仏果を得ず (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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レビュー : 502
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514445

感想・レビュー・書評

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  •  「仮名手本忠臣蔵」が好きだと言う健に兎一郎は「長生きすればできる」と言う。何とも無責任な!と思ったけど、兎一郎という相三味線と生涯をかけて芸を極めることになる健は、「大丈夫です。長生きしますから」と答えるんだよな。カッコいいと思う。長生きはカッコ悪いみたいに言う人もいる。かつてのオイラもそうだった。きっと自分になにができて、なにがしたいのかがわからなかったんだと思う。いまは若い頃よりやりたいことがたくさんある。若い頃みたいにはできないことも増えてきたけど、それでもやりたい。そんなふうに暮らすことが素敵だと素直に思えるようになった。健の長生きは加齢によってさらに芸が昇華されるということだけど、オイラが長生きしたいのはこんな楽しいこと止められない!っていう理由だ。楽しいことばかりじゃないし嫌なこともたくさんあるんだけど、それを味わえるのも生きているからだ。
    ”金色に輝く仏果などいるものか。成仏なんか絶対にしない。生きて生きて生きて生き抜く。俺が求めるものはあの世にはない。俺の欲するものを仏が与えてくれるはずがない”
    まったく同感である。でも、誠二は健にとってある意味、生き仏かもしれないな。
    健が真智さんとミラちゃんと幸せに暮らせることを切に願う!

  • 「舟を編む」に比べると文楽へのストイックさが伝わりにくかった。しかし著者の文楽愛は伝わった。

    ヒロインとの恋と文楽に苦悩しながら、成長していくストーリーだが、ラストは兎一兄さんとの恋が成就した錯覚に陥った。

  • 文楽なんて見たこともないし、興味もなかった。でも読み終わったら、もう見たくてみたくてたまらなくなる。三浦しをん版「タイガー&ドラゴン」ってところだろうか(タイガー&ドラゴンは宮藤官九郎が脚本を書いた落語家のドラマ)
    難しいこと考えずに、あははと笑いながら読める。読んで幸せになって、なんかやる気がでる。三浦しをんのお仕事ものってそういうところがあるよね。

  • 登場人物が、全員女性好みな感じ。
    (主人公は情熱的且つモテるし、相棒は無愛想だが実力のあるイケメン、女性陣もさっぱりした人ばかり)
    予想以上に恋愛小説。
    でも、普通の生活送っていたら興味ももたなかった世界を、ここまで読ませて、ちょいちょい泣かせるのはとても良かった。
    登場する文楽は悲劇なものばかりなのに(そういうものなのかな?)、気持ちのいいハッピーエンドで読後も爽やか。
    個人的には、日頃の心のうちのもやもやが言葉にしてあった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「気持ちのいいハッピーエンドで読後も爽やか。」
      勝手な想像だけど、話を文楽と対比するコトで、新たな文楽ファンを生み出す作戦なのではないでしょ...
      「気持ちのいいハッピーエンドで読後も爽やか。」
      勝手な想像だけど、話を文楽と対比するコトで、新たな文楽ファンを生み出す作戦なのではないでしょうか?
      きっと三浦しをんぼ思惑通り、「チョッと観てみようか」と思う読者が多く出た筈です。。。
      2013/01/04
  • 文楽版「ガラスの仮面」だなと思った。
    自分ではない何者かになって語るという芸能の魔力は、人形浄瑠璃の義太夫にもあることを初めて実感した。
    歌舞伎もそうだが、昔からずっと継承されている物語を、いかに実感を持って演じるかという世界は、極めても極めても届かない奥の深い世界なのだ。
    その魔力に魅入られた健の様子が、時に微笑ましく、時にもどかしく、いきいきと描かれている。
    たぶん、実際の文楽を鑑賞しても、この物語に描かれているような世界を体感できるかどうかはわからない。小説でスポットライトを当ててくれるから、「ああ、いいな」と思えるのではないだろうか。
    人形遣いの人の話も読んでみたいと思った。三浦しをんならどう描くだろうか。

  • 今まで全く興味がなかった文楽だったが、健同様、またたく間にはまってしまった。この本とともに「あやつられ文楽鑑賞」も読み、結果、劇場にも足を運ぶこととなった。この本のおかげで文楽の魅力を知ることができ、出会えてよかったと思う。

  • 軽め小説
    かかった時間150分弱?

    正統派青春文楽小説。
    「ピアノの森」によく似た読後感。義太夫の道を歩む、時に不器用だが真摯で才能ある若者の話。
    「ガラスの仮面」のように、文楽の演目ごとに、人物を主人公がいかに演じるかの悟りと、悩んだり恋をしたりする生身の主人公が重なり、熱くなるし爽快である。
    三浦しをんの作品は、「まほろ駅前〜」しか読んだことがなかったのだが、そのときも、とても楽しんで読めた。ひとのまっとうな、まっすぐないとなみを、美しい言葉でつづったものがたりは、なんだか人生を豊かにする。

    じぶんも、仕事について、ちょっと高みを目指してみようかとか思ったり思わなかったり、思ったりする。

    • aida0723さん
      ”ひとのまっとうな、まっすぐないとなみを、美しい言葉でつづったものがたりは、なんだか人生を豊かにする”
      素敵な感想です。
      ”ひとのまっとうな、まっすぐないとなみを、美しい言葉でつづったものがたりは、なんだか人生を豊かにする”
      素敵な感想です。
      2019/07/01
  • タイトルから中身が想像できなかったが最後まで読んで納得するとともにしみじみ…。内容が素晴らしい。長く芸に悩み人を深く理解せねば到達できぬ処があり、また、それを目指す人がいる。こういう物語はとても好きです。

  • 大阪もんま本大賞の作品全作品を読破の目論み第1陣で読みました。大分前に買っていて、読まねばと思いながらそのままになっていました。
    久しぶりに面白い本を読んだ気分。文楽の魅力が余すことなく表現されていて、さらに読者を引き込む構成。描かれている登場人物もそれぞれに魅力的。
    久しぶりに文楽を生で観たくなりました。

  • 文楽、人形浄瑠璃を観に行きたい。
    日本の古典芸能に人生を欠ける様には心を打たれるものがあった。
    与えられた役を理解し、演じ、人に伝える奥義を考える人生というのは、大変労力が必要だがやりがいのある人生だろう。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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