先生と僕 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 1785
レビュー : 184
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514728

作品紹介・あらすじ

都会の猫は推理好き。田舎のネズミは…?-ひょんなことから大学の推理小説研究会に入ったこわがりな僕は、これまたひょんなことからミステリ大好きの先生と知り合う。そんな2人が、身のまわりにあるいろいろな「?」を解決すると同時に、古今東西のミステリ作品を紹介していく連作短編集。事件の真相に迫る名探偵は、あなたをミステリの世界に導く名案内人。巻末には仕掛けに満ちた素敵な「特別便」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 極度の怖がりで、とことん悲観的な方へ方へと妄想を膨らませてしまう大学生の「僕」二葉くん。友人に誘われ仕方なく推理小説研究会へ入部するものの、殺人事件とか死体とか超苦手で困っている。そんな彼に形だけの家庭教師になってほしいと声をかけたのが、初めて出会うお姉さんたちのハートを鷲掴みするようなアイドル並みの破壊力を持つ容姿と笑顔の中学生、「先生」隼人くん。かなりのミステリ好きで毒舌。現代の犯罪は、けちくさい、くだらないとがっかりする。犯罪は、エレガントであるべきだ。
    彼らの身の回りで起きる「日常の謎」を隼人くんと彼に引っ張り回されながら二葉くんが解き明かす。これが、とっても面白い。日常の謎が、あんまりひねくり回されることなくて、解決後もすっきりする。それに一番いいなぁと思うところは、成績優秀で世間の表裏を知っている隼人くんに、引け目を感じている二葉くんなんだけど、ともすれば、事件に絡む人や物事に対してきつく当たり過ぎる彼にそっと語りかける言葉がいい。まだまだ中学生、一方の面からしか見ることの出来ない隼人くんに、別の方向から見ることも必要だよって、優しく舵をとってあげるような二葉くん。隼人くんが二葉くんと接することで、ちょっとずつ人として成長していくようなところまで描かれているから、気持ち良く読み終えることが出来るんだと思う。
    そして、二葉くんと共に隼人くんおススメのミステリ小説にも挑戦してみたくなる。ミステリ小説を読むなかで、次のミステリを紹介してくれるのは、ほんとお得感あり。
    でも、しっかり者の隼人くんだけど、心配性のお母さんとのやり取りは彼の可愛らしい面が垣間見えてほのぼのしちゃう。

    • ほしこさん
      地球っこさんのレビュー読んで、「それだ!」って言いたくなりました。
      私は日常の謎をつい社会問題に紐付けちゃうので、読んでほんわかする地球っこ...
      地球っこさんのレビュー読んで、「それだ!」って言いたくなりました。
      私は日常の謎をつい社会問題に紐付けちゃうので、読んでほんわかする地球っこさんのレビューに憧れます(^^)
      2019/06/17
    • 地球っこさん
      ゆずさん、コメントありがとうございます♪私のレビューというよりもつらつらと思いのまま書いている読書日記のようなものを、そんなふうに言っていた...
      ゆずさん、コメントありがとうございます♪私のレビューというよりもつらつらと思いのまま書いている読書日記のようなものを、そんなふうに言っていただいて恥ずかしながらも嬉しいです。ありがとうございます。
      ところで、ゆずさんの「僕と先生」のレビュー“今流行りの4低じゃないか!”ってところ、あっなるほど!と納得しました。
      そのあとの“肉食女子の餌食になりそうな…”で、あははと笑ってしまいました。
      ゆずさんのレビューいつも楽しみにしてます。これからもたくさん書いてくださいね(*^^*)
      2019/06/17
  • ミステリ好きが推理好きかと言えばそんなことはなく、死体の描写に慣れているから本物の死体を見ても大丈夫かと言えばそんなわけはない。
    小説だから読める。
    たまに怯みながらも読み通すことが出来る。
    凝ったトリックとそれを見抜いた探偵の推理力に感心したりするのだって、現実の事件だったら不謹慎と言われてしまうだろう。
    いやもしかしたらミステリ好きをどんな神経してるんだと冷やかに見ている人は多いのかもしれないが…。

    今作の主人公、タイトルの「僕」、二葉さんもそんな人の1人。
    とても怖がりで人が死ぬ小説が読めない。
    古くて狭いエレベーターに乗り込む時には水とチョコバーを持っていることを確認してしまうし、ウォータースライダーを滑り降りるのも命がけ。
    そんな「僕」が大学の推理小説研究会に入るところから物語は始まる。
    ミステリが怖くて読めないとは言えず、オススメされた本を1人公園で読んでいた彼に声をかけてきたのがタイトルの「先生」。
    「先生」が「僕」を連れまわす(?)のはミステリの世界。
    そして、小説よりもずっと怖い現実の闇。
    怖がりの「僕」と怖いもの知らずの「先生」が巻き込まれる事件は人が死ぬことはないけれど、人の悪意がぬるりとまとわりつくような気持ち悪さがある。
    目的は自分の利益、標的は「誰でもよかった」。

    人を疑うことに罪悪感を覚える「僕」の気持ちが私にも分かる。
    誰が信じられて、誰が自分を騙そうとしているのか。そんなことばかり考えて生きていたくはない。
    でも騙しの手口はどんどん巧妙になり、注意を促す言葉が目から耳からどんどん流れ込んでくる。
    そして「先生」の言う通り、自分だけの問題では済まないんだ。家族や友人にも迷惑をかけてしまうことになる。
    だから気を張っていなきゃ。
    初対面の人に自分のことをべらべら話すなんてもってのほか。
    今しかないなんて急かす人には気を付けて。
    うまい話なんてあるわけない。

    そんな緊張を強いられる世界で生きたいですか?

    これだけなら答えは「NO」だ。
    でも、「僕」と「先生」の間には確かな信頼が育っている。
    そして私にも信じられる人がいることを思い出させてくれる。
    そんなところがこの小説の魅力だと私には思えた。

  • 上京したばかりの大学1年生が家庭教師をすることになったのは?
    殺人の出てこないライト・ミステリ、連作短編集です。

    伊藤二葉は、怖がりの大学生。
    友人と推理小説研究会に入ることになってしまうが、実は殺人の出てくる話は読めない。
    たまたま公園で知り合った中学生に、家庭教師を頼まれる。
    正確には、母親が家庭教師をつけたがっているが、その必要はないので、ふりをしてくれと。

    まだ中学1年だが都会っ子で頭もいい隼人は、ミステリ・マニア。ジャニ系のアイドル並みの容姿で、女性から話を引き出すこともできるという。
    二葉は大人しいけど実は、写真のように丸ごと記憶することができる特技があるのです。
    そんな二人が、目の前に現れる謎から思わぬ犯罪を解明していきます。
    古本屋での事件。
    ビルの火事のとき、消えた人物は?
    区民プールで起きた出来事は。
    画廊での個展をめぐって。
    ペットショップでの不思議な売買は‥?

    ついでに、殺人の出てこないミステリ作品のお勧めも。
    巻末にも紹介されていますが、これ‥ほとんど、読んだことあります!
    ミステリ好きでも、怖いミステリばかりでは疲れますから~こういうの、大歓迎なんですよ。
    内容を良く覚えていないものなどは、楽しみに読み返そうと思います。

    中学生の隼人が「先生」で、家庭教師のはずの「僕」が生徒という面白さ。
    頭の切れる隼人にも嫌みはなく、兄弟のように仲良くなっていく二人が、さわやか。
    あっさりした読後感ですが、好感が持てました☆

  • 冒頭───

    一歩進むたびに、チラシを手渡される。そして立ち止まるたびに、声をかけられる。
    「君、一年だよね? もしまだ部活を決めてなかったら、うちに遊びに来てみない? スキーとテニスのサークルなんだけど」
    「あの、えーと------」
    「こんにちは! 英語研究会です。とはいっても堅苦しいムードじゃないから、体育会系との兼部もオッケーよ!」
    「はい、えーと------」
    「どうもどうも! S大名物落研です! 人生には笑いが大切。人を笑わせて自分も笑って、楽しい大学生活を送ろうじゃあーりませんか?」
    「ええ------」
    大学の中庭に設置されたクラブの立て看板。ラッシュアワーもかくやというほどの人混み。次々と繰り出される早口の勧誘に、とりあえずうなずくだけで精一杯。
    そんな中、背中を叩く人物がいる。ふり返ると、そこには入学して最初に出来た友人、山田順次の姿があった。


    大学に入学したばかりの主人公伊藤二葉。
    極度の怖がり屋で、臆病な18歳。
    四月の夕暮れ、公園にいた二葉にアルバイトをしないかと声をかけられた。
    その声の主は瞳をキラキラと輝かせた中学一年生の男の子だった。
    それが“僕”と“先生”との出会いだった。

    この本の続編「僕と先生」が何かで紹介されていたので、図書館に予約をしていたのだが、これが結構時間がかかる。
    三月に予約したのにまだ借りられない。
    よくよく調べると、その本はシリーズの二作目で、一作目が図書館の在庫にあった。
    そんなわけで、こちらを先に読んでみようと借りた一冊。

    殺人などの出てこないライトミステリー。
    しかも主な登場人物は、頼りない大学生と無敵の笑顔を持つ中学一年の可愛い男の子。
    読み易すぎて物足りない。
    YAの分野に近いよなあ、これじゃ。
    “先生と僕”とあるように、僕のほうが家庭教師の先生であるはずなのに、ミステリーの謎を解いていくのは可愛くて賢い中学生の隼人君なので、実際は隼人君のほうが先生という関係。
    だから事件自体も、中学生程度が解決できるような程度のもの。
    これのどこがそんなに面白いのだろう?
    読み終わったあと、そんな疑問を持ってしまったので、予約している「僕と先生」のほうもあまり期待がもてそうにないな------。

  • 大学生18歳の二葉さんと中学生の隼人君が様々な事件を解決する日常ミステリ。二葉さんが家庭教師のはずなのに、なぜだか隼人君が先生のように事件を解決していく。この二人の会話やコンビの感じがどこか面白くほほえましい。二葉さんが苦手とするミステリも、隼人君が読めるものをと読書案内する様子もなんだかおもしろい。様々なミステリを紹介されるので、ちょっと読んでみたくなる。
    特に、最後の一文。ずっと読もうと思いながら読めていない本のタイトルが...。これを機会にシリーズを読み崩していこうと思いました。
    そして、特別編には著者のシリーズものとのコラボがあり、ちょっと豪華な感じが。将来的には何か関係するのかな?ひょっとして恋愛もありうるのかな?とちょっと期待。

  • 大学に入ったばかりの二葉くんと彼が家庭教師する中学生の隼人くんの物語。
    面白かったけど、中学生の隼人くんより大学生の二葉くんが子供ぽいのが
    気になりました。隼人くんのおすすめの推理小説は、私も全部読んでいるので
    話が合いそうと思いました。扱っている事件が中学生には荷が重いのではないかと
    いう感じもします。

  • 坂木安心印の誰も死なないミステリーです。何しろ表紙が可愛いのでそれだけでもいいのではないでしょうか。やはり本は見た目大事ですね。

    主要人物2名

    二葉 
    主人公、大学生のお兄さん、性格良し、正直者、人が死ぬ小説が怖くて読めない、なのに何故かミステリー同好会に入会してしまう、隼人の家庭教師

    隼人
    ミステリーマニア中学生、ジャニーズ系美少年、性格若干ひねくれ、犯罪には美しさを求める、二葉を公園で逆ナンパして家庭教師に仕立て上げる

    どうという事はない事件を隼人の推理で解決して、それについて古今東西の推理小説を二葉にお勧めするという流れと連作集です。
    本っっっ当にどうってことない事件ばかりなので、ほんわかミステリーとしてもミステリー要素は弱いです。弱いですがこの隼人君結構可愛いやつで、すかしているようでいて結構子供らしい喜びを楽しめる子供なので、二葉の優しい性格とリンクしてほのぼのしてしまうのですね。

  • 中学生の瀬川隼人と、その家庭教師を引き受けた大学生の伊藤二葉が、日常の謎を解いていくストーリー。

    やはりキャラクターが個性的だ。語り手である二葉は、極度の怖がりでマイナスな妄想ばかりしてしまう少年だが、田舎育ちのせいか他人を信用しやすい。
    一方の隼人は、一見可愛げのある美少年なのだが、本当は世間の裏事情などをきちんとわかっている頭のいい中学生である。ミステリーが大好きで、推理小説研究会に入った二葉の「先生」となる。
    「先生」が実は隼人の方であるというのがおもしろい。たしかに二葉よりしっかりしてるのだ。

    ただ設定は好きなのだが、もっと2人の関係が進展する何かがあればいいのになと思った。

  • 坂木司の先生と僕を読みました。

    主人公の伊藤二葉は田舎から出てきたばかりの大学生です。
    小心者でこわがりで極度の心配性ですが、視界を写真のように記憶することが出来るという特技の持ち主です。

    そんな二葉がなりゆきで入った推理小説研究会で指定されたミステリーを公園で読んでいると中学一年生の隼人が「僕の家庭教師にならない?」と声をかけました。
    成績優秀な隼人は家庭教師などは要らないのですが、母親の要求をのんで家庭教師のふりをしてくれる大学生を捜していたのでした。

    田舎のねずみの二葉と都会の猫の隼人のコンビは日常で出会う謎を解き明かしていくのでした。

    今回は謎解きはそれほど面白くありませんでしたが、二葉と隼人の掛け合いが楽しく、あっという間に読み終えました。
    この本で紹介されていた小説もそのうち読んでみようと思ったのでした。

  • 僕双葉と先生隼人のキャラが良い感じ。
    自分も二人と友達のようにその場に入っていける。


    坂木司さんの作品をこれまで読んできたけど、
    ミステリだと思って読んだことは1度もなくて、
    人それぞれとらえ方が違うんだなぁって思うと面白い。


    (図書館)

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。2002年『青空の卵』で<覆面作家>としてデビュー。続く「ひきこもり探偵」シリーズとして人気を得る。ナイーヴで魅力的な人間像、緻密に描かれ、爽快に解かれる日常の不思議とこころの謎が圧倒的な支持を集めている。13年『和菓子のアン』で第2回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。他の著作に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『僕と先生』『肉小説集』『女子的生活』などがある。

「2017年 『鶏小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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