贖罪 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 8888
レビュー : 904
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515039

作品紹介・あらすじ

取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる──これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?

ベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリが双葉文庫で文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 学校に現れた作業着姿の男。見知らぬ大人にも警戒することのない人懐こい少女たち。一人が連れて行かれ、いたずらされ、変わり果てた姿で見つかった。

    都会から来たお金持ちの美少女エリカの事件は、彼女と一緒に遊んでいた4人の少女の運命にも暗い影を落とすこととなった・・・。

    捕まらない犯人を恐れ、大人になったら殺されると自己暗示をかけるうち、25歳を過ぎても初潮を迎えない女

    その後の捜査にも役立てず、エリカの母親になじられたことから存在価値を見失い、償いのために教師になった女

    可愛いものに憧れながらもそれが似合わない外見に過度のコンプレックスを抱く女

    病弱な姉に母を独占され、構ってもらえない寂しさから警察官に憧れた女

    田舎に馴染めず、愛娘も失い、少女たちに呪いのような言葉を投げてしまう女

    救われない女たちの悲劇と男たちの異常性、やっぱり・・・後味悪いのが湊さんだなぁ。。

  • 「湊かなえ」らしい作品といえる。コアなミステリーファンには全く響かないと思うが、『告白』と同様、世間一般には高い評価を受けることは間違いない。全体を通して救いようがないほど重苦しく、一人称での独白によって構成されると点では、これもまた『告白』と似ているが、インパクトという点ではやや劣る。一方、誰もが持つ様なコンプレックスを発端として女性の心理描写を展開させたら、おそらく彼女の右に出るものはいないのではないか。

    追記:彼女の作品には、歪んだ男ばかりが登場し無慈悲というか冷酷非情な扱いばかりされているが、作者自身が、男性に対して強烈なコンプレックスがあるのではといつも疑念を抱いてしまう。

    • ぱんださん
      追記に同感です。
      追記に同感です。
      2013/01/29
  •  無関心という大罪。 確かに、自分の大切な人に何か不幸が起きた場合、何より腹立たしいことは、被害者に対する関心の低さだろう。 被害者が感じた恐怖や苦しみや絶望に想像を馳せないということ。 その怒りは、加害者だけでなく、周りの全てに向けられる、その気持ちはわかる。 ただ、そんな大罪を責められるほど、周りの全ての不幸に想いを馳せている人なんているわけがないから、僕らは皆罪深く、許し合わなきゃいけないらしい。 と言っても、互いの罪深さを盾に開き直っちゃいけないわけで、やっぱり他人の不幸にはできるだけ共感し、自分の不幸に共感されないことを、できるだけ許さなきゃいけない。 罪も、感情も、イチかゼロじゃなくて、グラデーションだから。

     独白形式だからこそ輪郭がハッキリするそれぞれの無関心。 手法とテーマがばっちりハマってました。

  • うわぁ。すごぃな。と、思わさせられました。
    湊かなえのそれぞれの人間たちの立場からの視点の描き方がすごい。

    被害者、加害者、被害者遺族くらいまでは割とどんな本でも描くことはあるけど、現場に居合わせた女の子たち4人の心情や、その後の心の移り変わりなど。

    こんな風にそれぞれがそれぞれの思惑の中にいた。という一つの事実は、事件云々と関係なくそれぞれの人生に影響を受けるんだな。と。

    同じ記憶が見つめる人間が違うだけで、こうも左右する。ということ。自分に置き換えると、娘の視点も去ることながら、身近にいる人間たちそれぞれにそういう視点がある。ということに改めて気がつかされました。

    そして、湊かなえのそうまでして登場人物全てへの生き方、思い、考え、思考を表現しきるところに、事件以上の衝撃があります。

    一章づつ小分けにして、それぞれの心情が吐露されるその瞬間に、ゾクゾクさせられる一冊です!!!!!!!!

    上手い!!!!

  • 1番印象に残ったのが、都会育ちの麻子(エミリの母)。

    悪気はないのに、人を傷つける怖さ。恐ろしい。

    しかし、何ごとも自分で判断せずに、直接本人に聞く勇気を持つ事って大事だなと思った。

    事実は小説より奇なりっていうし。

  • 多視点作品で、告白と同様に少しづつ真相が暴かれていきます。

    いやぁ相変わらず(?)救いがない印象だけど、最後に二人はさっぱりしているし、救いはあったのかなーと。

    今作は女性視点のみで、それぞれの章で独白が続いていきます。
    女性のみという所が、この作品の怖さを引き立てています。

    そんな難しい話でもないのでさらりと読めますが、暗くなります(笑)。

  • 告白と差がないと思うのは自分だけ?

  • 小説に限らず、創作物において話に起伏をつけたり、スパイスを加えるためには多少なりともご都合主義的な概念が入るものである。そんな作者の意図を読者もある程度は許容したうえで読むこと、これは物語を楽しむためのある種の暗黙のルールと言えよう。

    私自身もこの考え方に関しては寛容なつもりだ。どうせ読むなら楽しみたいし、穿った見方や偏った思考で読んでも良いことなんてない、とそう思っているからだ。しかし、この小説は…、うーん…。そんな私でもちょっと拍子ぬけしてしまった。

    夏休みのある日の「グリーンスリーブス」が鳴る午後6時、一緒に遊んでいた四人の子供たちがエミリの死体を発見する。彼女達は犯人を見ていたが、その顔を思い出すことが出来なかったため事件は迷宮入りしてしまう。

    あらすじはこんな感じである。例によって構成は何人かの登場人物による多視点で進行する。事件の発見者である四人の子供はその後、どのような末路を辿ったのか。読めば読むほどうんざりしたくなるような展開。確かに登場人物はみんなどこか歪んでいて、それを軸にして物語を作るのがこの作者の得意分野なのかもしれないけど、こうも毎回毎回不幸になっていくとさすがにね…。

    とうぶんは湊かなえ作品は読まなくてもいいかなって思ってしまった。もちろん好き嫌いはあるだろうけど。私は合わないだけかもしれない。

  • リバースがドラマでやっていて、湊かなえさんの作品の違うのも読みたくなって中国出張前に成田空港にて購入。感想としては、出張中に気になって仕方なくて眠気を我慢して読み進めた。出張中に読み終わった。物語への引き込み方がすごい。。犯人が誰??と先が気になるというより、少女たちの背負った十字架と深層心理が気になって止まらなかった。

  • 初の湊かなえ作品。重い内容だったけど、引き込まれ一気に読んでしまった。そして結末を知った後、色々と確認したくなり直後に二度読みしてしまったわ。
    15年前に田舎町で10歳の女の子が殺害されてしまう。その時に居合わせた少女4人が被害者の母によって背負わされた十字架。それぞれがどのような15年を過ごしどんな悲劇が降りかかるのか、そしてその元凶となったのは被害者母の過去。
    それぞれが手紙や独白の形で綴られ、徐々に真相が明らかになっていく。この独特の手法、上手いなぁと思った。4人は人生を狂わされたよね。娘をあんな形で殺害されてしまったのはつらいけど、この母のせいだよね。そして殺害されたエミリちゃんが一番の被害者。自分の娘に近い年頃の事件にぞっとしたよ。それが自分のせいだったとしたら・・・。しかも過去の過ち自覚がなかったところが始末悪い。一番の償いをしなければならないのはこの母。

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プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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