仏果を得ず (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 3933
レビュー : 502
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514445

感想・レビュー・書評

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  • 祝・文庫化☆

    健こと健太夫(たけるたゆう)は文楽の研究所を出て、義太夫を語るプロの技芸員として修行中。
    師匠の銀太夫に、三味線の兎一郎と組むように言われる。気難しい兎一に振り回されながらも、成長していきます。
    「女殺油地獄」の与兵衛の妙な色気の秘密など、面白かったです。
    仮名手本忠臣蔵の勘平腹切の段は、すごく盛り上がります!
    旅行も多い健は、ラブホテルの一室に住んでいるんですが、管理人の誠二とは友達。
    恋愛に悩む健に誠二の言う「幸せにしたろとか、助けてあげんとか、そんなんは傲慢や。地球上に存在してくれとったら御の字、ぐらいに思うておくことや」ってのは、決まった相手のいない人間のセリフだが〜悩みすぎる人には、けっこう良い忠告かも。

    単行本は、2007年11月発行。

  • 面白かった!文楽は一度見たことがあるだけでも、充分楽しめる。
    ただ、演目が健の気持ちと重なるので、知っていたら楽しさ面白さもグッと違うのかもしれない。
    文楽って重くておかたいイメージだったけど、登場人物がゆるいので、たいへん身近に感じた。
    「油地獄」の与兵衛が「女にモテそうなヤンキー」とか言われてるし!

    「小学校三年生の女の子に、甘いって言われた。やっぱり俺、世話物を語るのに不向きなのかもしれない。」なんて言ってる健が、どんどん成長していくのを見守ってくのが楽しい。

    「登場人物はすべて、舞台のうえで精一杯に、それぞれの生を生きているだけ。本当にそうだ。そして、そんな彼らを生かす難しさといったらどうだ。」
    「そうだ、このひとたちは生きてる。ずるさと、それでもとどめようのない情愛を胸に、俺と同じく生きている。文字で書かれ音で表し人形が演じる芸能のなかに、間違いなく人間の真実が光っている。」
    「だが、この場内で本当に生きているのは、不思議なことにいま死にゆかんとする早野勘平ただ一人だ。命を持たぬはずの勘平の人形だけが輝きを放つ。」
    どんどん健が成長していく様子がうれしい。あ、また時代を伝える系?こういうのに本当に弱い。
    これまでの300年とこれからの300年、もちろん変化もあるだろうけど、受け継がれていくもの思う。

  • 引き込まれたぁ

    すごいねぇ
    「すまし顔の仏果なんぞ要るものか、俺は生きて生きて生き抜いて、鬼になっても生きぬいて我が意を通してやるぅぅぅ」って、ギトギトの執念を描いているのになんかしっかり現代的でサラッとしてる。

    義太夫の人情の難しいところを健の恋の道ゆきになぞらえて解説してくれるなんて、なんとまぁ心憎い。

    巧いなぁ。読んでよかった。


    -追記-
    芸能などの“表現者”にはその技を極めるために「この技を得るためには、その心境に到達するためなら死んでもいい」という肉体を通り越す程の精神性の高まりがあるようだけれど、そもそも“表現”は肉体でおこなうものだから、「死んでもいい」と思うと同時に「死んだら何にもならん!」と、肉体への執着も人一倍持っているんだろうなぁ
    だから「仏果を得ず」なんだな

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「巧いなぁ。読んでよかった」
      読むのが愉しみ~
      「あやつられ文楽鑑賞」を読んで、早くこの作品を読みたくなっているんです。
      「巧いなぁ。読んでよかった」
      読むのが愉しみ~
      「あやつられ文楽鑑賞」を読んで、早くこの作品を読みたくなっているんです。
      2012/08/30
    • sophyさん
      nyancomaruさんへ
      特に力が入っちゃったレビューに「いいね!」をつけていただいて
      とってもうれしいし、張り合いがでました。
      ありがと...
      nyancomaruさんへ
      特に力が入っちゃったレビューに「いいね!」をつけていただいて
      とってもうれしいし、張り合いがでました。
      ありがとうございます(*^o^*)
      2012/09/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「張り合いがでました」
      他のも拝見させて貰いますね!
      「張り合いがでました」
      他のも拝見させて貰いますね!
      2012/09/07
  • 人形浄瑠璃・文楽の知識が無くても興味をそそられる描写が多い 師弟関係など伝統芸能界が垣間見えた

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      三浦しをんのエッセイ「あやつられ文楽鑑賞」を読みましたが、観察眼に脱帽!絶対に「仏果を得ず」も面白いと確信!近々読みます。
      三浦しをんのエッセイ「あやつられ文楽鑑賞」を読みましたが、観察眼に脱帽!絶対に「仏果を得ず」も面白いと確信!近々読みます。
      2012/08/27
  • 文楽という新世界を開かせてくれた!
    主人公の健が義太夫の芸の道を悩みながらも猛進する姿がすがすがしかった。
    現実の恋と人形浄瑠璃の世界のどうしようもなく人間くさい恋がうまく合わさって健が語りながら主人公になりきっていくところが素晴らしかった。
    師匠をはじめ個性的な人々がみんな愛らしい。
    文楽ってちょっと敷居が高かったけど、昔も今も変わらないんだなと思った。観に行ってみよっ!

    • 九月猫さん
      mao2catさん、はじめまして九月猫と申します。
      フォローしていただいてありがとうございます。

      この本、おもしろそうですね。
      文...
      mao2catさん、はじめまして九月猫と申します。
      フォローしていただいてありがとうございます。

      この本、おもしろそうですね。
      文楽、大好きなので、ぜひ読んでみようと思います。

      mao2catさんは萬斎さんの本のレビューを書いておられるし、狂言がお好きなのでしょうか?
      わたしは狂言も好きなのですが、生では茂山狂言しか見たことないんですよね。
      和泉流狂言もいつか生で見てみたいです。

      「大阪本町住み・猫飼い・HNがmao」という友人がいるので、なんだかmao2catさんには勝手に親近感が湧いてしまいました(* ̄∇ ̄*)
      こちらもフォローさせていただきましたので、これからよろしくお願いします♪
      2013/02/13
    • mao2catさん
      九月猫さんはじめまして。私が先にフォローさせていただいたのにごあいさつもせずにすいません。

      私はこの本を読んで文楽に興味を持ち、何回か文楽...
      九月猫さんはじめまして。私が先にフォローさせていただいたのにごあいさつもせずにすいません。

      私はこの本を読んで文楽に興味を持ち、何回か文楽を観に行きました。
      本を通していろいろ趣味が広がるので楽しいです。

      狂言も去年観に行って今ハマり中でございます。
      特に萬斎さんがステキすぎて、もうメロメロです(笑)
      私は茂山狂言はまだテレビでしか観たいことがありませんが、今度東西狂言があるので、観比べるのも面白そうですね。

      こちらこそよろしくお願いします。
      2013/02/14
  • 著者は「芸(または専門職)」が好きなのであろう。「芸」を小説として表現出来る能力が羨ましい。

    手放しでおススメ出来る(但しR15)。

  • おもしろかった。
    落語心中を見た時のわくわくを思い出した。

    みんな可愛くてカッコよくて魅力的だった。
    兎一郎は特に好きだなぁ!
    そして何より文楽の世界の素晴らしさ。
    圧倒的熱量や芸事の真髄を
    サラッと描き切っている。
    さすが三浦しをん。

  • 文楽に魅せられ単身大阪に出てきた健
    伝統芸能世界の芸に悩み、突然の恋に悩む姿を描いた
    青春もの

    三浦しおんさんの描く健の文楽の解釈がすごくイイ!

    文楽の演目って
    も~ホントに登場人物の男の人が
    ど~しようもないヤツが多すぎて
    いつも感情移入できんな~と思ってたのよね

    そこのところをズバッと切り込んでくれているのがめちゃくちゃよかった~

    昔も今も人間ってしょ~もないことを考え
    しょ~もないことをして
    仁義や忠義や愛や恋や人間関係に悩む

    でもそれが人間だからね~
    生きてるってそんなこともひっくるめて生きるってことだからね~

    なんて…
    すごく単純だけどこれってすごいこと。

    健太夫の悩みや生き方を通して人生の意味を知る~って感じです

    仏果なんていらね~ぜ!
    それより生きるってことの方がすごいじゃん!
    と…パンクな解釈がイイ~

    読み終わったらめちゃめちゃ文楽が見たくなりました
    たぶん、前に見た演目でも全然違う目線で見ることができるんだろな~

  • 今年1冊目。
    浄瑠璃の世界に浸っている男の、青春小説というんだろうか。
    各章ごとに物語の起伏がついていて、芸に対しての熱量を強く感じるところもあれば、恋愛での甘酸っぱい想いを感じられたりと、健を通じて様々な気持ちが飛び出してくる一冊。

    また健が丁度よく情けなく、肝心なところで頼り甲斐があり、最後まで投げ出さない奴だからこそ、応援したくなってしまった。

    そういう意味では、三十代にして今を駆け抜けるように生きている健を通じて描かれる、正に青春小説なのかもしれない。

    また、その他の登場人物も大好きになること請け合い。
    三浦さんが描く人間は普通じゃないようでいて、リアルで、なんというか友達になりたい人が多いなと思う。


    三浦さんは浄瑠璃が好きなんだろうか。

  • 2007年三浦しをん作品。文楽の道を志した男達の物語。
    自分が初めて読んだ三浦しをん作品は『まほろ駅前多田便利軒』で、萩原健一が好きな自分は、これは現代の『傷だらけの天使』だ、と興奮しました。この作品も、つい萩原健一主演ドラマを思い出し、これは現代の『前略、おふくろ様』だ、と感動。
    大阪・なんばと東京・深川、文楽と料亭、と、設定は全く違いますけど、作品全体漂う江戸情緒と、伝統的な世界に生きる男達が『前略、おふくろ様』を連想してしまうんですよね。主人公の名前も健太夫ですし。
    太夫の健と、健と組んで三味線を弾く兎一郎の二人は、自分の脳内キャスティングではあの頃の萩原健一と寺田農でしたね。
    文楽知識ゼロの自分でも楽しめるエンターテイメント性がありました。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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