猫鳴り (双葉文庫)

制作 : ヌマタ マホカル 
  • 双葉社
3.32
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本棚登録 : 2940
レビュー : 520
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575513783

作品紹介・あらすじ

ようやく授かった子供を流産し、哀しみとともに暮らす中年夫婦のもとに一匹の仔猫が現れた。モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた…。「死」を厳かに受けいれ、命の限り生きる姿に熱いものがこみあげる。

感想・レビュー・書評

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  • 少し暗い話だなーと思いながら読んだ。少女の頃のアヤメがなんとも可愛げがなく、とんでもない子を想像してたら、第二部のアヤメは謎過ぎて謎過ぎてもうワケ分からなかった。なのに結婚したって…えーーー!誰と?!と気になってしまった。まさか行雄ではないよね。

  • ようやく授かった子供を流産し、哀しみとともに暮らす中年夫婦のもとに一匹の仔猫が現れた。モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最後の日々を迎えていた…。「死」を厳かに受けいれ、命の限り生きる姿に熱いものがこみあげる。

  • 評価は別れそうだけど、本当に、ひっさしぶりに本読んで号泣。まさしく号泣。
    これは、間違いなく生き物と暮らしているかいないか、また、暮らしていても、別れを経験しているかどうかで感じかたがガッツリ変わってくるでしょう。
    もう、読むの辛すぎた。
    なんて本書きやがる、と思った。
    レビュー書きながらまた泣けてきた。
    ああ駄目だ。
    せめて2部で夫婦とモンの幸せだった頃の事をもっと見たかった。
    3部からも、書かれていない月日が、なんだかんだ幸せだったんだろうという事は伺えるけれど。。。
    とにかく、この本の薄さに油断してはいけない。
    感動と呼ぶべきかどうか解らないけど、ふいにザックリやられる。
    しばらくは、再読しないほうが身のためという気がした。

  • 出会ってしまった、というか出会わされてしまったのね、猫と。こんなことになったら飼うしかないじゃないか。

  • 終章で悲しくて悲しくて、涙が止まらなかったのは
    8歳で天国へ逝ってしまった愛犬との最後の時間が甦ってきたからだ。
    犬や猫は、きっと健康に過ごそうとか長生きしたいとか考えないんだろうな。
    生き物(人間も含む)を美化しないどころか醜さも剥き出しで
    甘さの欠片もない物語なのに、
    キラキラとした大切なものを受け取った気持ちがするのです。
    不思議な物語だな。

  • 「猫」と書いてあるだけで手にした『猫鳴り』は、その気軽さに反して衝撃的な内容でした。重くて湿っぽいし、目をそむけたくなるような後ろ向きな感情や心理をこれでもかというくらいに炙り出してくる。とくに最後の章は、年老いた主人公と猫が過ごす最後の時間を濃密に描いていて、生きることの先に自然に在るだけの死をゆっくりと丁寧に見せてくれる。厳粛に命と向き合う境地に至る人間の心模様と、静かなのに力強く際限ない筆致は、見事としかいいようがないのですが、何度か心が折れそうになった。

  • 猫が好きな人や猫と暮らしている人ならばきっと、様々なことを思ってしまうだろう内容の小説だった。
    残酷な描写や悲しい描写も出てくる。だけどそれは紛れもない現実で、その現実から目を背けずに書ききっているところにむしろ愛情のようなものを感じる。

    ようやく授かった子どもを流産し、悲しみとともに暮らす中年夫婦のもとに1匹の子猫が現れた。
    “モン”と名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。まるですべてを見透かしているかのように。
    そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた。

    悲しみを抱えた夫婦のもとにやってきた1匹の猫。妻はその存在を気にしながらも、はじめは飼うことをためらう。それはその猫を見ていると、否応なしに流れてしまった子どもの存在を思ってしまうから。
    悲しみに溢れたプロローグ。何度も庭先にやってくる猫を1度遠くに連れていく描写はとても残酷で、それなのに猫の持つ生命力を強く感じた。

    ざっくり3章に分かれている物語は、子猫のモンが現れ夫婦の家に居付くまでが1章、そして最後の章はモンが年老いたあとのお話で、その間にある2章目は夫婦とはまったく縁がない1人の少年が主人公。
    不登校になり鬱々とした日々を過ごす少年の前に、時折現れるモン。
    ある日少年の身に起きた、動物の命と向き合った数日の出来事は、果たして少年を変えるのか否か。

    猫に限らず、動物とともに暮らしその命を全うする彼らの姿を見るのはとても辛く悲しい作業だと思う。
    その分大きな幸せをくれるものの、最期の時はやはり悲しい。
    簡単に命を手に入れて、無責任に手放す人間が多く存在する今の世の中に向けたアンチテーゼのような内容にも思えた。

    そんな今日、我が家で飼っていた小鞠の6回忌だったりする。時が過ぎてもやはり忘れないし、愛おしさもすぐに思い出せる。動物と暮らし愛するということは、そういうことなのだと思う。

    ちなみにタイトルの“猫鳴り”とは、猫が甘えている時にゴロゴロと喉を鳴らす音を登場人物が密かにそう呼んでいることから。
    以来私も猫がゴロゴロするたびに、猫鳴りだ、と思ってしまう。

  • 「猫鳴り」=猫が嬉しくて喉をゴロゴロならす様 と本書では物語中の飼い主が定義したようですが、この「モン」と名付けられた猫の存在感は大きく、子供を流産し、胸の内で葬るしか出来なかった夫婦の、自分達自身の心の反射板がこの猫だったように感じました。
    彼女のデビュー作品でミステリー大賞にもなった「9月が永遠に続けば」を以前読んだ私は、いつどきどきの、あるいは殺伐の展開になるのかと、それなりの覚悟を持って読み進めていきました。確かに書き出しは不穏な雰囲気なんですが、本作は意外や意外、オドロオドロした事件も起きなければ、かなり穏やかな作風で、こと最後の3章では、飼い主とペットの最期を迎える描写の細やかさに胸がしめつけられ、感涙にむせぶ運びとなってしまいました。
    「今、起こりつつあること(死ぬこと)はごく、自然なことなんだ」と老猫が身を呈して静かにご主人(こちらも老爺)に言っているようでした。最終章のために、1章、2章を作ったのではないかと思ってしまうほどに、最期の章は作者の伝えんとする気持ちが込められていたように思いました。死を受容するということを真摯に見つめる一冊です。

  • とある縁で手に取ったのですが、不思議な読後感の一冊でした。

    静かで淡々とした筆致の中に、どこかゾッとするものも感じつつ、
    “いのち”とどう向き合いたいのかを、つきつけられたような。

    この方の著作は初めてでしたが、、ホラー系に強いとのことで、なるほどと。

    物語の大筋は、一匹の猫の生涯を追いかけた、とでもいいましょうか。
    期間的には約20年に渡りますが、焦点が当てられているのは3つの時代。

    モンという名の猫の、“誕生”と“青年期”、そして“終末”の様子について。
    ん、“見事に生き切った”とのフレーズが、スルッと落ちてきました。

    それら全てでの3部構成ですが、それらに共通するのは“いのちの喪失感”、
    生きることは死に向かうこと、、ある種の“絶望”と共に綴られていくのは、さて。

    ふと『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』を思い出しました。
    “身近な別れ”を複層的に扱っているとの点が、共通しているからでしょうか。

    自分の子どもに“死”という現象を伝えるとき、参考にしてみようと思った、そんな一冊です。

  • ぐるぐる、と鳴る猫鳴りが切なくて、とても愛おしく胸に響く。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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