、柔らかな頬が、私を見て微笑む表情が、
愛おしくて愛おしすぎて、
(もしも今、誰かがこの子の命を奪ったとしたら、私はその人間を許せるだろうか?)
言いようの無い不安に駆られていた日々の事を。
物語は告白から始まる。
教壇に立ち、生徒に話し始める先生の話は驚く程、ショッキングだ。
「途中、気分が悪くなる様でしたら、帰っても構いません。」
そう促しても、誰一人帰ろうとしないその告白の内容とは。
先生の娘が事故で死んだ。
報道ではそう知らされていた事件だったが、実は娘は殺されたのだ、と言う真実。
そして、犯人はこのクラスの生徒だという事。
あくまで冷静に、取り乱すことなく、淡々と語り続ける先生。
大事な大事な一人娘を殺された母親としての鎮痛な気持は痛いほど伝わるのに、
先生は、
教師としての立場を考えているのか。
能面の様に今は、変えない表情からは、その真意がなかなかつかめない。
しかし。
告白の締めくくりは聖職者としての仮面を外し、粉々に砕いて終わった。
子を殺された母の心理としては、純粋すぎるくらい、純粋であったと言える。
ただ、
事件とは、一本の直線上の上でのみ、行われるのではない。
告白はやがて、
「級友」「犯人」「犯人の家族」…と続き、
事件に関わった全ての人間の心情が浮き彫りになって行く。
そこには、
添うべき同情も存在したが、
「自分の子を殺された」と言う揺るがない事実の前では
ただただ、過ちを犯した人間は報いを受けて当然。
と言う冷ややかな目で見るしか、理性を保つ術がない世界感だった。
子殺し、親殺しなど、陰惨な事件も度々目にする世の中にあって、
本当は救いの手を誰もが求めているはずなのに、
誰も助けてはくれない。
行き場の無い思いを、ぶっとばすかの様なラストであったが、
それも救いでは無かった気がした。-
コメントありがとうございます。
湊かなえ、すごいですよね。
先日、BSの番組に出ていました。
なんていうことのない、普通のお姉さんとい...コメントありがとうございます。
湊かなえ、すごいですよね。
先日、BSの番組に出ていました。
なんていうことのない、普通のお姉さんという感じでしたが、才能ありますね。
まあ、もともと脚本書いていたからですかね。
最新作「母性」も今月中に図書館から借りられそうなので楽しみにしています。2012/11/01 -
koshoujiさんへ
コメントありがとうございます♪
はいっ!湊かなえさんはすごすぎます!
そうですか…
まだ、お姿は拝見した事ありませ...koshoujiさんへ
コメントありがとうございます♪
はいっ!湊かなえさんはすごすぎます!
そうですか…
まだ、お姿は拝見した事ありませんが、
作家の方の容姿は特に気にならないほうなので^^♪
かなえさんの本はいつも図書館の棚で見かける事がないのですが(貸し出し中が多い…)
先日偶然にも『謝罪』を発見し、今読んでいますが、もう~っ…って感じです。
最新作も楽しみですね♪2012/11/02
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ひとつの告白から始まり、起こった事件の全貌が明らかになっていく。
少しの不安がありながらも、事件の真相を知りたい気持ちと、結局誰が悪者なのかを突き止めたいという、野次馬ごころみたいな好奇心で読めます。
ラストはバサッと終わって気持ちいいけれど、この本に文学的な楽しさがあったかと言われると、どうかな〜という気持ち。 -
以前、映画はみていて面白いことはわかっていた。改めて原作を読みました。イヤミスという言葉を知ったのは湊かなえさんであり、この本。
楽しい本ではありませんが、本の中に引き込まれていく良書だと私は思っています。
少年法については昔から疑問に思っている問題ですが、かけがえのない命を奪うものに何歳だろうと一片の擁護価値もないと思っているし、被害者(遺族)の気持ちを最大限に反映しものであってほしい。守るのは加害者でなく被害者の一択。でないと少年犯罪というものは決してなくならない。 -
読み終えた後、とにかく色々考えました。
例えば犯人(直哉)の母親と森口先生は元から知り合いだったのでは?など、本当に視点を変えながらたくさんの考察が出来ました。それぐらい、誰が本当のことを言っているか分かりませんし、どこまで信用してもいいのかと考えさせられます。
私としては、こういうドロドロとしたミステリーが好きなので面白く読ませていただきました。
この森口先生の良い意味で、中学生に容赦しない感じはとても大好きです。 -
イヤミス(読後、イヤな気持ちになるミステリー)の女王、湊かなえさんの傑作と聞き、恐る恐る手に取りました。が、全然いい。むしろ良い。
ジムでバイクを漕ぎながら読み始めたら、気づけば遥か彼方まで漕ぎ進んでました(笑)
5人それぞれの主観と客観のギャップが非常に面白くて惹き込まれます。また、長いセリフも多いのですが、淀みなく続く文章に筆者の文才を感じました。
昔、映画を観たことがあったのですが、うまい具合に記憶から抜け落ちてくれていたおかげで、ラストもしっかり衝撃を受けることができました。ありがとうございます。 -
これがデビュー作…凄いですね。
何故今まで湊作品を読まなかったのか
単純に女性作家が書く女性主人公が余り好きではなかったから(u_u)笑
各章が1人語りで進んで行く…しかし最終的なことは書かれていない。
まあ斬新な一冊です。
そしてデビュー作とは(°_°)
イヤミス作品がほとんどらしいので
心身共に元気な時に他作品も読んでみたいと思います。
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内容はハッピーではないけど面白かった。
この本から、湊かなえファンになりたくさん読みました。 -
湊かなえさんの作品を読むはこれが初めてです。
以前、テレビドラマで「リバース」を見たことがありますが、原作を読んだことはありませんでした。
【あらすじ】
自分の担当するクラスの生徒に四歳になる娘を殺害された女性教師・森口はホームルームで事件の全貌をクラス一同に話して聞かせ、さらに自分が既に復讐を終えたと言い残し、退職する。一見、成功したかに見えた復讐劇だが……?
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これがデビュー作なのか、と驚嘆せずにいられませんでした。
まず、冒頭で「何がどう起こった」のか、森口教諭の視点からあらましが語られます。
続く章で人物を変え、視点を変え、事件の全貌を様々な角度から眺めることになるのですが、それが普通であれば「同じ事件を別の角度」から何度も追うわけですから、読んでいるうちに退屈してくるはずなのです。
でも、この作品は違いました。
文字を追って先へ進み、徐々にパズルのようにA、Bの名前や生徒視点からでは分からない登場人物の名前、立ち位置がパズルのように明らかになるにつれ、同時にこの事件の関わる人物の「(程度に大小はあれど)人間としての歪み」が見えてきます。それは家庭環境であったり、コンプレックスであったり、思い込みであったりするわけですが、それらが相互に作用することによって事件が起こってしまったということが分かります。
起こったことの時系列を書き出してみると、事は至極単純であるにも関わらず、その単純さを感じさせないところは作者の「人物描写」の力量だと感じました。登場人物たちはどこかにいそうな人々であり、人物描写が強い物語とはいえ、(作り物っぽく)過剰に造りこまれていないところが良かったです。
途中のいじめ描写、恋愛描写が濃厚になりすぎず、そちらへ偏らないところが物語のバランスとしてもちょうど良いと感じました。ただ淡々と(とはいえ語り手の感情はしっかりと伝わってくる)、人物を変えて事件を追っていく。そんな物語でした。
読んでいて楽しい類の話ではありませんが、読後にはある一種の充実感のようなものがあります。
映画化にあたり、監督を務められた中島哲也さんインタビューを読めば、必ずもう一度読みたくなるのではないでしょうか。私は、映画監督というものが「物語」ひいては「人物」をどのように捉えているのかを知るとても良い機会を頂いたような気持ちになりました。
それを踏まえてもう一周、全てを知った私としてこの物語を再読してみたいなと思いました。
ありがとうございました。 -
湊かなえ作品はお初でした。2009年の本屋大賞受賞という作品でしたので、どんな感じかを掴みたかった。
結構、グイッと引き込まれましたね。
人間の失敗作、と言われたら、逆上しますよね。
楽しめました。⭕️ -
一つのクラスで起きたおぞましい事件、それに対する担任教師の復讐を様々な視点で捉えた連作短篇小説。事件そのものは最初の章で終わるため、後半に行くに連れ目新しさはなくなっていくものの、事件の「その後」や証人としての別視点で捉え直すことにより、多角的に事件が浮かび上がっていくのは面白い。最終章はややアクロバティックな展開だとは思うが、復讐譚の完結としては非常に綺麗な締め方になっている。どれだけ道を外れても、教師である以上は「指導」という原則から逃れられず、完全な一個人の復讐にならないというのは色々と後味が悪く、考えさせられるものがあった。独白形式ながらもテンポがよく、またキャラクターも非常に人間臭いのが良い。