仏果を得ず (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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レビュー : 502
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514445

感想・レビュー・書評

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  • 文楽をテーマにした、三浦しをんの本。最近三浦しをんを読む機会が多いが、特定の職種に絞って、しっかり取材をしたうえで、物語にするのがうまい作家ですよね。若干ストーリー展開にマンネリ感がないわけではないけれど、職種の特色をストーリーに盛り込んで展開するので、楽しめる。大阪にいる間に、文楽を一度見に行きたいものです。

  •  三浦しをんの「舟を編む」を読んで彼女の作品をもう少し読んでみたいと思った。そこでこの作品を知った。文楽をベースにした物語であり、帯に同氏の「あやつられ文楽鑑賞」と併せて読むのが良いと書いてあったので素直に両方読んだ。第1章を読んだところで、どちらを先に読むか悩んだ。何しろ文楽には全く知識がない。そこで三浦氏が文楽にはのめり込んでいく様子を自ら描いたエッセイ「あやつられ文楽鑑賞」を先にして正解だったと思う。これを読んでいなければ、この物語を理解するのがかなり遅れたことだと思う。

     文楽研修所出身の健が義太夫を語る大夫として、三味線の兎一郎らと共に成長していく姿を描く。師匠や兄弟子たちとの確執があったり恋をしたり、息をつかせぬストーリーはスリルさえ感じる。

     私は文楽が全くの初心者であったが、それでも読むには問題なかった。かえって文楽に興味が湧いた。一度も見たことがないので、ぜひ鑑賞してみたいと思わせる小説であった。

    • yama40さん
       タイトルの「仏果を得ず」は仮名手本忠臣蔵に出てくる忠臣郷右衛門の「思へば思へばこの金は、縞の財布の志摩黄金。仏果を得よ」から取ったものか。...
       タイトルの「仏果を得ず」は仮名手本忠臣蔵に出てくる忠臣郷右衛門の「思へば思へばこの金は、縞の財布の志摩黄金。仏果を得よ」から取ったものか。著者は明らかにしていないが、『仏果』に関わる記述はここしかない。
      2014/12/31
  • 文楽にのめり込む、いたって普通の青年の健くんのお話。
    普通の家の出身にややコンプレックスを抱きつつ、芸の道を極めるために奔走する姿はとっても熱くて、まぶしくて、かっこよかった。
    ちゃらんぽらんだけど芸を極めた師匠だったり、少し悲しい過去を背負った謎めいた兎一郎さんだったりが
    わいわいしつつ健くんを支えて成長していくさまがすごくよかった。
    文楽見てみたくなりました。
    三浦しをん先生のレパートリーの豊富さにびっくり。

  • 修学旅行で観た文楽に心打たれた高校生が、文楽の道を歩んでゆくお話です。


    文楽の世界には世襲もありますが、実力重視の世界らしいです(格好イイ!)。研修所を経て、文楽の世界のトップに上り詰めていくことも可能だそうです。


    文楽は「太夫(語り)」「三味線」「人形遣い」の三業から成り立ちます。この物語で主人公の健(たける)は太夫としてその道を極めようと日々精進します。一癖も二癖もある師匠や相方(三味線)との関わり。恋愛と芸の道の両立。自身が演じる(語る)文楽作品の主人公たちの心情を探り、自分に重ね、成長していきます。


    日本人なのに、恥ずかしながら文楽のことを全然知りませんでした。著者三浦しをんさんの文楽に対する愛情がとても深く、それが伝わる作品です。文楽の舞台描写は、文楽の知識のない人(もちろん僕もそうでした)にでも、分かりやすく、かつ熱量高く表現されています。素晴らしい一冊です。

  • 文楽のことは難しかったけれども、キャラがいい。
    プリンを見ると兎一郎を思い出してしまうし、
    健が居候しているラブホテルの店長の誠二もよし。
    真智さんとの恋愛におぼれているときに、誠二が
    相手に期待したりするとお互いだめになると諭す場面は
    印象的。

  • 文楽の世界がかいま見えるのはとてもおもしろい。しかし恋愛描写はいるのか、これ…。この人の小説には、なんでこう取ってつけたような女の人しか出てこないのか。もう男同士の友情だけ書いていてくれればいいのになあ。

  • 主人公の健は、人形浄瑠璃の義太夫。
    義太夫の魅力にとりつかれ 銀大夫の弟子入りし、養成所を経て技芸員として10年の若手の太夫。

    その健が、芸のためなら女房も質に入れかねない えらくとっつきにくい三味線 兎一 と組まされるところから話がはじまる。

    文楽の名作(と思しき)章題が並び、それぞれの演目にからめて 健 をはじめとする登場人物の私生活が語られ、同時に 健 が一歩一歩伝統芸の道を踏みしめて行くさまが描かれる、という よくある成長モノ。
    スポーツ小説の手法ですね。

    題材が古典芸能であるからか、まほろ駅前シリーズや なぜか人気の 舟を編む よりも登場人物の可愛げが引き立つ。
    成仏なんかするかや!と雄叫ぶさますら愛おしい。
    三浦しをんが、ある意味バランスの悪いダメンズ揃いな 太夫や三味線を 慈しんでいるのがよくわかる。
    この人、これを書いたのは30歳かそこらのはず。
    こういう女性が、男性を成長させるのでしょうね。
    でも、三浦さん独身なんだよね.... 勿体ない?それとも一人だけに固定する方が勿体ない?

    傑物は、決して女を優先したりはしない、ということを女はあらためて知る必要があるかもしれませんねぇ という文楽もなにも関係なく、菩薩・三浦に弟子入りしたくなる作品でした。

    ところで、この話、橋本・文楽騒動と関係はあるのか?と思ったが、ない。
    単行本が出たのは2007年。
    橋本騒動は2012年。

  • 文楽の修行を通して若手が成長していくさまを描く。演じるに当たり演目の登場人物の真理がわからず悩み、実生活の問題を通して、人のサガに気付き、演者としてステップアップしていく。

    文楽というものに疎く、また、知らなくても楽しめるように配慮されているのも感じるのだが、肝心の演目のストーリーが、一読しただけでは頭に残らず、先に読んでいっても主人公の課題が開け、スリリングなステップアップの瞬間を共感しづらいと感じた。

    文楽に少し興味が湧く。足を運ぼうとまでは思わないが、テレビでやっていれば観てみようかなとは思う。

  • 前に読んだのですが
    文楽を見て再読。

    やはり面白いです。
    そして号泣しました。
    人が好いんです。

  • 「あやつられ文楽鑑賞」を読み終えた後、本屋の棚を探す。本当を言えば、生の文楽を体験してから読もうかとも思ったが、辛抱たまらず読み始める。

    何かというと扇子で頭を叩く銀太夫師匠。
    小学生のミラちゃんがポツリと云う。「健せんせ、おじいちゃんに怒られて楽しそうやったね」。
    いろいろな具材をクルッっと包んでオムライスが出来るのを見るような科白。このタイミングでこの一言。しをんさんは凄い。

    墓の近くにラブホテルというのは、中沢新一「大阪アースダイバー」にあった話。実際、生国魂神社の周囲はお寺とラブホテルが多くて、国立文楽劇場も近い処。僕は大阪の一人暮らし数か月だけれど、この小説の舞台もチョットわかるようになった。でもさ、無理のある道具立てだと思う。まあ、面白いからいいかな。

    「舟を編む」の時もそうだったけど、恋愛の始まりが男の主人公の都合良過ぎじゃないかな。女性作家なのにね。著者は健をモジモジした恋愛より、ジタバタヤキモキする恋の炎に放り込みたかったということかな。

    恋愛や人間関係から天啓を得て、浄瑠璃の人形に命を吹き込む。そのくだりは面白いのだけれど、もう少しゆっくり語ってもいいんじゃないかな。最初はちょっと強引に感じたが、読み返してみると、そうでもなかった。僕の頭が鈍いのか。

    終盤、勘平に健の意識が同化していく辺り、ゾクッとした。もっと読んでいたかった、と思ったんだから、良い作品なのは間違いない。
    兎も角、生の文楽を観に行かなくちゃ。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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