傍聞き (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514537

作品紹介・あらすじ

患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行為が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 傍聞き(かたえぎき)
    かたわらにいて、人の会話を聞くともなしに聞くこと。

    確かに、直接聞くより効果あるかも?
    例えが間違ってるかもしれんけど、本人に直接褒めるのも良いけど、それより周りの人に言って、また聞きする方がより嬉しい(説得力がある)

    ここでは、女刑事さんの娘が、その手法を利用する。でも、こんなの娘から言われるとツラい。
    狙いが違ったとこにあるのが分かった瞬間、ホッとする。
    何も殺人事件だけが、刑事の仕事ではないからね。

    この作品をメインに、自分を犠牲にしても他人を助ける職業の人(消防士とか)のミステリー4編!

    なかなか、読み易く面白い(^_^)v


  • 迷走
    傍聞き
    899
    迷い箱
    以上短編4作

    どの話も長さを感じさせない十分な読み応え。

    いずれの話もテンポ良く話が進みながら、
    そこかしこに自然な様子で緻密な伏線が
    張られていて、長編小説ようなしっかりした
    満足感を感じました。


    『傍聞き』
    刑事の羽角啓子と娘の菜月の続編(前編)
    引き続に読んでいきたい物語。

    『迷走』
    作中の登場人物を含めて、一読者の自身も
    しっかり巻き込まれていく感が楽しかったです。

  • 短編4作品収録
    作品それぞれに職業の異なる人が主人公
    短編だけどいずれも中身の濃い内容で楽しめました

  • 患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行為が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞!

  • 救急隊員、刑事、消防士、更生施設長。身近ではないが、いつも世の中を静かに支えてくれている人たち。そんな人たちも帰れば子供と喧嘩ぐらいするし、恋もする。失敗することだってある。理不尽なことで傷付いたりも。悩みや辛さ、苦しさはそれぞれでも、仕事に家族に真っ直ぐ向き合う姿がかっこいい。誰かの心の支えとなっている4人が羨ましくもある。

    自分の職業に誇りを持つって案外難しかったりする。私もいつ辞めようと思いながら毎日出勤している。大多数の人がそんな風に淡々と日々を乗り越えてるのではないかとも思う。でも、何かもう少し自分に出来ることがないか探してみたくなった。嫌なことがあっても、大きな失敗をしても、筋が通っていればきっと大丈夫。ほっとするような、背筋が伸びるようなそんな本。

  • 救急隊員、刑事、消防士、更生保護施設職員。主人公は人命に関わる職業。予想のつかない展開。余韻を残す終わり方。
    迷走:救急車の不可解な迷走/傍聞き:漏れ聞き効果を最大限利用した警察小説/899=要救助者

  • 主人の本棚から拝借。4編の短編小説は、どれも緊迫感を感じられて、職業ミステリー風に展開されていきます。事件性を伴うようなこの手の作品って、人間の心の闇を暴くことが多いような気がするのですが、こちらはその逆。心根の一筋の光を照らしてくれる素敵な作品です。おち(からくり)には気持ちよくされ、心がプチ感動できること必至。とりわけ、表題作「傍聞き」が登場人物も身近に感じられ、発想の面白さにぐっとやられました。面白い!おすすめしたい一冊です。
    傍聞き手法、私も実践してみようか?(笑)

  • 短編4話。ミステリーとまではいかない謎解きが入る。救命士、消防士が題材の話はまずまず。

  • 短編の面白さを再確認させてくれるミステリ作品集。

    50ページの短編が4作品なので、いまどき珍しいくらいの薄い文庫本。
    しかしこの薄さと物語の内容はまったく一致しない。

    この著者はとてつもない力量の持ち主だ。刑事や消防士、救急隊員がそれぞれの作品の主人公だが、そこで起こる事件や秘密や主人公が抱える思いが結集して、濃密な物語に仕上がっているのだ。そして最後にはあっと驚く結末がちゃんと用意されている。
    個人的には表題作よりも、患者を乗せたままサイレンを鳴らして夜の街を走り回る救急車内での出来事を追った「迷走」が面白かった。

    もっと読んでみたい作家だ。

  • 最後の迷い箱よかったです。
    人の心が動くときが感動。これだから本を読むのやめらんないって感じです。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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