- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575515039
作品紹介・あらすじ
取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる──これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?
ベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリが双葉文庫で文庫化。
感想・レビュー・書評
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学校に現れた作業着姿の男。見知らぬ大人にも警戒することのない人懐こい少女たち。一人が連れて行かれ、いたずらされ、変わり果てた姿で見つかった。
都会から来たお金持ちの美少女エリカの事件は、彼女と一緒に遊んでいた4人の少女の運命にも暗い影を落とすこととなった・・・。
捕まらない犯人を恐れ、大人になったら殺されると自己暗示をかけるうち、25歳を過ぎても初潮を迎えない女
その後の捜査にも役立てず、エリカの母親になじられたことから存在価値を見失い、償いのために教師になった女
可愛いものに憧れながらもそれが似合わない外見に過度のコンプレックスを抱く女
病弱な姉に母を独占され、構ってもらえない寂しさから警察官に憧れた女
田舎に馴染めず、愛娘も失い、少女たちに呪いのような言葉を投げてしまう女
救われない女たちの悲劇と男たちの異常性、やっぱり・・・後味悪いのが湊さんだなぁ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「湊かなえ」らしい作品といえる。コアなミステリーファンには全く響かないと思うが、『告白』と同様、世間一般には高い評価を受けることは間違いない。全体を通して救いようがないほど重苦しく、一人称での独白によって構成されると点では、これもまた『告白』と似ているが、インパクトという点ではやや劣る。一方、誰もが持つ様なコンプレックスを発端として女性の心理描写を展開させたら、おそらく彼女の右に出るものはいないのではないか。
追記:彼女の作品には、歪んだ男ばかりが登場し無慈悲というか冷酷非情な扱いばかりされているが、作者自身が、男性に対して強烈なコンプレックスがあるのではといつも疑念を抱いてしまう。 -
うわぁ。すごぃな。と、思わさせられました。
湊かなえのそれぞれの人間たちの立場からの視点の描き方がすごい。
被害者、加害者、被害者遺族くらいまでは割とどんな本でも描くことはあるけど、現場に居合わせた女の子たち4人の心情や、その後の心の移り変わりなど。
こんな風にそれぞれがそれぞれの思惑の中にいた。という一つの事実は、事件云々と関係なくそれぞれの人生に影響を受けるんだな。と。
同じ記憶が見つめる人間が違うだけで、こうも左右する。ということ。自分に置き換えると、娘の視点も去ることながら、身近にいる人間たちそれぞれにそういう視点がある。ということに改めて気がつかされました。
そして、湊かなえのそうまでして登場人物全てへの生き方、思い、考え、思考を表現しきるところに、事件以上の衝撃があります。
一章づつ小分けにして、それぞれの心情が吐露されるその瞬間に、ゾクゾクさせられる一冊です!!!!!!!!
上手い!!!! -
無関心という大罪。 確かに、自分の大切な人に何か不幸が起きた場合、何より腹立たしいことは、被害者に対する関心の低さだろう。 被害者が感じた恐怖や苦しみや絶望に想像を馳せないということ。 その怒りは、加害者だけでなく、周りの全てに向けられる、その気持ちはわかる。 ただ、そんな大罪を責められるほど、周りの全ての不幸に想いを馳せている人なんているわけがないから、僕らは皆罪深く、許し合わなきゃいけないらしい。 と言っても、互いの罪深さを盾に開き直っちゃいけないわけで、やっぱり他人の不幸にはできるだけ共感し、自分の不幸に共感されないことを、できるだけ許さなきゃいけない。 罪も、感情も、イチかゼロじゃなくて、グラデーションだから。
独白形式だからこそ輪郭がハッキリするそれぞれの無関心。 手法とテーマがばっちりハマってました。 -
1番印象に残ったのが、都会育ちの麻子(エミリの母)。
悪気はないのに、人を傷つける怖さ。恐ろしい。
しかし、何ごとも自分で判断せずに、直接本人に聞く勇気を持つ事って大事だなと思った。
事実は小説より奇なりっていうし。 -
湊かなえさんの第3作品目。
著者の本に関しては、色んな本を読まさせているが、やはり心理描写が上手い!
誰にでも感じたことがある、
妬み、嫉み、嫉妬それらをさらに深堀りして
一つの作品として完成されている。
読んでいくうちに徐々に感じる、
ゾクゾク感は、
やめられないね笑 -
田舎の殺人事件に関わった4人の当事者らが当時と今に至るまでの心境を話し、本当の償いとは何かをテーマにした本作。殺された被害者の母親が引き起こす悲劇の連鎖。それぞれの当事者らが事件をきっかけにどんな人生を送ってきたか。事件の重さとそれを抱えることの辛さを書き連ねている。
湊かなえの作品はどれもハズレはありません。人間の悪意や心理を克明に描き、話の運び方が本当にうまい。当事者のそれぞれが被害者の母親に言われたことに怯えるシーン、自分の存在意義を疑うシーン、それが悲劇を起こすシーン。どれもがここぞと言う場面で引き出してくれる。僕は湊かなえに出会えてよかった。
被害者と当事者のどちらに同情できるかは難しい問題だった。殺された側からすれば、「どうしてうちの子が」「なぜ助けなかったのか」と行き場のない本音を呟いても現実は残酷のまま。一方で当事者も、「何もできなかった」「まさかこんなことになるなんて」と言うしかなく、取り返しがつかない。被害者の母親が放った一言で彼らの悲劇は始まるのだが、事件に関わった全員が可哀想でならない。立場によって気持ちも考えも変わるし、それが望まない結果を生む事もあるし、理想は両方が理解し合うこと。でも事件という辛い出来事の場合、ヒステリックになってもおかしくない。
僕は事件に関わったことがないからどれほどの辛さかはわからない。ただ、一方を悪と決めつけて他人の気持ちを踏みにじって自分を強く主張するのはしたくない。事件の当事者だからこそ、慎重な歩み寄りが必要なんだなと思う。 -
読了:2018.3.21
「告白」でデビューしてから、3作目の作品。
今回も湊かなえの得意な形。一つの事象を複数の人物目線で全く違う捉え方・影響の仕方を書き出して行く。読み進めるうちに少しずつ情報が増えて、小さな伏線と回収を繰り返す。それぞれが微妙に違った捉え方をしていてそれが時間の経過と共にその人物の人生に大きく影響を与えていく。特に今回は子供のピュアゆえの捉え方・影響が面白い。幼少期のトラウマ書くのほんと上手よね。
個人的な感覚だけど、湊かなえ本人のタイプではない性格の人物の心理描写が少し雑だったような気もする。
ピュアゆえの残酷さと更衣室はふと東野圭吾の放課後を思い出した。もちろんその残酷さが誰かに向くか自分に向くかの違いはあれど。
小泉今日子を筆頭に豪華キャストでドラマ?映画?やったみたいだけど、予告はイマイチなかんじが…。見た人に感想聞きたい。
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◆内容(BOOK データベースより)
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言ったーあなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?特別収録:黒沢清監督インタビュー。 -
初の湊かなえ作品。重い内容だったけど、引き込まれ一気に読んでしまった。そして結末を知った後、色々と確認したくなり直後に二度読みしてしまったわ。
15年前に田舎町で10歳の女の子が殺害されてしまう。その時に居合わせた少女4人が被害者の母によって背負わされた十字架。それぞれがどのような15年を過ごしどんな悲劇が降りかかるのか、そしてその元凶となったのは被害者母の過去。
それぞれが手紙や独白の形で綴られ、徐々に真相が明らかになっていく。この独特の手法、上手いなぁと思った。4人は人生を狂わされたよね。娘をあんな形で殺害されてしまったのはつらいけど、この母のせいだよね。そして殺害されたエミリちゃんが一番の被害者。自分の娘に近い年頃の事件にぞっとしたよ。それが自分のせいだったとしたら・・・。しかも過去の過ち自覚がなかったところが始末悪い。一番の償いをしなければならないのはこの母。 -
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
娘を喪った母親は彼女たちに言った。
「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい」
十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖
鬱…、鬱だ。『告白』のように、事件にかかわった四人の手記や記録といった形で、事件が彼女たちに与えた恐ろしい影響が描かれていく。それぞれが意識的・無意識は別にして、この事件に対する贖罪を強いられる不条理さ。人の身勝手さ。
女の子特有の人間関係のごたごたや親への気持ちなど、共感する部分も多い。読みやすく面白い。…ただし、スッキリしないエンディングに、読んだ後は暗い気持ちになった。
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